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王女が落ちてくる予感はしていた  作者: 蒼井みつき


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第25話 平民、試合開始直後から狙われる

「それでは――始め!」


 教師の声が競技場へ響いた瞬間。


 両チームが一斉に動いた。


「おおおおっ!!」


 真っ先に飛び出したのはガルドだった。


 大剣を構えたまま、真正面から剣術科前衛へ突っ込んでいく。


 ごっ!!


 中央で、大剣同士が激突した。


 重い衝撃音が競技場へ響く。


「うおっ……」


 やっぱ正面火力すごいな。


 だが向こうも剣術科。


 真正面から押し返してきている。


 その横。


 セシルが障害物側へ走った。


 低い石壁を蹴りながら、一気に側面へ回り込んでいく。


 上空では、リナが箒で急上昇した。


「行くぞー!」


 風弾が放たれる。


 後方では、レティシアが細剣を抜きながら魔法陣を展開していた。


 淡い氷色の光が石畳へ広がっていく。


 そして俺は、その全部を見ながら――


「見っけ」


「うわっ!?」


 目の前にダインいた。


 速っ!?


 開始数秒だぞ!?


 いつの間に中央抜けた!?


 反射的に横へ飛ぶ。


 直後。


 木剣が空気を裂いた。


「避けるなあ!」


「無茶言うな!」


 観客席が一気にざわつく。


「ダインもう後衛行った!?」

「いやあの平民避けたぞ!?」


 ダインは楽しそうに笑っていた。


「やっぱ面白いな、お前!」


「嬉しくない!」


 横薙ぎ。


 しゃがむ。


 突き。


 半歩ずれる。


 ぎりぎり。


 だが、その間にも中央前線は動いている。


 ガルドが、剣術科前衛二人に押され始めていた。


「ぐっ……!」


 一人が正面から押さえ、もう一人が横から崩してくる。


 連携がうまい。


 まずい。


 このままだと前線が崩れる。


「セシル右!」


「了解」


 障害物側を回っていたセシルが、一気に踏み込んだ。


 ばんっ!!


 木剣が剣術科前衛の障壁を揺らす。


「ちっ!」


 相手がたまらず後ろへ下がる。


 その隙。


「ガルド押せ!」


「おらぁ!!」


 中央からガルドが押し返した。


 ごっ!!


 大剣が正面から叩き込まれる。


 観客席がどよめいた。


「一年連携うまっ!?」

「混成なのに噛み合ってる!」


 流れは悪くない。


 むしろ押してる。


 なのに。


「よそ見」


「っ!?」


 ぞわっ、と背筋が冷えた。


 反射的に後ろへ飛ぶ。


 直後。


 ダインの木剣が、さっきまで俺のいた場所を薙ぎ払った。


 近っ!!


「お前ほんと俺しか見てねえな!?」


「だってお前面白いし」


「だから嬉しくない!」


 そのとき。


 後方で、レティシアの氷魔法が発動した。


 ばきっ!!


 氷が石畳を走る。


 剣術科前衛の足元が一瞬凍りついた。


「今!」


「おおおおっ!!」


 ガルドが突っ込む。


 重い一撃。


 轟音。


 相手障壁へ、大きなひびが走った。


 観客席がさらに沸く。


「押してるぞ一年!」

「剣術科第三相手にすげえ!」


 だが。


「へえ」


 ダインだけは、ずっとこちらを見ていた。


 細い目が、妙に楽しそうに細められる。


「お前いると、チームの動き変わるんだな」


「……は?」

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