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勇者の必殺武器

フンッ。ペリッ。

フンッ。カツン。

どうしてうまく割れない........

なんとか3度に1回、きれいに割れるようになったけど........

さっきから、師匠が後ろで見てる.......

緊張すると......余計割れない.....

「なぁ、レオン。お前の大剣って、重かった?」

「いえ、魔石で軽くしてありましたし」フンッ。

「そっかー」

あ、納屋に行った。スパン!


「てことは.....」

タケシは納屋をゴソゴソ。

「あったー。んであと、これと.......」

「タケシさん、何作るんですか?」と、ペータ。

「フッフーン。一撃必殺の武器」

「武器って、それ、スライムシートですよね」

「これをやなー」

タケシはスライムシートを屏風畳みにした。片方を革ひもで結わえる。

「あ、そこのミルナヤニ取って」

「はい」

「これ塗って仮止め......ん?」

「どうしたんですか?」

「んー。まぁ後にしよ。ほんでこの上から革で巻く.....」

「何ですか?それ」

「レオンの武器。スライムハリセンやー」

「??」


タケシは完成したそれを、バシバシと自分の手に叩きつける。 パンッ! パンッ! 妙にいい音が鳴った。

「うわっ。すっごいいい音。でもこれ、殺傷能力あります?」

「ない」

「武器ちゃうやん」

「ええんや」



あ。また師匠が来た。何か持ってる......フンッ。コツッ。

「レオン、これを授ける」

「これは、何でしょう.....」

扇型の.....

タケシが手でパン!と鳴らした。

「その薪叩いてみ、思いっきり」

「はい」

剣を振るように.....フンッ。

パーン! わっ。めっちゃいい音だけど.......

「割れません.......」

「ヘヘ。ええねん」と言うとタケシはハリセンをレオンの背中にくくりつけた。

「ほな薪割り」

「はい」フンッ。スパン!

「もう一回」

「はい」フンッ。スパン!

「やっぱりなー。何か背中にないとバランス悪かったんや」

「??」

「それ背負とけ」

「はいっ」フンッ。スパン!

すごい.....やっぱりタケシ師匠は只者じゃない......


「タケシさん、僕にも作ってー」

「ペータは自分で作れるやろ。俺はそれよりちょっと気になることが」

「??」

「ちょいサーシャんとこ行ってくるわ」



研究室にはサーシャとアキラ。

「いちゃこいてないかー」

「はぁ?なんですの、急に」

「おぉ、今な、ハリセン作っててな」

「何でハリセン?」

「ねえハリセンって何?」

「いや、ハリセンはええんやけど。スライムシートと、ミルナヤニあるか?」

「ええ」

「これでな、仮止めしようと.....」

スライムシートにミルナヤニをグリグリ塗る。

「なぁ、これどう思う?」

「ちょっとスライムシートが溶けてますよね」

「うん、ほんで粘ってるやろ」

「そうですねー」

サーシャが指につけて、こする。

「あれ?ミルナヤニとはちょっと違いますね。何か接着が強くなってるみたいな......」

「今まで、木の仮止めにしか使ってなかったから分からんかったけど、何かちゃうよな」

「ええ」

「ちょい調べて」

「わかりました」

「あ、先に指洗いや」

「タケシさん、これってもしや」

「アキラ、わかるか」

「ボンドですか」

「まぁそれっぽくなったらええなー」

「ボンドって?」

「アキラに教えてもらい。ほな頼むな」


母屋に帰ってくると、レオンがハリセンを背負ったまま掃除している。

「掃除はそれいらんやろ」

「いえ。ほうきの動きがいいように思います」

「......気のせいやろ......」

「いえ。パワーが」

「好きにして」



「あっタケシ」

「ん?」

「父から」ルークが封筒をヒラヒラさせている。

「あぁ、あれか」

「多分。明日の定例会議で報告するね」

「わかった」

「で、カエル君、何背負ってるの」

「勇者の一撃必殺武器。スラセン」

「何それー」

「まだ誰も、その技を目にしたことはない」

「マジでー」

「うむ」

向こうからペータが走ってきた。

「出来ましたー」

パーン!

「仕事終わったら、カエル勇者と勝負しよー」

「ほな、メット作ったろ」ニヤニヤするタケシ。


仕事が終わり、母屋の玄関前にはギャラリーが集まった。

ハリセンを手に、レオンとペータが向かい合う。

頭には、小鍋をくくりつけ、上にカメスラボールがくっつけてある。

「どっちが勝つ?」

「そらカエルやろ」

「勇者やもんな」

大方の予想はレオンに向くが、タケシだけは違った。

「掛けてもええで。俺ペータ」

「ほなカエル勝ったら、明日の仕事半分にして」

「ええよ。負けたら倍な」


静まる会場に、タケシの声が響いた。

「始めっ!」

さすが勇者レオンの動きは早い。サッと間合いを詰めると、スパッとハリセンを振り下ろす。

シュッ。空を切った。

そこにすかさずペータがーー

パーン!

粉だらけのレオン。呆然としている。

飛び跳ねて喜ぶペータ。

「ほらな、明日の仕事倍」

「なんでやねんー」

「アイツ、背中からハリセン外したら最弱やから」





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