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魔王を殺した王子、私を救った恋人  作者: 凪塩 未来


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シーズン2 第7話 :失われた記憶のパズル

シーズン2第7話「失われた記憶のパズル」をお届けします!

黒い霧に包まれたアストレア城の門前で、操られたかつての仲間たちに包囲されたミリー。その元凶であり、城を支配する黒幕の正体が、かつてロイの最も信頼していた親友の騎士であったことが判明します。切なすぎる真実と黒幕の過去に迫る第7話です。


それでは、シーズン2第7話のスタートです。

冷たい黒い霧がうねるアストレア城の門前で、ミリーは護身用の短剣を構え、目の前に立ち塞がる騎士たちを睨み据えた。

その最前線に、かつてロイの右腕として幾多の戦場を駆け抜けた近衛騎士団の副官――アルフレッドの姿があった。


「アルフレッド……! あなたまで、どうしてこんな真似を……!」


ミリーの切実な呼びかけに、アルフレッドは冷ややかに唇を歪めた。

彼の両眼は、エンペラー将軍のものと同じ、どす黒い紫色に染まっている。しかし、その奥底にかすかに揺らぐ瞳の光は、完全に自我を失っているわけではないことを物語っていた。


「……驚いたかい、女王陛下。だが、私とて好き好んでこの姿になったわけではないのさ」


アルフレッドは自嘲気味に笑い、重々しい剣を地面に突いた。

「半年前、あの黒曜の谷でエンペラー将軍がロイ様に倒されたとき……あの将軍の精神の残滓は、完全に消え去ったわけではなかった。将軍の呪いの破片は、最も近くでその死闘を見届けていた私の精神の隙間に、ひっそりと寄生していたのだよ」


ゾクリと、ミリーの背筋に冷たいものが走った。

「……そんな……」


「そうだ。将軍は自分の肉体こそ失ったが、私の身体を新たな依代とし、時機が来るのをじっと待っていた。そして、北方の魔導士と共謀してこの王都を一気に乗っ取る計画を実行に移したというわけだ」


アルフレッドの口から語られる真実は、あまりにも残酷だった。

彼はロイの無二の親友であり、誰よりもロイの正義感と強さに憧れていた男だったのだ。その彼が、皮肉にもかつての敵の呪いに蝕まれ、今度は城全体を裏切る黒幕として利用されている。


「ロイ様が命を賭して守り抜いたこの国を、今度は私がその内側から崩壊させていく……これほど滑稽で、皮肉な話があるものか」


アルフレッドの表情に、苦悶の色が浮かんだ。

精神の奥底では、将軍の支配に抗おうとする彼の本来の自我が必死に抵抗しているのが見て取れた。


「アルフレッド! 諦めないで……! あなたはロイの親友でしょう? あの人が命を懸けて守ったこの王国を、あなた自身の意志で取り戻して!」


ミリーの必死の叫びが、夜の静寂に響き渡る。

その言葉に、アルフレッドの身体が激しく震えた。彼の紫色の瞳から、大粒の涙が一筋、冷たい石畳へと零れ落ちた。


「……女王陛下……私は……これ以上、仲間たちを傷つけたく……っ!」


「アルフレッド様、おやめください! その者の言葉に惑わされてはなりません!」


背後から、洗脳された他の騎士たちが冷徹な声で詰め寄る。

アルフレッドの顔に再びどす黒い紫の光が広がり、彼の自我がみるみるうちに飲み込まれていこうとしていた。


「ぐっ……あぁぁぁっ……! 来るな……私に近づくな……!」


アルフレッドが頭を抱えて苦悶の声を上げる。

その隙を突き、城内からさらなる不気味な魔力の奔流が噴き出した。北方の遺跡で行われていた儀式が、ついに最終段階へと突入したのだ。


(時間がない……! このままでは、アルフレッドも、そして王都のすべてが完全に闇に飲み込まれてしまう……!)


ペンダントを奪われた絶望的な状況の中、ミリーは自らの手でこの悪夢の連鎖を断ち切るため、一つの重大な決意を胸に秘めたのだった。

シーズン2第7話「失われた記憶のパズル」をお読みいただき、ありがとうございました!

黒幕の正体がロイの親友・アルフレッドであり、彼自身も呪いに苦しんでいるという悲しい真実が明らかになりました。


次回、シーズン2第8話「魂の共鳴、再び」では、操られた親友を救うため、ミリーが自らの命を賭した賭けに出る感動の展開が描かれます。ペンダントの共鳴を通じて、ロイの意識が一時的に現世へと舞い戻る――。

ぜひお楽しみに!

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