幕間:料理魔法
「ええと、……これでいいのか?」
宿屋の一室、部屋の片隅。
部屋の中にいる時、殆どの時間使っているテーブルで俺は料理スキルの実験をしていた。
「なになに?」
それに気づいたアカネが俺の隣の席に来る。
「料理スキルにさ、料理魔法ってのがあってさ、それの初級を試してみた」
俺はテーブルの上のコップをアカネに渡しながら説明する。
「ジュース?」
「この前採ったブドウの余りを潰して作った」
「わー、主婦力」
「いや主婦は果物潰してジュース作らないだろ。つーか主夫だろ」
アカネは俺の憤りなど何処吹く風。
ブドウジュースの入ったコップを持ち上げて、光に透かしたりしている。
「で、これの何が料理なの?」
一通りブドウジュースを見て、俺がそれにどんなスキルを使ったのか分からないという風で、改めて質問される。
ので、勿体つけず答えることにする。
「これはな、炭酸飲料になっているのだよ」
料理スキルの初歩も初歩。水に炭酸を加えるという、魔法呼ぶにはあまりにもショボいスキル。
しかもそれは、まだ俺のスキルレベルが低くアカネが気づけない程の微炭酸にする位の効果しか発揮できていない。
そういうことをアカネに説明する。
「へー」
「反応うっす」
さして興味なさげな感じで、アカネはコップをテーブルに置く。
「だって要は水が炭酸水になるってことでしょ。もっと他にありそうなものだけどね」
「でもなぁ、他は発酵食品とか時間かけるものだからさ。すぐ出来そうなのってこれくらいなんだよ」
「なるほどね」
アカネが納得したと頷く。
「と、いうわけで人数分作ったし飲む?」
「飲む飲む」
「頂きます」
「もらうわ」
そして宿屋の一室はブドウサワーの試飲会になった。
「味は、……ブドウ」
「それにスゴく弱い炭酸で……」
「なんちゅうかビミョー」
評価は散々だ。
そして、まだ感想を言っていないアカネはというと、
「ーー!」
どういうわけか酸っぱそうに口を尖らせていた。
「なあアカネ、炭酸苦手か?」
「え?そんなことないわよ。(クピッ)ーー!」
「苦手ですよね」
「苦手やんな」
「平気よ!!」
そしてまたブドウジュースを煽り、
「ーー!」
……なんか可愛いな。




