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第五章 凱旋 下 中編
生簀の魚を眺めながら、ぼんやりと順番を待つ。
周りを見渡せば、様々な人たちがいた。
仲睦まじい老夫婦。
楽しそうに話す若いカップル。
子どもを連れた家族。
友人同士のグループ。
どこの国から来たのか分からない外国人観光客もいる。
実に幅広い。
そして、みんな楽しそうだった。
笑いながら話し、待ち時間も楽しそうだ、同じ時間を共有している。
僕もまた、いつかあんな風に笑える日が来るのだろうか。
そんなことを考えながら、生簀の魚へ目を向ける。
もちろん、魚に聞いても返事は返ってこない。
ただ、ぐるぐると同じ場所を泳ぎ続けているだけだ。
――今の僕みたいだな。
そう思うと、少しだけ苦笑いがこぼれた。
それからしばらくして、ようやく名前を呼ばれる。
店の中へ入り、席へ案内された。
注文するものは、最初から決まっている。
先ほどまで人生相談をしていたハマチ君。
それにシマアジ。
さらに変わり種としてワカメの天ぷら。
そして季節限定のカツオのたたき。
気が付けば、なかなかの量になっていた。
――頼みすぎたかもしれない。
そう思わなくもない。
だが、せっかくここまで来たのだ。
今日は遠慮しない。
海の幸を思う存分堪能しよう。




