表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王軍倒産しました。〜領地は絶賛再建中・勇者は絶賛就職中〜  作者: 瀬大
第6話 マオリョー、新規事業を立ち上げます
PR
59/89

マオリョー、新規事業を立ち上げます③ 響きが、命



「バカね! お客の心をくすぐる響きが必要なのよ!」

リリは胸を反らした。

「パッケージには『エリート人事リリプロデュース・奇跡のしずく』って金文字で入れるわ!」


「原価度外視で無駄に金かけんな! そもそもお前プロデュースしてねえだろ!」

俺は頭を抱えた。

「水出してんのミィナだぞ! パッケージ代で赤字になるわ!」


俺は頭を抱えながら、リリのトンデモ事業計画書を払い除けた。


「いいかリリ、商売ってのはな、いかにして原価を抑え、利益を最大化するかってのが基本だ」

「お前のやり方じゃコストがかかりすぎる」


「ふん、新入社員のくせにエリートに商売の仕組みを語る気?」


「ミィナの水は確かに極上だ。だが、あいつにドバドバ出させるのは危険すぎる」

「下手に大量に出させて、またアイシス絡みのスイッチが入って暴走されたら、村ごと吹っ飛ぶからな」


「あら、めずらしく慎重ね」


「だから、ミィナには樽一杯ぶんだけ静かに出してもらう」

俺は指を突きつけた。

「それを川の水で三倍に薄めて量を増やすんだ」

「これなら暴走のリスクは抑えつつ、売る量は三倍。儲けも三倍だろ!」

「これぞ究極の『水増し商法』だ!」


「うわ、悪どい……! 極上の水を薄めて水増しなんて、エリートのわたしのブランドに傷がついたらどうするのよ!」


「うるせえ、バレなきゃいいんだよ!」

俺は声を張り上げた。

「さらに、村で売る時は『飲めば万病が治り、宝くじが当たる』って誇大広告を打つ!」

「サクラも仕込むぞ!」


俺は、広間でつまみ食いをしていたゼルを指差した。


「ゼル、お前は客のフリをして『この水飲んだら腰痛が治ったでー!』って叫べ!」


「おっちゃん、俺まだ子供やから腰痛なんかあらへんで?」


「設定だよ! いいからやれ! よし、俺の手持ちの全財産を使って、水を詰める用の空き樽を大量に買ってくるぞ! 全ツッパだ!」


俺がなけなしの全財産を握りしめ、セコい皮算用でほくそ笑んでいた、その時だった。


突如として、極寒の大広間が、まばゆいばかりの黄金の光に包まれた。


「な、なんだ!? 敵襲か!?」


空から(天井はないが)大量の真紅の薔薇の花びらが舞い散り、キラキラとした謎の粒子が空間を舞う。


そして、その後光の中から、一人の男が優雅な足取りで現れた。


見目麗しい、圧倒的な美貌。自信に満ち溢れた不敵な笑み。


「……俺様の輝きに、焦がれろ」


男は、髪をかきあげながら、完璧なポーズを決めた。


「だ、誰だお前!? めちゃくちゃイケメンだし、オーラが半端ねえ!」

「ついに、ついにこのポンコツ倒産企業にも、まともな大物戦力が現れたのか!?」


「フッ……俺様か? 俺様は、マオリョー取締役副社長、ルシフ。この世界で最も美しく、最も罪深い存在さ」


「副社長!? ……いや待て」

ゼルは腹を鳴らした。

「この会社、CEOのゼノのおっさんがいるんだから、こいつはナンバー3か」

「微妙な立ち位置だな……。まあいい、それでも重役は重役だ!」

「アンタみたいな強そうな人がいてくれれば、俺の異世界サバイバルも安泰……」


「聞かせてもらったぞ、新入り。お前たち、新規事業を始めるそうだな。この俺様が、直々に手を貸してやろう」


「マジですか! 副社長の力が加われば百人力だ! どんな凄い魔法で商売をサポートしてくれるんです!?」


俺が期待に目を輝かせると、ルシフは麗しい顔立ちをさらに近づけてきた。


「フッ……決まっているだろう? この美しすぎる俺様自身を、商品の『広告塔』にするのだ!」


「……は?」


「そして、商品名は『あくありうむ』などという地味なものではない」

ゼノは重々しく頷いた。

「俺様の名を冠し、こう名付けるがいい。……『飲むルシフ』、とな」


「なんだその気持ち悪い商品名!! 誰がオッサンの名前ついた水なんて飲みたがるんだよ!! 完全に変態の飲み物じゃねえか!!」


俺の渾身のツッコミに、リリが割り込んできた。


「ちょっと待ちなさいよ! エリートのわたしが考えた『あくありうむ』をディスる気!?」

リリは丸メガネを押し上げた。

「却下よ!」

「飲むルシフなんて、お客さんの気持ちがしゅーんって冷めて、お財布がぎゅうって閉じちゃうに決まってるわ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ