第35話 平民、実家へ帰る
王都を出て数日。
ようやく見慣れた景色が見えてきた。
「うわ、ほんとに自然しかない」
リナが窓の外を見ながら呟く。
「失礼だな」
「でも空気おいしい!」
ガルドなんか、
完全に旅行気分だった。
一方。
セシルは流れる景色を眺めながら、
小さく笑う。
「なんか静かだね」
「辺境だからな」
「学院と真逆」
たしかに。
王都みたいな騒がしさはない。
その横で、
ダインは静かに外を見ていた。
「……悪くない」
「気に入るの早いな」
「落ち着く」
意外とこういう場所好きなのかもしれない。
一方。
エリシアは静かに窓の外を眺めていた。
畑。
森。
小さな家。
王都みたいな派手さはない。
でも、
妙に落ち着く景色だった。
「……近いですね」
「何が」
「人も家も」
言いたいことはなんとなくわかる。
王都みたいに、
全部が離れてない。
生活が近い。
そんな感じだ。
そのとき。
「あっ」
エリシアが小さく声を上げた。
馬車の先。
村の入り口が見えていた。
木の柵。
小さな畑。
見慣れた景色。
「帰ってきたな……」
なんとなく肩の力が抜ける。
すると。
「リオーー!!」
聞き慣れた声が響いた。
「うわ」
家の前から、
母さんが走ってくる。
「帰ってくるならもっと早く言いなさい!」
「手紙出しただろ!」
「人数増えすぎでしょ!?」
「それは俺も思ってる」
すると。
「あら!」
母さんがエリシアへ気づいた。
「エリシアちゃん久しぶり!」
「お久しぶりです!」
エリシアも嬉しそうに頭を下げる。
一方。
ガルドたちは普通に混乱していた。
「知り合い!?」
「前に落ちてきたからな」
「情報が雑すぎる!」
リナが吹き出している。
その横で、
レティシアは静かに一礼した。
「数日、お世話になります」
「もちろんよ!」
母さん、順応早すぎる。
一方。
ガルドたちは完全に周囲を見回していた。
「すげー……」
「ほんとに村なんだね」
そのとき。
「リオ?」
後ろから声がした。
振り向く。
そこにいたのは、
カヤだった。
「……帰ってたんだ」
「今着いた」
カヤは俺を見て、
そのあとエリシアを見る。
エリシアも、
少しだけカヤを見返した。
一瞬。
空気が止まる。
「……へえ」
カヤが小さく呟く。
なんか。
嫌な予感がした。




