第五章 凱旋 上 後編
すいません、話が長くなりすぎて三部作で収まらなかったので、上下で編集し直します。
美術館の駐車場に到着し、車を降りた。
第一駐車場は満車だったため、少し離れた第二駐車場へ車を停める。
そこからシャトルバスに乗り、美術館へ向かった。
三連休ということもあってか、人はかなり多かった。
以前来た時よりも外国人観光客の姿が目立つ。
館内から聞こえてくる言葉も様々で、国際色豊かになったような気がした。
入館料を払い、中へ入る。
最初のエリアは古代文明の展示だった。
歴史的価値はあるのだろうが、正直なところ僕の好みではない。
軽く眺める程度で通り過ぎた。
次は中世のエリアだ。
この時代になると宗教色が一気に強くなる。
絵画も彫刻も、宗教を題材にしたものばかりだ。
きっと当時、芸術家を支援できる組織や個人の多くが宗教関係者だったのだろう。
そんなことを考えながら、ここも流し見で進む。
順路を進み、時代はさらに中世後期へと移っていく。
そして、ある展示室へ足を踏み入れた。
有名な礼拝堂の天井画を原寸大で再現したエリアだった。
見上げると、天井いっぱいに描かれた絵が視界を埋め尽くす。
その迫力に思わず足を止めた。
タイトルは忘れてしまったが、確か『天地創造』とか、そんな名前だったと思う。
正直、美術にはそれほど詳しくない。
それでも――
これは凄い。
そう思わずにはいられなかった。
天井画を見た後、順路へ戻ろうとしたところで館内アナウンスが流れた。
「十二時二十分より、航空自衛隊ブルーインパルスが鳴門大橋上空を通過します」
その放送を聞いた瞬間、僕はピンときた。
――なるほど。
海岸線にいた大勢の人たちは、これを待っていたのか。
時計を見ると、時刻はちょうど十二時過ぎ。
十分に間に合う。
僕は予定を変更し、美術館の展望エリアへ向かった。
鳴門大橋を一望できる芝生の広場だ。
到着すると、すでに大勢の人が集まっていた。
だが広場は広く、窮屈さはない。
適当な場所を見つけて腰を下ろし、その時を待った。
しばらくすると、遠くの方からジェット機特有のエンジン音が聞こえてくる。
観客たちが一斉に空を見上げた。
僕もなんとなく同じ方向へ目を向ける。
そして、それは現れた。
太陽の光をきらりと反射しながら。
真っ青な空という名のキャンバスに、白い五本の線を描きながら。
轟音とともに、五機の飛行機が目の前を旋回していく。
ブルーインパルスだった。
見えていた時間は、おそらく三十秒ほど。
ほんの一瞬だった。
だが、その短い時間で十分だった。
強烈な印象を残して飛び去っていった。
かっこよかった。
今のところ、美術館に来て一番見応えのある絵だった。




