56話:入学時クラス認定試験(筆記)
昨日は、あんま寝れなかった。アテナが一緒に寝ると言って一考に聞かなかったからだ。
結構、一緒のベッドで眠り俺はアテナの抱き枕となっていた。
「今日は試験ですわね。ドキドキして来ました」
「そうだね。ふわぁっ」
アテナの肌はツルツルと水を得た魚のようで、私(俺)はというと寝不足で眠い。
宿屋を出ると、外でパパ達が待っていた。ここから歩きだが、パパ達が目立つせいで通り過ぎる人達から視線を感じる。
「ここが国立魔法騎士学園だ」
学園都市ミネルヴァに入る際に見えたお城みたいな目立つ建物が学園だったのか!領主の屋敷かなにかだと思ってた。
「俺らは、ここまでだ。なーに気楽で行けば良いさ。門から入ると案内の生徒がいるはずだ」
パパの励ましと同時に学園の門を潜る。
「ようこそ、国立魔法騎士学園へ。新入生だよね?私は、剣術科2年Cクラスのティファニア・レイヴン。バイトで新入生の案内をしてるんだ。よろしく」
カラスを思わせる黒い短髪の女子。学園の女子制服であるワイシャツの上からブレザーを羽織っており、クラスを表すバッチを胸元に取り付けている。
ミニスカートから騎士科の女子生徒らしい元気な素足が覗かせている。そして、腰辺りに剣を携帯しているのが騎士科の証ともいえる。
「ワタクシは、アテナ・エリュンで御座います」
「私は、ラピス・グレィープニル。アテナ様の従者にて剣で…………いえ、友達です。はい」
凄い形相でアテナに睨まれた。
「ウソォっ!第二王女殿下と英雄のご息女様とは、つゆ知らず失礼な対応をしてしまいました」
ティファニアは頭を下げる。
レイヴン家、パパから聞いた事がある。初代レイヴン家御当主は、剣1つだけで功績を積み、当時の国王から叙爵を承れ現在は子爵のはずだ。
そして、歴代凄腕の騎士を輩出している家である。中には剣聖まで上り詰めた者もいる。
「頭を挙げて下さい。ここでは身分は関係ありませんわ」
「アテナの言う通り。だから、敬語は不要。最初の砕けた口調で話してよ。ティファニア先輩」
先輩と呼ばれたティファニアは、ソッポを向き右腕で目頭をゴシゴシと擦ると、笑顔で返事した。
「ここが受付だ。ポーラ先生、新入生を連れて来た」
「はーい、この紙に名前を書いて受験番号のバッチを受け取って胸元に付けてね」
ポーラ先生は、ピンク髪のロングでウェーブが掛かっている。ホンワカで優しそうな先生だ。
だが、1箇所だけ断トツに出てる箇所があり、同じ女性で10歳ながら、つい見てしまう。
そして、ラピスとアテナは自分の胸元を見ると悲しくなる。
「ポーラ先生は、魔法科2年の担任の1人。あぁ見えて、凄腕の魔法使いだから怒らすと怖いよぉ」
大人しそうな人ほど怒らすと怖いと言うし、覚えておこう。
「ここが筆記テストを行う教室。終わる頃にまた来るからね」
この教室まで案内して貰って分かった事がある。平均で3人、多くて5人ほど新入生を案内しているらしき在学生がいる事を。
「ラピス、ドキドキするわ」
「アテナ、そうだね」
一教科30分、休憩10分の計170分間で筆記テストは行われる。
ガラガラガラ
「筆記テストを担当するルドスという者だ。これから答案用紙と問題用紙を配る。試験の善し悪しに関わらず入学出来ると言われてるだろう。だがしかし」
バン、ルドス教官が教卓を両手で叩く。
「カンニングや誰かに聞く等、違反は俺が許さん。その者は即出てって貰おう。実技も受けんで宜しい。何故なら、退学するのだからな。ここは国立魔法騎士学園、将来国のために育てる有望な生徒を育てるのであって、悪党を育てる機関ではないのでな」
ルドス教官の怒号にヒリつく空気。まるで重い剣を受け止めたみたいに腕がビリビリと震える。
先生というより教官と言った方がシックリくる。絶対に強いとラピスは確信する。
歴史は家庭教師のアイル先生に教えて貰い大丈夫だ。言語は、どういう訳か昔から分かる。
転生した際の影響なのか不明だが、分からないはずの文字や言葉が常に翻訳されてるみたいに分かってしまう。
算術は言わすもがな、前前世の知識で難なく解ける。むしろ簡単過ぎて引っ掛けか何かと疑う程に簡単だ。
「配り終わったな。では、違反者が出ない事を祈る。始め」
ルドス教官の号令で、テストは始まった。




