終章 浪漫飛行
夏の暑さが収まり、秋の虫が鳴き始めた頃。
僕は家族がいなくなった日から、これまでの自分を振り返っていた。
最初の頃の僕はボロボロだった。
時間が経つほどに現実は重くのしかかり、次から次へと辛い出来事が押し寄せてきた。
そのたびに深く傷つき、心は少しずつ削られていった。
僕は現実から逃げるように酒に溺れ、自分自身を見失っていた。
あの頃の僕は、自暴自棄の見本のような人間だったと思う。
数か月が経ち、少しずつではあるが現実と向き合えるようになった。
その間、僕なりに色々なことを試した。
病院へ通い、薬を飲み、体を鍛え、身だしなみにも気を配るようになった。
一人で旅行へ出かけることもあった。
少なくとも、自分なりに今を乗り越えようと努力してきた。
調停を重ね、そのたびに打ちひしがれることもあった。
期待しては裏切られ、前進したと思えば振り出しに戻される。
そんなことの繰り返しだった。
それでも、投げ出さなかった。
正直に言えば、何度も逃げ出したくなったし、すべてを諦めてしまいたいと思ったこともある。
だが、そのたびに踏みとどまってきた。
子どもたちに会いたい。
ただ、その想いだけを支えにして。
もうすぐ次の調停だ。
状況は何ひとつ変わっていない。
問題も山積みのままだ。
それでも、あの日の僕とは違う。
傷だらけではあるが、立っている。
だから、まだ戦える。




