表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/28

黄色い馬車が来た

「なあレオン、この町来たことあるん?」

「はい。以前パーティーで」

「あっちこっち行ったんやな。うち、ミナセから出るのって王都位やから、何やワクワクするわ」

「そうですか......」

前を向き手綱を握っていたレオンが、ふっと顔を背けた。

「カツミさん。ここですー」

「レオン、あの宿やて」

「はい......」

横を向いたまま通り過ぎたのは、冒険者パーティーだった。


旅慣れないカツミのために、宿のある道を選んだ。

小さな町だが、商店もある。

宿に着くと、カツミは町に出たいと言った。

仕方なくレオンが付いていく。


「おい、レオンと違うか」

「あーらホント。レオンよね」

「レオン、お前剣はどないしたんじゃ」

ーー「カツミさん、僕の後ろに」

〈白銀の翼〉のガドルとミレイアだ。他のパーティーに入っようで、5人が集まっている。

「勇者レオンか。へーこいつがねー」背中に剣を背負った男が前に出た。

「何だ。剣も持たない勇者かよ。てかー、なんて格好だ?あれ」

指を指して大笑いしている。

その前で体を固くして、カツミを背に隠すレオン。

「何だよ、おっさんにやられたんだってなー」

「勇者もかたなしだよなー」

腹を抱えて笑っている。

レオンの顔が悔しげに歪む。

「レオン、ええで。やってまえ!」

カツミが後ろから声を掛けた瞬間。

パパーンパンパン

コンコンコンコーン....シュパっ。

マシロが走ってきて小さな玉をほおった。

パコン.......シュパっ。

あぁぁぁー。フェーックショイ.....

グッシュン。痛ったーい.....

「さ、行きましょう」

「レオン。ハリセン畳もか」

「はい」




グレイス領に着いた。

荷を解いていると、セルディオがやって来た。

「カツミさん。お疲れ様です。少しお休み下さい」

「荷物多いのでー。ちょっと仕分けしてから休憩しますね。あっ、ピュアフローゼリー食べてみます?」

「お持ちになったんですか?それは嬉しい。頂きたいです。では手伝いをよこしますので、使ってください」

えっとー。これとコレはーこっちでー。スライム関係は、村行きでー。あ。けん玉。村行きー。ほんで........


「冷たくてツルンとして、いやーこれがまさかスライムとは」

「村の井戸で飼育出来ると思うんです」

「城で飼育してもいいですよ」

「いえ。魔道水では育ちません。井戸水がいいんです」

「そうですか、まぁそれも村の収入源になりますし、よいと思います。で、納豆の方は」

「機械お持ちしましたよ。あとで調理の方に作り方お教えしますね」

「それはよかった。いやーあれ、くせになる味ですな。ちょうど豆が手に入りまして、えっとグレイスビーンズでしたか」

「まぁ、最高級の豆ですよ。きっとおいしくなります。ホホホ」



翌日は村に出た。

小さな集落ができている。

ポンプ隊は別行動で空になった村から順にポンプを引き上げていく。

カツミ達の黄色い馬車が集落につくと、子供達が集まってきた。若者の姿も数人。

集落の前では少し畑が開墾されていた。

「アルベルク様、若い人たち帰ってきましたね」

「はい。少しづつですがね。

隣の村が近いので、そこと繋げるように小屋を増やす予定です」

「じゃぁスライムは、そっちの井戸を使いましょう」

「それがいいでしょう。ここはもう1本井戸を増やしてもいいと思っているので」


「はーいみんなー。集まってー」

ゾロゾロと子供達が集まる。その後ろに大人。

「みんなはこのお兄さんと、今からこれで遊びまーす」

カツミがけん玉の箱を出した。

「はいルーク、模範演技」

ルークが腰のけん玉を持つ。

膝を曲げ、カツンカツンカツンぐるーんカシュン

子供達は大喜びだ。

「じゃあルークお願いね。あ、アルベルク様もご一緒にどうぞ」

「えっ.....」

「大人はこっちですー」

置き去られたアルベルクに子供が近づいてきた。

「ねぇ、おじちゃんもやって見せて」

「う.......うむ」

カスッ。カスッ。んー。エイッ。カスッ。

「クッソー!」


カツミ達は馬車で移動し、井戸べりにスライムを降ろした。

もう一つは根付きのハーブの箱。

大人達はスライムが食用と聞いて興味津々だ。

スライムの飼育方法と、エサのハーブの栽培について細かく指示していく。

カツミの指示に従って、みんなで動く。

「よっしゃ。分かったかな?」

「はい」

「じゃあ戻ろっか」


戻って来ると、ショーボーシャとポンプシャが散水に来ていた。

「こっちこっちー」

子供が呼ぶとホースでシャー。

そのたびにキャッキャと笑い声が響く。

泥の手で服を触られたアルベルクも、もう何も言わない。

「カツミさん、疲れましたー。子供は元気ですな」

「いい光景でしょう」

「はい。もう忘れておりました」

「そや。スライムの井戸に散水したらまずいな。言うてこよ」

カツミがショウボウシャに走っていく。

アルベルクは、ヨイショっと声を出して立ち上がると、また子供の輪の中に入った。


カツミが大鍋を出して、レオンに火を起こさせた。

沸かした湯に持ってきていた食材を入れる。

「何ですか?」

「鳥を細かく切ったのと、茹でた豆です。昨日厨房で下ごしらえしてきました」

また沸いた。

「次は、これはノマドですな」

「はい。クリーミーチキンです。で、ここにスパイスを足しますね」

鍋を底から混ぜて10分後ーー

「出来たよー。みんなおうちからお皿とスプーン持ってきてー。手も洗うのよー。」

周りで見ていた子供達が一斉に散り、また戻ってくる。

「はい。並んでねー。でもその前に、おうちにおじちゃんおばあちゃんがいる人ー」

はーい。とほとんどの子が手を挙げた。

「じゃあ、先におじちゃんおばあちゃんに持っていってあげよう。いいね」

と言うと次々と皿に注ぎ始め、子供達がソロソロと運んでいき、また皿を持って並ぶ。

やっと子供達にも行き渡った。

「じゃあみんな、いただきます」「いただきまーす」


青空の下そこら中に座り込んで、一心不乱に食べる子供たちに、レオンがパンを配っていく。

「パンはー、こうやって食べてごらん」

カツミが浸してパクっ。

みんな真似をする。

「カツミさん。これはカレーですよね」

「ええ。子供とお年寄りが食べやすいように超甘口です」

「豆も肉も柔らかいです。そうか......こういう風にすれば食べやすいのか......」

「まぁ今日のは即席ですけどね」

「あのー。カツミさん、城の調理人に教えてやってもらえませんか」

「構いませんよ。衛生管理からね」

「エイセイカンリ?」

「はい。じゃあ今夜にでも」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ