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第5話 社長令嬢襲来


金があるため、ネコマサの興味が向いたものがどんどん家に買い漁られて、集まってきて置き場に困るようになってきた。

3Dプリンタが5台になった時は流石に買い控えるように言ったものだが、

謎のツボ、おもちゃの剣や杖、ザリガニの巨大フィギュア、ネコ用の爪研ぎ板にキャットタワーなどなど。

床の間にはザリガニグッズが置かれる祭壇が作られ、ネコマサの異世界での名前の由来でもある、ガッハッスナ神が祀られていた。

3Dプリンタで最初に作ったのもそのガッハッスナ神の姿、巨大ザリガニだったし、まだザリガニグッズは増えている。

「自ら神々しき神の姿を創造できるとは、なんと素晴らしい機械だ」

と言っているが、光正はでかいアメリカザリガニの姿に神々しさを感じられるほど異世界の価値観は理解できていない。

が、可愛い飼い猫が気に入ってるから、という感じでザリガニの猫のおもちゃとか猫ベッドとか買ってきたりしてご機嫌を取ったりすることはしている。

おかげで、家の中にザリガニグッズが増えていき、ネコマサの食器もザリガニの模様が入っていたりする。


本は重量があるのでデジタルコンテンツでなるべく買うように、といっているのだが

「やはり紙の書物が欲しい時もあるではないか」

などと言って、本を大量に購入していく。

部屋中の本棚が分厚い図鑑のようなもので埋め尽くされていく様子が心地よいらしい。ほぼ専門書と図鑑と学術系の本。

「こちらの世界の本のなんと上質なことか。この手法を持ち帰ってあちらでも再現したいくらいだ」

と言っては本を購入し、積み上げてニヤニヤしてるという感じ。賢者なので本に囲まれた生活が懐かしいのだろうか。


と光正は思ったりしているが、仏間が本に埋め尽くされていくのをみると床が抜けないかと心配になる。

大体、自分では本を本棚から取ることもできないため、光正が本を運んだり、膝にネコマサを乗せて一緒に本を読んであげたり、読んだ本を収納したりしないといけないのだから自重して欲しいと思うものだ。


この本を収納する書斎も含めて、隣にネコマサの仕事場を作ったほうがいいのかもしれないなー

ザリガニの祭壇もちゃんと作ってやった方がいいかもしれないし。

と本気で考えるようになっていくが、何せ税金とかよくわからんので今の収入から作ってしまうと来年支払えなくなったりすると追徴課税とか脱税疑いとかで大変なことになってしまうかも。


早く税金の話がしたいのだが


と思っていたら、思いがけず早くに社長の娘がやってきた。

というか、先日ふとした話の途中で「最近猫飼ってる」というと「今週の日曜に家にいく」と言われ断れなかったのだ。


いい歳の娘が、独身男の家になど行ってはいけない、と親に言われなかった?

と確認すると


「税理士の仕事としていくから、特に何も言われなかったわ」


と割とあっさり許可が出たらしい。

親なら普通、気にするところだろうけどまあ28歳だからなぁ。そこまで箱入りということではないのだろう。


そして、玄関に出迎えにきたネコマサを見て感激し。

そこからしばらくは猫を撫で回す時間となり、光正はその隙に客間にお茶の用意などしていく。

1階には居間、客間、台所に風呂トイレ、ネコマサの部屋と続きの仏間があり。

2階に光正の部屋、光正の趣味の部屋、とそんな部屋割りになっている。


客間にはちゃぶ台と座布団、そしてネコマサの収入が見られるタブレットPCが置いてある。

社長令嬢は、名前は美香というので美香ちゃんとみんなに呼ばれている。

しかし苗字は田辺なので光正は「田辺さん」と呼んでいるが下の名前で馴れ馴れしく呼んでいるところを社長一族に見つかると面倒になりそうな気もするので。


「で、田辺さんは今回は税理士として見てくれるってことでいいんだよね」


「はいそうですよ」


と膝に乗って気持ちよさそうに寝ているネコマサを撫でながら言う。

こいつ、自分の時はあんなにくつろいで身を任せないくせに。とだらしなく腹を出して緩み切ったネコマサを見ながら嫉妬を感じてたりする。


「守秘義務というか、絶対人に話したりしないよね?」


「何か聞かれるとまずいんですかぁ?」


とか言ってくるが、他言無用のところは絶対に約束させた。


そして、おもむろにPCを開きこれまでの収入について見せる。


美香はその画面を見て、一度ゆっくり目を閉じて深呼吸してからもう一度見た。

そして、桁を2回数え直してから。


「なんですかこれ!何かまずい商売やってんじゃないんですか?」


「いいやそんなことはない、ほら、ゲームの売り上げって書いてあるだろ」


「ゲーム?確かに入金は1社からのみでこの金額ですか?

そもそも、正光さんはプログラマーでしたっけ?」


「あ、ああ、うんちょっとね。なんかやてみたら上手くできてさ」


しどろもどろ答え。


「どこで、いつゲーム作ってるんです?」


と言われたので、これはネコマサの部屋を見せるしかないと隣に連れていくと。目をまん丸にして部屋の中で動いているパソコンや自動的にプログラムを書いている画面を見て。


「なんで勝手に動いてるんですか?」


「あ、ああ、人工知能だよ人工知能。それを使うとプログラムが早く作れてね」


「人工知能ですか、最近はそういうところで使われているんですね」


となんか納得してくれる。

そして今までの作ったゲームを見せたりしてお金の売り上げについては納得してもらえた。


「確かに、こんなに稼いでたら会社には秘密にしないといけませんね〜

それにしてもこんなに稼いでるなら、私に貢ぐか妻にもらってくださいよ〜」


と上目遣いに見てくるが、これは冗談として受け取っておくとして



「で、これだけ稼いでいると税金てがっぽり取られるのかな?」


光正が聞くと、急にスッと真顔になって自分のパソコンを開いてかちゃかちゃして。


「経費はかかってますよね。あのパソコンとかめちゃくちゃ高そうですし」


「ああ、その辺は確かまとめてたと思う」


パソコンやらモニターやらの購入金額がわかる領収書を見せると、今度は電気代とか、本の資料にしてるものの金額とかを聞かれてそれらを見せていくと。


電卓を弾いてから


「今のところほぼ経費で消えてるから収入は低いし。まだ先行投資するなら今年はそんなに税金取られなでしょう。控除とかも入ってくるでしょうし数十万円くらいじゃないかしら」


「え、そんなもん」


「簡単にいうと、収入から経費引いたのに税金かけるから。今の状態だと8割経費で消えてるみたいだし」


「そうか、経費か、そういう考え方があるのだな。

なら隣にゲーム制作専用の小屋を作ったらそれも経費になるのかな?」


「なりますよ電気代とかも完全に分けられるので、このままこれで稼ぐならそっちの方が管理しやすいでしょう」


とそんな話をして、さらに詳しく聞いていくと税金の不安は消し飛んでいく。


「やはり専門家に聞くと安心感が増すなー」


「お役に立てて光栄です。それでは今年度分を申告する際に私に任せてくれないかしら。もちろん有料になるけど」


「それは願ってもないことだ、ありがたい」


「そして、秘密にしてあげますからその分の口止め料、賄賂も要求しますよ」


「賄賂とか言っていいんかい」


「ネコマサちゃんと遊んで、なでなでさせてくれればいいです。あとは・・・内容は、今後の稼ぎによって変動します。ちょくちょく様子見にきますね」


「何回もくるの?」


「毎月売り上げと経費はチェックに来ますから、さっき教えたやつに入力しておいてください」


「会社で口頭で教えれば終わりじゃないか」


「会社でバレたらどうするんですか」


確かに。


そして、光正としても、せっかくなのでいくらくらいの建物を作ると、税金的にお得になるのか聞いておきたかったのでそれを調べてもらってから近々会う約束をする。


美香は乗ってきた赤いMINIクーパーにのりこみ、別れ際


「会社、辞めちゃうんですか?」


と車の中から聞いてくる


「いやあ、まだ安定してないからしばらくはまだそちらで働くよ」


「そうですか」


ちょっと嬉しそうにそう言って、美香は家に帰って行った。

そもそも、美香本人は来月から仕事場変わるだろうに。

俺が辞めたところで関係ないような気がするが?


これで経理関係もなんとかなる。

ネコマサには新しいゲーム制作事務所を庭に作る話をしてみると


「では設計は私がやる」


と俄然やる気になり、またそれ関係の書物がいつの間に増えることになってしまったりする。

翌日から建築関係の書物が通販サイトから大量にやってくるようになった。専門書はデジタルになってない場合が多いから、らしいのだが多分本の方が落ち着くのだろう。


このネコ賢者様は、好奇心の赴くままに自由に動いていくので、人間の姿してなくて良かったのかもしれんと改めて思っていた。

そもそも、元の姿とか美人美人と言っているが異世界だとその基準も違うし本当なのだろうか。

それよりも、今のネコマサの姿の方が美人猫でいいと思うがな。


と光正は考えていたりする。




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