第7話 女賢者、ついにゲームに登場する
そして、ネコマサの異世界賢者の姿、10体目の賢者ジャルフ=ナーム=ガッハッスナの美少女?フィギュアが完成した。
というか、出力しすぎ。
と光正がネコマサに注意するも。
「なかなか、気に入った顔に出力できんから」
と言い訳されるが、
「だったら、頭、顔だけ出力すればいい」と言われ
「全体のバランスが大事だ」と返し。
「俺、美少女フィギュア制作を趣味にすること考えてなかったな」
と正光がぼやく。
10体それぞれ違う服装で、年齢も異なるから色塗りが大変だったのだ。
ネコマサの異世界での本来の姿、6歳の姿、10代の姿、20代前半の姿、そして最盛期の姿
他にも学校の制服姿、休日のラフな服装の時、賢者として初めて評価された時の授与式の服
と幾つものバージョンが作られたのであった。
「もっと勇者のかっこいいやつが作りたい!! 他の国の勇者とか作れないのか?」
と光正がいうと、スマホのアプリからネコマサの声が聞こえてくる。
喉のスマート首輪から振動を拾ってアプリで言語化しているのであって、猫が喋っているわけではない。このアプリもネコマサが開発していて、自分用なので一般公開はしていない。
「作れるけど、私の弟が一番かっこいいだろう」
「ブラコンか。同じの幾つも作っても飽きてくる」
すでに、弟の姿も5歳、12歳、22歳しかも騎士学校入学の時とか、中等部の制服姿とか妙に細かい幾つものバージョンを作らせられていた。
「そもそも、これはお前の世界を救うための何かの役に立つのか?ただの思い出のためではないのか?」
「立体を作ることで、ゲームキャラクターの全体像が掴みやすくなってキャラクター造形がよりしっかり作れるようになる」
「プリンター用にデジタルデータで先に作ってるやん」
「立体物を肉眼で見ていると、もっとこうしたほうがいいという姿が浮かんでくる、並べると大きさの比較などもわかりやすいし」
「現物主義者だなー」
「私は異世界の賢者だから、デジタルとかモニターとか、画面上だと慣れてないので全体把握が難しいのだ」
この各キャラクターの年齢違いの姿も、今回のゲームで使うらしいというのだが。
「今回、ネコマサ本人が賢者として出てくるの?」
「私?ゲーム内に一応登場させようかと思ってる。ほらソール系のゲームには灯火とか拠点、焚き火とかのとこにいてレベルアップを手助けしてくれる女とかいただろう?」
「ああ、火守り女とか人の形様とかメリメリとかそういうのか」
「私のデータをそれ役に使おうかと思って」
「自分の美貌を世界中に知らしめたいだけではないのか?」
「こちらの世界の価値観だと、私の姿は神秘的で美しい部類に入るのだろう?」
「まぁね、青い髪色とかあんましいないし」
「セーブポイント、あるいは拠点に美しい幻想的な女性が佇んでいるとゲームのやる気にもなるだろう」
「布面積が少ないともっと嬉しいよね」
「エロいおっさん向けではないが、まぁ確かに少しくらいサービスで太ももにスリットでも入れておくか」
「その辺は客に妥協するのか」
「できればこのゲームのシリーズはいくつか増やしていきたいから、売れてくれないと困る。でも私がモデルだから、露骨な乳ほりだしたような姿は嫌だし」
「まあ下品より上品な感じがいいから、スリットくらいでいいんじゃないか」
などとゲームについての話も二人で行うこともある。
特に感性については光正のような男性に受けたほうが売り上げが上がるので、その辺のサンプルとして意見を聞いているとこもある。
光正は、最盛期の美人賢者、ジャルフ=ナーム=ガッハッスナのフィギュアを手に持ちながら
「しかし、ネコマサは何歳でこっちの世界に転生したんだ?」
「29歳かな、30には届いてないと思う」
「若いな、29歳で死んだわけか」
「死んだわけではない、まだ魂は生きてる」
「そうだった、いや賢者としてというか、異世界での女性としての人生はそこで終わったと思うと、なんともかわいそうな気もするなと」
「確かにまだまだやりたいことはたくさんあったが、こちらの世界に来てからはもっとやりたいことが出てきたからそこまで不幸は感じてないぞ、こちらの方が知的好奇心が満たされるものが多すぎる」
「猫の姿でも?」
「この姿だから、光正は私に甘いのだろう?」
「まあねえ、美人のまま転移されてきたら正直扱いに困っていたと思うし。警察に連絡して終わってたよね」
「だから結果的に、この姿で転生して良かったと思ってる。あとはもっと自由になる奴隷が数人いれば良いのだが」
「いずれ従業員みたいなの雇えたらええけどね」
「それより光正は、つがいを得たりはしないのか?」
「つがい?結婚ってことか?」
「そうだ」
「なんでよ」
「そのつがいにも私の仕事を手伝って貰えば奴隷を増やさなくてもいいと思っただけ、それに愛人も入れて、さらにその子にも手伝って貰えば労働力は増える一方だ」
「俺の架空の嫁と愛人と子供を結婚前から奴隷扱いする予定か、まぁ今のところ予定ないから諦めろ。
というか、お前はあっちで結婚してないのか?平均寿命50歳の異世界で29歳で未婚とか行き遅れの類だろう」
「たまに失礼な事を言うな。確かに婚期は10年ほど遅れてしまったけど、類まれな美女には婚期など関係なくつがいは現れる」
「でも現れる前にこっちきたんだろ」
「・・・まぁそうだが」
「お互い独身同士か、それらが結婚の話したところで何も進展しないからやめようや」
「それもそうだな。じゃあ昨日買ってきたカステラを食べよう」
「猫にカステラは良いのかね」
「理力は多少使えるから体に負担はかからない」
異世界の賢者でも結婚の話についてはいまいちキレは良くなかったのである。
そして、さらに2ヶ月くらい経った頃にはゲームの方も順調に進んでおり、動作確認のためのテスト無料版の配布なども行い始めていた。
そこではやはり、女賢者のビジュアルが話題になったようで、ネコマサは自慢げにレビュー画面を光正に押し付けてくる。
「ほら、やはり私のような美女は大事なのだ」
前回のゲームには美しい女性キャラクターは一切出てこなかったのに、急にそういうものが出てきたことでファンは驚いたらしい。
感想は概ね好評なものばかりだった。
この2ヶ月は色々とあった。
ゲームの追い込みでネコマサが倒れかけたり。
分体に任せて仕事をしてても、最後には自分で全てまとめていく必要がある。
プロデューサーがゲームに関わる色々な部門からの情報を集めて、最終的な判断を下したりするようなもので。
最終的には猫の脳みそでなんとかまとめていかないといけないのだ。
そうなると明らかなオーバースペックとなるため頻繁にネコマサがフリーズするようになってしまう。
これは、タダでさえ猫の寿命人間より短いのに、さらに短くなったらかわいそうだな。
と思い光正は集中したら際限なく仕事をやり続けるネコマサに対し、仕事時間に制限を儲けるようにした。
自分の貧弱な頭の容量を把握しろ、ということで。
体外記憶領域、を使うと例え話としては
外部のサーバーが2テラ分の容量があったとしても、パソコン本体のSSDが100メガとか、メモリが2ギガとかだったら、サーバーに入っている内容をうまく捌けずにフリーズか、ものすごい読み込みに時間のかかる状況になりかねない。
人間の脳はかなりのメモリ容量があるPC、猫の脳みそはメモリ容量がカスなPCという感じなので常に熱暴走しながら作業やってる感じになる。
「猫の体でもいいとか思ってたけど、これじゃもっと複雑なゲーム作ろうとしたら無理だ!!」
アプリからそんな叫び声が聞こえてくる。
ネコマサはインディーゲームでも一千万人がプレイするようなものを作りたいとか言ってるくらいなのだが、猫の脳ではそれが達成できないと限界を感じつつあった。
今作っているゲームであれば、話も短く戦争の一地域での話というこぢんまりとした内容なのでなんとか回せるけれども。
猫以上の脳を使ってなんとかゲーム制作ができないか。
光正の脳の空き容量を自分が使えるようにして、光正の体外記憶領域を操作、精神を制御して操り人形にしてからゲームを作るように持っていこうか。
とか非人道的なことを平気で考えてたりする。
しかし、それを行うと今の快適な生活が送れなくなってしまうし。
そんなこんな、ネコマサは今の環境でやれることをやってゲーム完成に向けて日々を過ごしている頃、社長の娘、経理の田辺美香が打ち合わせとネコマサに会うためにちょくちょくやってくるようになっていた。
光正はてっきり、税理士事務所に入ってそこで修行を行うため、今の会社を辞めてしまうのだと思っていたが。
税理士事務所に入ってから、今の会社に出向するという形で経験を積まされているらしい。
他にもいくつか地元の会社や自営業者を受け持っているらしく、その中の一つが光正の一件となる。
なので経理に行くとそこに座ってるし。
4月からの現場からの伝票受け取りは新しく入ってきた中途採用の「社長の弟の長女」が入ってきており、その人に渡すようになっていた。
この会社は、お金に関しては他人を一切信用してないのだな
税理士すら身内で固めようとするとは。
お金にがめついのか、過去のトラウマなのか、なかなかここまで固めてるところは聞いたことがない、と思いつつ。
家に経費のチェックに来た際に、以前美香にお願いしていた、新しいゲーム制作事務所、ネコマサ事務所の件について話を聞くことしたら。
ゴールデンウィークの入りがけ、4月後半にうちの経済的な資料が出来上がるというので、その日程を調整したりしていたのだが。
ここでもちょっとしたハプニングが起こってしまう。
タイトル、少し変えました




