二人の魔術
マリアの一言によりアルシーとシルベリータは自分たちの現状を見せることになった
「先生……本当にやるんですか?」
「ええ」
「何をすればいいでしょうか?」
「そうね……詠唱型の中級光魔術でお願いするわね」
「……制御が不安ですので、外へ行ってもいいですか?」
「ええ、みんな行きましょう!」
そういってクラス全員の前で魔術を披露することになった
移動した先は学園の第二運動場
第一運動場は学園の中央に位置するためすごく目立つと考えたマリアがそうした
「じゃあいきます、”光輝く星座の導きに応じ、わが敵に星々の試練を与えよ”」
中級の魔術はその威力が高いことから戦争において戦術魔道として使用されることが多い
そのことをよく知っていたマリアは人目が少ない場所を選び、さらには不可視の障壁まで展開させていた
そしてアルシーが使用した魔術は『彗星』とか『星降り』といった名前で知られている広範囲の攻撃魔術
まあ、ポケ○ンでいうところの流星群であるが
「「「「「「「「………………」」」」」」」」
「凄いわね……」
「アルシー、それ先生から『あまり使っちゃだめよ』って言われているやつだよ!」
「あ……」
「後で先生に言うからね!」
「ちょっと、シル待って!」
「ダメなことはダメだよ!」
「……うん」
シルベリータの主張に反対できるはずもないアルシー
「次はシルベリータよ」
「うん! じゃあいきます! ”聖なる光を以て偉大なる精霊の威光を知らしめる”」
シルベリータが使用したのはその光を浴びたものに多少のステータス上昇を付与する魔術
俗に『威光』、『聖光』といった名前で知られる
魔術は術者の魔力総量に応じてその能力を上下する特徴がある、アルシーとシルベリータは今は一般的にな宮廷魔道師としての(10歳では異常)魔力量を持つ程度であるためそこまでの威力にはならないのだが
「「「「「「「「………………」」」」」」」」
「本当にすごいわね……」
クラスメイトの口は開いたままである
「アルシー、できたよ!」
「偉いわね、それ私でもまだ成功したことないのよ」
「でも攻撃系魔術はアルシーには勝てないよ」
「シルには必要ないわよ」
「そうなの?」
「シルは今のままが一番なんだから」
「へへ」
これはアルシーの心からの願いでもあるのだが
「お前ら……」
ルイスがようやく再起動に成功していた
「どうしたの?」
「どうしたもこうしたもない! こんなのを見せられて俺はどうすればいいんだよ!」
「え?」
「俺は大公の嫡男だ、今はまだいいが将来は俺が父の後を継ぐ、そうなればアルシーとシルを俺は戦争に使わなくていけなくなるじゃないか!」
「…………」
「ここの奴が全員このこと黙秘してくれれば、マリア先生が展開している障壁のおかげでおそらくはばれない、先生も含め全員が」
マリアはこのことを校長に報告するつもりでいた
「みんなは約束できるのか?」
いつになくルイスが本気で話していることはアルシー、シルベリータを含め全員に伝わっていた
(本当にこの子たちは10歳なの……私よりも周りを見ているし、理解もしている……案外教わることが多いのは私のほうなのかもね)
マリア自分が劣っていると分かれば年、性別に関係なく相手を尊敬できる素晴らしい人間であった
またそこから自分が獲れるものは得ようと考える貪欲な人間でもある
故に学園側はいろいろな噂話や実話を考えたうえで彼女にこのクラスを任せていた
プライド高く優秀な教師をつけるといろいろと問題が出ることは間違いないと予測できたからである
ちなみにこのことを学園に報告したとしてもその事は王国中央へ漏れることはない
なぜならこの学園の学長はマーシャ・フォン・ホーエン
アルシーの母アーシャの妹であった




