シルの場合
所変わってシルベリータとルーネの部屋
「シル、今から何かするの?」
「ううん、特には……あ、でも課題やらなきゃ!」
「どんな課題なの?」
「アルシーは難しいって言ってたけど……えっと、簡単に言うと空間転移における衝撃について。 えっと……あ! この前教わった魔法だ!」
(ちょっと待って! 空間転移って確か上級の空属性の魔法よ!)
「えっと、『一回近くに転移して衝撃を確かめましょう』、どこに転移しようかな?」
「……シル、その魔法って」
「どうしたの?」
「うん、なんでもない」
「へんなルーネ、よし! アルシーの所だね!」
「シルちょっと待って、いきなり転移したらアルシーが驚くよ!」
「あ、そうだね!」
「隣の寝室とかは?」
「そうする!」
(それにしても本当にルイス閣下の言っていたことの本当の意味がわかってきたよ……)
「えっと『転移先をよくイメージして魔法を発動しましょう』、よし! ”空間転移”」(さっ)
「シル?!」
「やったー」
隣の部屋から声が聞こえてきたのでルーネは寝室へ入った
「シル?!」
「成功したよ! でも、ちょっと痛かったよ……」
「大丈夫?」
「大丈夫だよ!」
実はこの空間転移はこんなに簡単に発動するものでは無い
アルシーはともかくシルベリータが初見で成功させているのは彼女が正真正銘の天才であるということである
ルーネはそのことがよくわかっていた、なんせ彼女も同年代では天才と言われる域にいる人間であるから
まあそれはミーナにも共通していることではあるのだが
「シルはどうしてこんな魔法が使えるの?」
「私もアルシーのお母様に教わっていたの!」
「アーシャ様に! どうして?」
「良く知らないの、でも貴族の間では5歳になると魔法の勉強を始めるって風習があるって聞いたよ!」
(だから魔法使いに貴族が多いのね……)
別の所で非常に納得しているルーネ
「私とアルシーはお隣さんだからアルシーのお家で魔法を教えてもらっていたの!」
「えっと……シルってフォンダー侯爵家だよね?」
「うん!」
「アルシーはジャンヴァルディ侯爵家だよね?」
「そうだけどそれがどうしたの?」
「う、うん、ちょっと興味があって」
(普通は同じ爵位の人たちってお互いに牽制し合っているって聞いていたのだけど……)
ルーネのその認識に大きな違いは無い
ただ、例外が数家存在するということである
その一例がフォンダー侯爵家とジャンヴァルディ侯爵家である
「ルーネの家ってどんなことしているの?」
「私の家? 商人だけど」
「今度連れて行ってね!」
「え? う、うん、いいよ」
(ちょ、ちょっと待って。 シルがくるような店じゃないのに何言ってるの私!)
「やった! アルシーとミーナも誘って、あ、夕飯っていつだった?」
「シルベリータ様、先ほど昼食をとられたばかりではありませんか」
サーシャがそう答えてきた
「あ、そうだった!」
「しかし、なぜそのようなことを?」
「時間がありそうだから、今から行けるかなって」
「え?」
「行けますね」
「ルーネの家のお店ってこの町にあるの?」
「う、うん」
「じゃあ行こうよ! アルシーに言ってくる!」
「あ、し、シル?!」
「行ってしまわれましたね」
「サーシャさん! どうしたらいいですか!」
「まあ、諦めるしかないかと」
「そ、そんなあ!」
「貴方の家に伝えてきましょうか?」
「いいの、サーシャさん? じゃなくて、お願いします、サーシャさん!」
「わかりました、あ、地図は不要ですよ」
「え?」
「シルベリータ様の周辺の身元は既にそう洗いしてますので」
「え……」
「では、行ってきます」
「あ、はい……」
「本当に貴族って大変なんだ……」
食事の作法といい、そう考えていたルーネであった
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