178話 ドラゴンネグロ
ーー女神の神殿、1層にて。
「あっははは、おもしれぇ」
『ズガガガ』
蘭方くんは笑いながら、レベル80ほどのダンジョンモンスター、タイタンマンモスを引きずり回していた。
タイタンマンモスって、4、5メートルくらいあるのにどうしてあんな簡単に引きずれるのだろう……。
「おーい柴崎ぃ、こっちきてみろよ」
「なんだよ神宮寺……ってお前、何してんだ」
「はは、おもしれぇだろ」
呼ばれた方を見ると、タイタンマンモスの上に乗っかっている神宮寺がいた。
マジ何してんだよ。
いや待てよ、そういえばこいつ……酔っ払いだった。
「神宮寺ー!あんまし揺れると気持ち悪くなるぞ」
「はは、ならねぇよばーか」
う、うぜぇ……。
てかあいつ、不死鳥の力があれば酔わないはずなんじゃ……。
『ふふ、倫也のやつ楽しそうだな拓真よ』
そんな事を考えていると隣に不死鳥がやってきた。
「なぁフェニクスよ、酒の酔いとかは不死鳥の力で再生できないのか?」
『いいや、できるはずだよ、おそらく倫也は意図的に再生を止めてるんだろうね』
「へぇ……え、再生って自分で止めれるの?」
『うーんどうだろ?少なくとも今の拓真にはできないかな』
「なんだよそれ」
『倫也は特別なのさ、彼と私は一心同体になりつつあるからね』
『ブワッ』
そう言って不死鳥は、タイタンマンモスの上の神宮寺の元へと羽ばたいていった。
神宮寺は特別で一心同体ね。
へいへい、俺はどうせ準適合者ですよ。
『トントン』
「ん?」
「やぁ」
「ま、槙島ぁ……いきなり背中叩くなよ」
「ごめんね柴崎くん、でもさアレ見てよアレ」
「アレ?」
槙島に言われた方向を見るとそこには、黒いドラゴンがいた。
「柴崎くんあれはねレベル130クラスの危険モンスター"ドラゴンネグロ"だよ」
「何冷静に話してんだ!普通にヤバいだろ」
「ああヤバいよ、まぁでもここには神宮寺くんとかもいるし、それに居なくても良かった蘭方くんもいる訳だし大丈夫でしょ」
そう話す槙島の後ろには、こちらを睨むドラゴンネグロがいた。
「槙島!!」
「ん?」
『ブオッ』
そうしてドラゴンネグロは、俺と槙島めがけて黒炎ブレスを放ってきた。
「どけ槙島!」
「うわぁ」
『ドサッ』
俺は槙島を押し退けて、ブレスを生身で受けに行った。
『ブオオオ』
「くっ、なんて威力だ」
「柴崎くん!」
不死鳥の準適合者の俺なら炎には耐性があると思っていたが、さすがは高レベルモンスターの攻撃、身体がどんどん焼け焦げていく。
俺は再生はするから問題はないだろうが、このままだと槙島まで焼け死んでしまう。
「神宮寺ぃ!!」
「あいよ、兄弟!」
『ブワッ』
そう言って神宮寺は、不死鳥の炎を纏いながらタイタンマンモスから飛び降りる。
てか兄弟って言ったのか?
やめろよ、恥ずいだろ……。
「食らえやドラゴン野郎、神炎業火!!」
『ズドォン』
『グオッ』
神宮寺の神炎業火がドラゴンネグロの頭に直撃する。
『シュオ』
「ぐはっ」
『ドサッ』
そうしてドラゴンネグロの黒炎が止まり、俺は地面に倒れ込んだ。
「柴崎くん!」
そう言って心配そうにして駆け寄ってくる槙島の姿が見える。
ま、まさかこいつに心配される日が来るとは……。
「大丈夫かい?」
「まぁ大丈夫だよ」
『シュオオオ』
そうして不死鳥の力による再生が始まった。
「凄いな、もう火傷が治ってるよ」
「まぁな、これが不死鳥の再生力さ」
「へぇ、僕も欲しくなっちゃうよ」
槙島はそう言って不気味に笑った。
「お、おい槙島、変なこと考えるなよ」
「大丈夫だよ、僕も自分の目的があるから君達の邪魔はしないよ」
「目的?」
そういえば、こいつがこの女神の神殿にいる理由を俺たちはまだ知らなかったな。
もしかしてまた事件を起こす気なんじゃ。
「うん目的、でもどうやら探す手間は省けたみたいだね」
「なんだよそれ、どういう事……っておいおい」
俺がそう言って身体を起こすと、俺達の周囲を取り囲む褐色肌の男達が複数人いた。
「お前ら、侵入者だな」
し、侵入者?
てかこいつらって、もしかして。
「竜人だね」
俺の心の声を代弁するかの如く、槙島がそう話す。
「いかにも、我らこそここの先住の民であり、神殿を守る者、そしてお前らを排除する者だ」
『ギンッ』
そう話すと竜人達の目が赤色に光り始めた。
「柴崎くん、アレが僕の今回の目的SSSレアダンジョンアイテム赤核眼だよ」
「せ、赤核眼?」




