第21話 突然始まるデスゲーム
「お腹いっぱい」
「そうだな」
食事を終えた二人は、ソファでだらだらとしていた。靭はタバコを吸いながら映画を鑑賞しており、凛は靭の太ももを枕にしつつ、蔦を使って本のページをめくらせている。蔦といったが、正確には蔦の見た目をした影だ。
なぜそんなことができるようになったかと言えば、それは5回目の食事を終えた時に起きた。
本を読み終わった凛が、机に置いてしまった漫画を立ち上がらずに手を伸ばして取ろうとしていた。しかし、ギリギリ届かない。あと少しと手を伸ばしていた際、影が出てきたのだ。凛はそれを慎重に操作して、続きの漫画を机から持ち上げたところを、トイレから帰ってきた靭が目撃。
二人は、凛の影について、ああでもない、こうでもないと、色々と試して遊んでいた。ある程度思うがままに影を操れるようになった凛だが、影の見た目が気に入らなかったようだ。見た目が嫌だと思えば、影は自ら植物の蔦に早変わりした。あれを取るのも、これを取るのも、すべて凛の思うがままとなった。
能力も、能力の見た目も、精霊のような力となった凛は、傍から見れば完全に精霊である。
「ジュースとお酒、取って」
「おお、相変わらず凄いな」
ソファからキッチンの冷蔵庫までは距離があるというのに、蔦は意志を持っているかのようにぐんぐんと伸び続けた。冷蔵庫に着けば、凛の好きなジュースを取って戻ってくる。何とも素敵な力であった。
「はい、これ、靭の」
「おう、ありがとう」
そんなわけで、二人はのんびりと食後を楽しんでいる。
優雅な時間を過ごしている靭と凛だったが、突然、凛が起き上がった。
「ん?」
「どうした?」
普段、午後の優雅なティータイムで、凛はトイレ以外で立ち上がることはない。なにせ、凛の代わりにすべて蔦が動いてくれるからだ。夕飯の準備も、基本的には靭が腹を減ったら作り始めるため、それに合わせている。
つまり、凛に何かが起きたのだろうと、靭は予測した。
「なんか……響さんの声がする」
凛が突然、そんなことを言い始めた。
「まじ?」
「うん。靭には、聞こえないの?」
「あ、ああ。紫苑さんは、なんて言ってるんだ?」
靭と凛の見た目が変わり、凛に至っては、影を自由自在に操れるようになった。ということは、響の能力も強化されたのだろうと考えるのが自然だろう。
「外に集合してほしいって」
「じゃあ、行くか」
「うん」
何かがあったのか、それとも何かするのか。不安は特にない。何かしら、話したいことがあるということなんだろう。アナウンスもないため、今は自由時間だ。情報を共有するのが目的だと、靭は考えている。
ガチャリ――扉を開ければ、すぐに目に飛び込んでくる四つの人影。
「あ、きたきた! おーい、凛ちゃーん、深海さああああん!!」
ブンブンと元気に手を振って、靭と凛を歓迎する真っ赤な髪の人物が目に映る。
赤月カルだ。
燃える炎のようなウルフヘアー。瞳も赤く、獰猛な肉食動物のような瞳も真っ赤に輝いている。八重歯が牙のように尖っており、歯を見せる姿は獣人のような。とはいえ、凶暴な顔になったかと言われればそうではない。そういうキャラのコスプレという言葉が似合うくらいに可愛い。
まず一人、大きく変化した姿のカルが、凛の元へ走ってきた。
「凛ちゃんと深海さんも別人だね」
「カルもな」
「カルちゃん、可愛いね」
「ふふーん、でしょ!」
両手を組んで、ふんすとドヤ顔を見せたあと、「でもさー」と言葉をつづけた。そして、耳とお尻に触れてから項垂れる。
「猫耳と尻尾もつけるべきだと思わない?」
「たしかに、あったら似合いそう」
「そうだよね、凛ちゃん!」
凛が同意すれば、カルもまた、激しく首を縦に振って同意する。靭は、二人の様子をみつつ、他に視線を向けた。
すると、目の前に守大の姿が。カルを追ってきたのだろう。相変わらず、カル一筋である。
「ど、どうも」
黄土守大。
髪が煉瓦色に染まっており、瞳は黄色で、目の形が鋭くなっている。体も丸々とした身体から、引き締まったように思う。特にお腹周り。アニメキャラのタヌキのように膨らんでいたお腹も、すっきりしていた。
「守大の筋肉が、すっごいんだよ!」
カルがそう言うと、守大は何度かカルを見た後で、恥ずかしそうに腕の筋肉を見せてくれた。身長もさらに伸びた様に思う。あと少しで2mに届きそうな勢いだ。ただの筋肉ならさほど変わりないと思っていた靭だが、少し強く握ると変化に気付いた。皮膚の柔らかさからは、想像がつかないほど、内側の筋肉が硬いのだ。靭は遠慮なく、守大の体を触ったが、どの部分を触っても硬かった。
「本当に、凄い変化だな」
「は、はい。見た目も、変わりましたし。もう、最初とは別人です」
「まあ、俺もそうだな」
守大と靭は、大きく変化した部類だろう。凛とカルも変化しているが、体格が変わったわけでもないので、すぐに誰か分かる。顔と体格で、大きく変化している守大と靭を見たら、そう思ってしまう。
「ちゃんと届いたみたいね」
別人に変わった守大と靭だが、面影で誰だかはっきり分かる彼女が、自身の能力の成果に満足しながら声をかけてきた。
紫苑響。
濃い紫色の髪。見方によって、暗い赤や青が見える。グラデーションのような髪らしく、本人は気に入っているようだ。前回は少しだけ伸びていた耳が、今回はさらに長く鋭く伸びている。もともと日本人離れした顔立ちの響だが、さらにその神秘性が増している。もはや、異世界の住人と言われても納得するレベルだ。とはいえ顔は響だとわかるのだから、元の美しさが相当なものだったのだと、靭は改めて理解させられる。
「響ちゃんはね、エルフだよ!」
近くにいたカルが大はしゃぎだ。ゲーム好きと言っていたから、惹かれるのも分かる。靭に関しても、エルフって本当にこうなんだろうなと感心してしまうくらい。響はエルフそのものだった。
「ありがとう、カルちゃん。といっても、弓矢も使えないし、魔法はつかえないけどね。声が遠くに届くようになったくらいだし」
意外とそういう知識に詳しそうな発言をする響に対して、凛は「声が遠くに届くようになった」という発言に食いついた。
「やっぱり、響さんだったんだ」
「ええ、そうよ。ごめんなさいね、突然」
「ううん、いいよ。嫌な感じしなかったし」
「ならよかったわ」
凛と響が並ぶと、本当に異世界にきてしまった気分になる靭。ふたりとも、人間離れした美しさのせいか、何とも絵になる。こんな無機質なドームではなく、自然あふれる場所で写真を撮りたくなる靭であった。
「ねえねえ、深海さん」
「ん、どうした?」
「なんかさ、本当に異世界に来た気分だよね!」
「違いない」
ゲーム好きで話が合うカルが、凛と響の姿を見ながら、楽しそうに笑う。靭は思わず笑みを浮かべる。まあ、間違いなくそう思うよなと、靭はカルに同意するのであった。
「こんにちは、深海さん、木花さん」
そして最後の一人が、声をかけてくる。
黒曜吟時だ。
彼は一人、コスプレのような髪色をした靭達とは違い、完全な黒髪に戻っていた。そして、伸びた黒髪を一房に束ねている。顔立ちは、中性的イケメンから、日本男児のイケメン顔へと変わっていた。ただ、瞳は灰色で、目が笑っているのに笑っていない不気味さがある。背も五センチほど伸びたのか、以前よりも男らしさが増している。
「なんか、ゲームの侍っぽいな」
「それは、誉め言葉ですか?」
「え、そうだけど」
男なら、一度はやったことがあるであろう無双系ゲームの侍のことを指したつもりだったが、どうやらピンとこないらしい。
「乙女系に出てくる侍だよね!」
「それは、誉め言葉ですか?」
「うん、イケメンって意味!」
「そうですか」
カルはカルで、もっと分かりにくいことを言う。もちろん、吟時が分かるはずもなく、にっこりと笑みを浮かべたままだ。
ひとまず、全員が変化した姿を見せてくれた。靭はそれをぐるりと眺める。赤、黄色、青、緑、紫、黒。まあ、なんとも濃い面々である。顔の作りがいいからか、そういう撮影ですかと言いたくなる気分だ。
「なんつうんだろうな、こういうの」
現実離れして言葉が出ない靭に対して、カルは鼻息を荒くしながら、全員を見て叫んだ。
「進化したみたい!ほら、ゲームで一定のレベルが上がると、姿種族が変わる的なさ!」
正直、そっちの方がしっくりくる靭は頭を抱えた。現実世界が、ゲームの世界に。事実は小説より奇なりとは、まさしくこのことなのか。もはや、何が何だか分からない。ただ、分かることは、カルの言葉を信じたくなる状況ということだ。
「はぁ……そっちの方がしっくりくるよな」
「でそでそ!私たちは、悪の組織に捕まった人なんだよ!」
ドヤ顔で答えるカルに対して、吟時が笑顔でカルに伝える。
「だとしたら、最後がハッピーエンドになることはなさそうですが」
カルの口が開きっぱなしとなり、視線の焦点がどこを向いているのか分からない。なんとなく、意識が宇宙を彷徨っているかのようだ。
「か、カルちゃん?」
数秒固まっているカルに、守大が話しかける。すると、突然ビクッと動き、鬼気迫る顔で言う。
「……確かに!!」
カルは至って真剣だが、どうにも気が抜けてしまい、靭は苦笑いを見せる。
「まぁ、その辺は考えても仕方がないと思うけれど……」
にしてもと、響が靭を上から下まで眺める。
「人間離れしてるのは確かね。深海さんなんて、整形したくらいほとんど誰か分からないじゃない」
「俺もそう思うよ」
靭ですら、自分の顔を見てコイツ誰状態なのだ。響の言葉も納得できるだろう。
「ダンディだね!」
「ワイルド」
「凛ちゃんは、妖精とか精霊みたい!」
「カルちゃんは、愛嬌が増した。ワンちゃんみたいで、とっても可愛い」
「ぬふふ、でそー!」
カルと凛は、年齢が近いもの同士、楽しそうである。ワンちゃんみたいというのは褒め言葉なのだろうかと思わなくもないが、カル本人が喜んでいるので良いのだろう。
「まぁ、肉体が改造されてることには変わりない。化け物の姿になってないだけ、ありがたいと思うことにしよう」
「そうだね」
靭の言葉に、凛が賛成する。周りも靭の言葉に文句もないのか静かだ。
「ん?」
そして、何かを求めてるようにも思う視線が集まっている。
「あー、今回って、どうして集まった感じなんだ?」
今更ながらの質問をする。集まろうといったのは響なので、響のほうを見ながら。だが、全員を呼んだ響は、肩をすくめた。
「あなたが、交流しようといったんでしょ」
「あー、確かにな。都合のいい時が分からなくて、困っていたが」
「察して呼んであげたの」
「都合のいい能力になったもんだ」
「でしょ」
揚げ足を取るように伝えた言葉だったが、響は特に気にした様子を見せることはなかった。響は靭を揶揄うが、靭が響を揶揄えることはないだろうなと悟るのであった。哀れなり、靭。
「じゃあ、せっかくだし、見た目だけじゃなくて能力のことについても、共有したいが……問題ないか?」
能力開示について、特に反対する意見も出なかった。もう、今さらということもあるのだろう。この六人で戦ったのだから、仲間意識は芽生えていそうだ。
「はいはいはーい! じゃあ、アタシから!!」
自分の能力のことを言いたくて仕方がないカルが手を挙げて、靭を赤い瞳でキラキラと見ていた。靭は苦笑いしながらも、カルにお願いする。
「じゃあ、頼む」
「もっちろん! えっと、ね。なんでも嚙めるようになった! 前は硬く感じた骨も、麩菓子みたいに軽く食べられた! たぶん、前より丈夫になってる! あと、食欲は超増したけど、体型の変化が無くなった!」
前も骨まで食べていたが、食感が煎餅から麩菓子に変わったらしい。歯というより、強靭な顎も手に入れたようだ。さらに、話を詳しく聞くと、さすがにこれ以上食べれないとなると、前は腹が膨れるようだ。ただ、今は、その状態になっても、お腹は膨れなくなったという。その話を聞くと、女性陣が羨ましそうにカルを見ていた。どれだけ見た目が変わっても、女性は女性ということだ。
「じゃあ、次、守大!」
満足したのか、カルは勝手に守大を指名した。守大が靭を見てくるので、どうぞと手のひらを向ければ、守大はもじもじしながら話し出す。
「え、えっと、僕は……見た目以外で変わった点と言えば、力を誤ると物を壊してしまうことでしょうか」
「あー、マモタがくしゃみしたとき、持ってたフライパンの持ち手が守大の手の形になってたね!」
「そ、そうだね」
「それはまた……すごい力だな」
見た目通りと言うべきか、人外並みの力を手に入れたようだ。ただ、それ以外は特に分からないとのこと。今わかることは、とっさに出た力は制御しきれないということだけだ。守大や靭あたりは、実践で何ができるようになったか分かるタイプということだろう。
「じゃあ、次は私でいいかしら?」
「ああ、頼む」
守大の話が終わると、響が率先して手を挙げてくれた。靭はそれに甘える。
「とはいえ、みんなが知っての通りね。どこにいても声を届けられるようになったわ。とはいえ、相手の素性が分からないと駄目みたい。それ以外だと、耳がさらに良くなったと思うわ。でも、ここ以外の場所は聞こえないんだけどね」
聴覚に加えて、伝言の能力。完全にサポートタイプの力である。化け物を殺すほどの力があるかと言われれば、それは難しいとのこと。とはいえ、実際に試したわけではないので、こちらもまた実践でのみ分かるだろう。
「では、次は俺ですかね」
今度は、吟時が自ら名乗り出る。
「目が良くなりました。ああ、視力の話ではありません。そうですね、相手が次何をするか分かるといったところでしょうか」
「それはまた、面白い能力だな」
「そうですね。でもまあ、日常で使うことはほぼないかと。戦闘中であれば、遺憾なく発揮できる力だと思いますよ」
そう言うと、吟時は靭たちを眺め始めた。
「例えば、そうですね……木花さん」
「なに?」
凛の苗字を告げると、吟時はにっこりと笑う。
「靭さんの膝の上に手を乗せる」
「む」
吟時がそう発したと同時に、凛は靭の膝の上に手を乗せていた。凛は、なぜ私を選んだ、と不服そうな視線で吟時を睨んだ。
「怒らないでくださいよ。赤月さんが、欠伸をして退屈そうに伸びをするも、追加しておきますから」
「はにゃ!?」
今度はカルを見ずに、吟時はカルの行動を当ててみせる。カルは驚きのあまり、口を大きく開けたまま固まってしまう。
「そう、頭を抱えないでくださいよ、靭さん」
そういったと同時に、靭は頭を悩ませるように髪に触れていた。熊の化け物で吟時をサポートしてから、吟時は靭の名前を呼ぶようになっているようだ。先ほどは、聞き間違いかと思った靭だが、そうでなかった。懐かれたもんだなと思いつつ、靭は吟時を見た。
「……はぁ。とりあえず、その力が本当だというのは分かったよ」
「ありがとうございます」
満足したようで、吟時は、そのまま静かに口を閉じた。どうやら、これで話は終わりのようらしい。
「……じゃあ、次はわたし」
今度は凛が言うそうだ。凛は靭にピタリと寄り添ってから、手を前に出す。
「来て」
凛が呼べば、蔦の見た目をした影が出現する。
「おお!!」
蔦を見て、喜んだのはカルだ。カルは目を輝かせて、凛と蔦を交互に見返す。
「よく分からないけど、影が出せるようになった。これは、蔦じゃなくて影。ある程度のことなら、わたしが命じれば、自在に操れる。回復能力も、危機回避能力も、たぶん、まだ残ってる。今できることは、それくらい」
「魔法きちゃああああ!」
カルは元気よく立ち上がった。余程興奮しているのか、鼻息をふんふんと立てて、凛を尊敬の眼差しで見つめている。凛は凛で、カルの反応が面白いのか、カルの方へ蔦を伸ばし始めた。
「おお、凄い、凄いよ、凛ちゃん! 本物の精霊だよ!」
「ふふ、ありがとう、カルちゃん」
凛は満足したのか、影である蔦を元に戻した。
残りは靭だが、靭はつまらなそうに両手を肩まで上げる。
「俺の能力自体は、まだ何ともな。たぶん、能力値は上がってるはずだが、基本的には変わらない。何度か受けた攻撃を自分の力に変える。一撃で殺されでもしない限り、受けた分だけ肉体が強化され、強化が完了すれば、同じ攻撃でダメージは負わないといったところか。悪いが、今は、これしか分かってない」
自分なりにまとめ上げた結果を伝える。とはいえ、これは前回も伝えた内容と同じだ。前回と能力が変わっていないのは、靭だけだった。
「隠し事、そう捉えてもよろしいですか?」
(まあ、そうなるよな)
靭は、ため息を吐きそうになった。前回と変わらないということは、新たに提示できる能力がないのだ。吟時にそう思われても仕方がない。
「それは、ないと思うわよ」
「紫苑さん」
それを庇ったのは、凛ではなく響だ。
「嘘の心音じゃないもの。少しだけなら、そういうのも分かるのよ」
「靭は、そういう人じゃない」
「アタシもそう思うー!」
「ぼ、僕もそう思います」
どうやら、懐かれてたのは吟時以外からもらしい。皆、吟時の発言に対して、否定的な意見を発した。吟時は、後頭部に手を置くと、いつもの飄々とした笑みで笑う。
「嫌だな、冗談じゃないですか。そこまで、一方的に言わなくても」
「知ってるわよ。わざわざ他を試す真似をするなと言ってるの」
怒ったのは響だ。靭に対する発言ではなく、彼を通じて他のメンバーの反応を試すような言い方だと察していたのだろう。
「私は、アンタと違って、ここにいる全員を信頼してるから、この場にいるの。もちろん、アンタを含めてね。だからとは言わないけど、そろそろ真面目に協力してくれないかしら?」
普段、余裕のある態度を見せる響だったが、突如として吟時に注意を始めた。吟時は、響の言葉でいつもの薄ら笑いから、真顔へと表情を変える。
「信頼、ね。あなたがそれを言いますか……紫苑さん」
「……ええ、そうよ」
空気がぴりついたことで、カルと守大がオロオロと戸惑いだして、凛は靭の手を握る。面倒くさいことになったなと、靭はため息を吐く。
「まてまて、どうしてそこで、言い争いになるんだ。今はそんなことしてる場合じゃ」
最後まで言葉を発しようとした時だ。
ドンドンチャンドンドンチャン――ふざけた効果音が、靭の言葉を遮ったのである。
「このタイミングかよ」
靭はまたしても、頭を抱えてしまう。
『突然始まるデスゲームだぜええええええええええ!』
いつも通りのふざけたアナウンスが鳴り響いた。




