決戦への覚悟
「………。」
話を聞き終えたティードはどう言えばいいのかわからないと言う感じの表情をしていた。
「部活の内容が危険なことから、今回の部活結成の時みたいに理事長に許可を得て、仕事が終わったら、結果と安全の報告をしなければならなかったんだけど、その報告は忙しい理事長と、私達も普段依頼が多いから忙しいってので書類を通して行ってたの。今も同じだけどね。でも今回のは…メンバーの…私とタール以外の全員が死んで…しかも、その遺体の回収も出来なかった。だから直接、理事長に報告をしたの。」
「じゃあ、理事長、秋葉の事情は知ってたのな。」
「ええ。それで理事長に私が無茶しないようにって危険なことをするのを止められてたんだけど。…今度は絶対に。あんな結果にならないように。そして、タールを止めるためにも。私はこの部を再結成したの。」
それを言った秋葉の目は初めて話しかけられて、この部活に入ってからも何度も見てきた目だった。あの…強い目。………それでいて、見てて不安になってくる目。
どんな無理でも、なんとかしてくれそうで…でも、代わりに秋葉は押し潰されてしまいそうで…。そんな不安が…押し寄せてくる。
「そんなに不安?」
秋葉が突然、ティードの心を見透かしたように言ってきたため、少しびくっと驚いてしまった。
「え…あ…その…!」
「フフ…。分かりやすい。私を心配してくれてる理事長と同じ顔。不安を隠しきれないって様子が伝わってくる。…ありがと。心配してくれて。」
「………。」
「でも、大丈夫だよ。私だって何も考えてない訳じゃないんだから。…。今日の実は私達の目的は敵にバレてましたってのだって急だったでしょ。」
「え?…確かにそうだけど…。でも、皆リーダーにはリーダーの考えがあるって信じてるよ。」
「その通り。ちゃんと考えてるよ。ま、ぶっちゃけると最初からバレてたしね。あなたと会った時からね。」
「え!?」
「近い日に皆の前で言うつもりだったんだけど…。ちゃんと考えてるっていうのが分かりやすく伝えるためにも、説明させていただきますと…。タールは私がいずれ何らかの行動に出て自分を止めに来るだろうと思ってるのよ。ま、その通りでタールを見逃すなんてできないから、当然、行動に出るわ。」
「そこで私を誘ったと。」
「そうなんだけど…。その前の情報収集で仲間候補のリストアップや、タールの情報収集。一人で行動したら理事長にも、皆にも迷惑かけるから。心配かけないように、そしてタールを止めるための効率アップのためにも理事長に魔能対策部を再設立するための説得をしたりとかいろいろやってたら一年たって…。信頼できる仲間を集めて見せるって条件でやっと設立許可がでて行動開始よ。」
「だから一度皆で集まってから理事長室に行ったわけだ。」
「そういうこと。それで、何で最初からバレてるかっていうと、さっき言った通り、タールは私を警戒しているわ。そんな警戒している私が、結界を壊しに来た、しかも仲間を連れて。というのはそれだけでタールの警戒レベルは一気に上がる。それに加えて私がここならタールに聞かれることはないとかいって私の目的…タールを倒す何てのを聞いたらなおさらでしょう。」
「え!?マジであんときからなの!?」
「そうよ。それでタールは私が動き出したことを知った。それで動いたのが分かりやすかったわ。次の日にはタールの仲間が増えたって情報が天鼓家から送られてきたんだから。」
「マジかよ…。ってか情報収集の主はやっぱり天鼓家かよ。それ含めてマジかよ…スゲーな天鼓家。」
「まぁね。世界のあらゆる情報はいろんな手を使ってでも手にいれる。『情報』という武器を最大限利用したからこそ上にいった家でもあるからね。」
「そっか…。あれ?気になることがあるんだけど…。何であの時、ここならバレないから目的を教える。なんてことをしたんだ?」
「それがタールに仕掛けた罠ってわけ。さっきも言ったけどこの場所…部室ならいくら話しても大丈夫なんだけど、それ以外、後、天鼓家の敷地や、逆水家の敷地内も大丈夫なの。何でかって言うとそこは大財閥が所有、独占している場所ってことだから。とは言ってもそこに入れて話すって言うのはあなた達にとってもキツイんじゃないかって思ってやらなかったわ。…何て言うかその…精神的に?」
「うん。無理。キツイっす。あんな超強大な家に入って自分の意見言うとか難しいっす。」
「まぁ…でしょうね。それにメンバーの集まりやすさっていうのも違うしね。いつでも気軽に集まりやすい場所といったら学生ならやっぱり部室じゃないかって思ってた。で、この部屋を買い取ったの。これでここは天鼓の敷地だからタールの、管理局協力の超広範囲結界から逃れる場所をつくることに成功したの。」
「おいおい…。って、ん。そうか。最初の結界壊した近くで話してもその内容がタールに筒抜けだったってことはタールの結界の範囲は私達の予想以上に大きいってことか。」
「うん。だから、その結界の大きさを利用して、さも、私達はタールの結界規模の大きさがわかっていませんという、アピールと同時に目的をタールに教えることに成功してるの。私達、天鼓財閥の力を持ってしても管理局によって守られているタールの位置や、何をしているかの詳しいことはわかってない。じゃ、どうすればタールと対峙できるか。どうすればタールを止めることができるか。そこで、さっき言った、私達の目的をタールに教えるって行動をしたの。」
「あ…。タールは確か、リーダーの行動を警戒してるって…。」
「タールは私の目的がタールを倒すことだと知って警戒を強くすると同時に…、野放しにはできない、危険因子であると判断してくれた。そんな危険因子がいろんな仲間を集め、何らかの手を打とうとしている…。なら、その手を打たれる前に倒す…。そんなタールの考えそうなことを利用して、ここならバレないからとか、部室にわざわざ連れていったりするとかして、タールをこちらに向けさせたの。そのかいあって、今日、届いたの。ほら。」
秋葉は鞄から、一枚のプリントを取りだし、ティードに見せた。
「依頼書…だな。匿名の。場所は岩石平山…。依頼内容は怪しい物があるとかいったありふれたもの…。」
「タールの依頼よ。岩石平山は…タールが私の仲間を殺した場所。内容はこんなでもわざわざこの場所を指定していることから私がタールがいるのではないかと思わせ、確実にこの依頼を受けさせるようにしているわ。そんなことしなくても、出向いてあげるっていうのにね。依頼された指定時間は今日の一週間後。まぁ、こんな感じで私もいろいろちゃんと考えてるのよ。」
少し自慢気に説明する秋葉を可愛らしいと思いつつも素直に感心するティード。
「…はぁー。成る程。それでタールを誘きよせたってわけだ。でも、何で最初からそれを説明しなかったんだ?」
「そりゃあ、部活に入ったばっかのあなた達にいきなり、タールを誘きだすために演技をしてくださいとか言って、成功する可能性を考えたら…ねぇ?」
「そりゃそうか。」
「それで結果的にタールに私達の目的はバレてる。決戦は近いって急に言うことになっちゃったのよ。この言い方も誤魔化す感じではあるけれど。一週間前から心の準備はしてほしかったから。」
「そうか…。つっても、今回の内容もいきなり言われることにはなるからどっちにしたって皆、ビックリすることになりそうだ。」
「重要なのはどうしてこんなまわりくどいことやっているのかって以上に、タールを止めることだからね。決戦は近いってことのその具体的な日取りがわかって、より、その日に向けて気合いが入ってくれれば。」
「そうだね。…うん。大丈夫。私は少なくともリーダーの話を聞いて気合い入ったし。皆もそうだと思う。」
「…なんか、騙すような感じになってごめんね。」
秋葉は申し訳なさそうな顔をする。
思い出したくもない過去だろうに思い出させてしまったこちらにも分があるとティードは謝った後、
「リーダーにはリーダーなりの考えがあったんだし、逆に演技求められた方がキツかったし…。さっきも言ったけど気合い入ったし。なんかやる気がみなぎってくるんだよ。リーダーの言うとおり、タールを止めることが私達の目的だよ。その結果に皆が無事に辿り着けるんなら。文句はないって。」
「…ありがとう。」
心のそこから、嬉しそうな笑顔で喜びを口にする秋葉。
その笑顔を見て、頑張ろうってティードは改めて思うと同時、心配の感情が大きくなっていく。
その日はこうして漠然と不安を抱えたまま、ティードは帰路につくことになった。
今日も学校への登校日。
近づくタールとの決戦に向け、作戦を練った方がいいということで依頼はこなさず、作戦会議をしようと言う話になっている。
ティードは昼休み、最近ではアーミーとエクスと一緒にご飯を食べることが多いが、今日は昨日の秋葉の話が頭に残っているためか、一人になりたい気分だった。
「………。」
中庭のベンチでボーッとしながら購買で買ったサンドイッチを食べていると、高く、それでいて凛とした声が近くから聞こえた。
「どうしたんですか。ティードさん。ボーッとして。一人とは珍しいですね。」
「…理事長…。」
そこには袴姿が似合う大人な雰囲気がありながら子供のような容姿を持つ、綺麗な女の子が立っていた。
こんな小さな一見子供のようにしか見えないこの娘こそ、この学園の理事長にして伝説ともいわれる超存在、創始者なのだ。
理事長に会ったにも関わらず、龍を見た。等々の誇大に聞こえる噂が信じられてしまうほどだ。実際に会ってみるとそれは事実なのではないかと思ってしまうほどの魔力とオーラがある。
「えっと…ちょっと…まぁ、いろいろありまして…。」
「秋葉さんのことですか?」
ティードは秋葉の名前を出されただけでもドキッとした。後、なんで分かったのだろうと疑問符がわいた。
「心配が顔に出ていますよ。そんな心配と不安が入り交じった表情…ふふ。私も浮かべたことがありますから。秋葉さんに指摘されて気付いたことですけど…。そんな表情していたんですね。これでは逆に秋葉さんに心配されてしまうのも納得です。」
理事長は優しく一歩一歩歩いてきて、ティードの隣に座る。
「そんな顔を浮かべていると言うことは秋葉さんから話を聞いたのでは?と思って言ってみたのですが…。どうやら当たったようです。」
成る程ね…。そう納得すると同時、そう言えば理事長秋葉の過去を知っているのだったと思い出す。理事長はどう思っているのか聞いてみたくなった。
「理事長は…リー…秋葉生徒会長のことが…心配なんですよね?」
「もちろんです。当たり前でしょう。」
「どう…思いますか?会長のこと…。私は…無理をして、取り返しのつかないこと…。私達を守るためなら、命を捨ててでも助けてくれそうで…。ハラハラするんです。過去にあったことを背負い込んでるような…。それで自分で自分を追い詰めているような…そんな気がするんです…。」
「私も同じ思いですよ。過去にあったことを彼女は間違いなく背負い込んでるでしょう。自分のせいだと思って。将来、大財閥である天鼓家を継ぐんです。それで勉強だって手をぬかない。それだけじゃなく、いろいろ習い事や、学校で学ぶ範囲ではないことすら勉強している。この事からもわかる通り、彼女は責任力というのが人一倍強いんです。今回のことも例に漏れないのは彼女にとっては当然なのでしょう。例え自分のせいではなくとも彼女は自分を責める。大財閥を継ぐというのはそういうことだと彼女は考えている。」
「………ですよね…。会長は…自分を…。殺してでも私達を…。」
「助けてあげたいのですが…。私も仕事が多く、なかなか彼女に気を使って様子を聞くことすらできない。秋葉さんの無事の報告を待つ日々です…。なかなかもどかしいです。だからティードさん。あなたにお願いがあります。秋葉さんを助けてあげてください。あのなんでも背負ってしまう娘に。私の代わりに…。怒ってください。」
「………。」
伏せていた顔をあげ、理事長を見る。
小さな身体に似つかわしくない大人の微笑みを理事長は浮かべていた。しかし、彼女の心からの心配からくる母性がその微笑みは理事長にしかできない美しいものになっていた。
ティードはその表情を見て、誓った。
「当然です。願われなくたってやりますよ。必ず、彼女を…秋葉を守って。帰ってきます。」
忙しく、秋葉に会えない理事長だが、秋葉も理事長が言った通り大財閥を継ぐ者として学校でも多忙な毎日を過ごしている。
こんなふうにたまたま時間ができても、あるいは作っても。秋葉に理事長はなかなか会えないのだ。
今、こうしてティードと話ができているのは時間ができたから。…いや。タールからの依頼が来ていると聞いた理事長は秋葉とゆっくり話すためにも時間を作ったのだろう。
先程、話していて改めてわかったが理事長は無理して秋葉の身に何かあるかもしれないと心配している。焦燥があったのだろう。
タールに生徒が殺されていて理事長が辛くないはずないのだ。
だからこそ尚更。秋葉が心配で探して。秋葉も忙しくて会えなくて。焦燥が募っているなかティードを見つけたのだ。
それほどまでに心配してくれている彼女に。同じく、秋葉を心配している皆とそして秋葉の。何より自分のために。
ティードは秋葉を守りきってみせるとここに誓ったのだった。
放課後。秋葉の説明を受けた皆の反応はある意味予想通りだった。
いきなり過ぎる!なんて意見も当然あったが、それもやがて笑って流されて。
決戦の日まで作戦会議を開き、タールの能力の説明などに始まるそれぞれ皆が理解している敵の説明をするだけして。それを元にどうするかを話し合う。
他にもいろいろ話して笑いあって。
そんな感じで日々はあっという間に過ぎていき、そして…。
「それじゃ、行きましょうか。」
決戦の日。いつも通り放課後皆集まって。
秋葉のその一言の後、次々とワープカプセルに入っていき、岩石平山に転移していった。
この日にメンバーそれぞれの因縁にも決着がつく。自然と皆、気合いが入るなか、岩石平山に次々と到着していった。
パッと見の印象は…
「広っ。ってか岩ばっか。ホントに殺風景ね。」
アーミーの言うとおり高い岩がまばらにあるだけの殺風景という印象だ。
「タール達が待ち伏せしている可能性も高い…。そうなれば厄介だな…。」
これはタールからの依頼。そうである以上、ヴェルクの言うとおりタールが待ち伏せ…または何らかの罠をはっている可能性は否めない。
「それは厄介ですね…。これほど視界があけた場所で岩山の上から見下ろされていたらこちらは筒抜けですよ。」
点在する岩山を見ながら言う谷徳。それに秋葉が応じる。
「そうね。だとしてもそれくらいなら…。」
話している途中に飛んできた魔力の衝撃波を秋葉のワープホールで吸い込み、かき消す。
「作戦会議で話した通り、予測ずみよ。」
衝撃波が飛んできた方向を見ると岩山の上に男が一人座っていた。やや細身の身体に鋭い瞳が特徴のこの男が…。
「タール。久しぶりね。」
「それはこちらも言えることだね。本当に久しぶりだね。秋葉。相変わらず綺麗だ。…それにヴェルク。君も久しぶりだね。相も変わらずその鍛えた肉体を無駄にしているようだ。」
どうやらヴェルクも元、同学年だったのもあり知っているようだ。
タールは心底楽しそうにニヤニヤしていた。
「大きなお世話だな。お前こそ相も変わらずその気色悪いニヤニヤを浮かべているんだな。やめたらどうだ。」
「癖ってのはそう簡単になおらないから癖っていうのさ。…お前同じでね。ヴェルク。」
タールはそれからゆっくりと秋葉の後ろにいる魔能対策部のメンバーを見る。
「それが秋葉の今の仲間達か…クク…。いいじゃないか。強そうだ。それに…いくつか俺の仲間と因縁のある顔もあるようだし。楽しくなるのは間違いないね。ありがとう秋葉。こんな楽しそうなステージに連れてきてくれて。」
「お礼ならあなたが捕まった後たっぷり聞いてあげるわ。」
「それはありがたいね…」
突然、上空から魔力の気配が漂い、見ると魔方陣が質量を持ち、魔力としてではなく、魔力の塊として質量を持った物体が落ちてきた。
「ま、そん時はよろしく頼むわ。」
その魔方陣の盾を『全く同じ魔法』で逆水が防ぐ。短い間、つせばりあいを起こした後、ほぼ同時に盾が割れた。
その割れた盾に乗っていたのか人影が飛び出し、タールの隣に立った。
「逆水…楊拳…!!!」
現れたのは少し年老いた男。しかし、その年老いた見た目とは裏腹に身長は成人男性より一回りも二回りも大きく、まとっているオーラは鋭く、空気がピリつくほど魔力は濃く、油断ならないのが一目でわかるほどだった。
「以下にも。…ははは。若い奴らにまだ名前を覚えられているとは。嬉しいものだな。」
「当たり前だろ…!お前の作ったルールのせいで苦しんでいる奴が大勢いるんだ!」
谷徳が叫んだ言葉にはたとわざとらしくオーバーにリアクションする楊拳。
「ああ。私の作ったルール…ということは自由を縛るあの呪いか。…ということは何だ?君は逆水家と関わりがあるものか?」
「………ああ。」
関わりはある。が、所詮逆水家の影武者のようなものだ。谷徳の家は逆水家からみれば使い捨ての駒だ。何かあったとき、その責任を逆水家の代わりに負う。こんな家が堂々と関わりがあるといっていいものなのだろうかという懸念が返事を一泊おいてしまう原因となった。
「ならすまんなぁ。あれは遺伝魔法の秘匿性を高めるためのものでなぁ。悪気はないんだよ。」
ニヤニヤ笑いながら言う楊拳に怒りが込み上げてくる谷徳。
殴りかかろうとした時、声が頭の中に響いた。
(話はここら辺で一旦終わらしたらどうだい?)
この声は谷徳だけでなく、皆にも、聞こえていたらしい。
これは…テンドゥがするテレパシーと…同じもの。が声はテンドゥの声ではなかった。
魔力が一つ増え、それをメンバー皆が感じたときにはその男はタールの隣にいた。
不健康さを感じる白髪に白衣を着ていてもわかるほど細い身体をしている。
男を見た瞬間、テンドゥの身体が震えだした。アーミーは肩にいるテンドゥのその様子を横目で見た後、男に向かって喋りかける。
「あなたが…デルクね…。」
「そうだ。けど礼儀というのがなってないな。初対面の人間には敬語で話すのが常識だろう?っと僕も無駄口をたたいて時間を無駄にするところだった。」
言ってアーミーから目をそらそうとし、もう一度アーミーを…アーミーの肩にいるテンドゥを見た。
「そこにいたのか…。ラーテッド。隠れているかと思ったよ。」
ラーテッドはどうやら今の姿をしているテンドゥの種族名らしいが。
「やっと見つけたよ。お前は今、バグが起きておかしくなってしまっているんだ…!気付いたら身体が人間のようになっていてビックリしたことはないかい?怖かったろう…!?大丈夫。僕が助けてあげるさ!だから…!」
人が変わったように喋りだすデルクによりいっそう怯えるテンドゥ。
「うるさいわね…。話しかけた初対面の人間無視して、知り合いにばっか話しかけるとか…。あなたも大概常識ないわ。」
アーミーが言うと、タールは楽しそうにゲラゲラ笑いだした。
「アハハハ!言うねぇ!秋葉の仲間は!これから楽しくなりそうだ!」
タールは立ち上がり、拳を秋葉達に向けて突きだす。
「デルクの言うとおり無駄話はここまでにしようぜ。つっても、因縁のあるもの同士、積もる話はあるだろうからな。それは…拳で語り合うとしようや。」
その一言と同時に魔力が濃くなることで空気がピリついた。
それぞれがそれぞれの思いを胸に、全員構えをとる。
これから…因縁に決着をつけると。それぞれの覚悟を胸に。




