172.5話 ミーティング
ーー5月、組合本部にて
班編成義務化により、週に1度班ごとにミーティングをしなければならないルールができ、今日はそのミーティングの日。
俺はこの日のために、前もって組合本部にある小会議室を1部屋予約しており、今はそこで班員の到着を待っている。
「お、そろそろ13時か」
集合は13時なのでそろそろ来るはず。
さぁて誰が1番かな、まぁ多分あの子だろうけど。
『ガチャ』
「おはようございます!」
1番乗りは予想通り鈴木くんだった。
まぁそうだよな鈴木くんだよなぁ。
「おはよう、ちゃんと5分前、さすがだね」
「いえいえ、これくらい当たり前ですよ」
鈴木くんはそう言って席に座った。
『ガチャ』
「おはよ〜」
2番目にやってきたのは國枝さん。
「おはようございます!!」
「うん、鈴木くんおはよう、柴崎さんもおはようございます」
「おはようございます、國枝さん」
今日の國枝さんの服装はブルーのシャツにジーパンといかにも春らしいコーデだった。
うん、良い感じだ。
いや待て、何が良い感じなんだ國枝さんが何を着ても別にいいだろ……。
飲み会のあった日から、國枝さんの事がなんかやけに目に付くきがするんだよなぁ。
『ガチャ』
「お、遅れました!!」
そうして最後に入ってきたのは礼さんだった。
まだ13時ちょうどだから、そんな慌てなくてもいいのに……。
「雛菊!また遅刻未遂だぞ!」
「も、申し訳ないです」
そう言って礼さんは鈴木くんに謝った。
なんだろうこの光景、我が班ではよく見る気がするな。
てか遅刻未遂は遅刻ではない気がするんだが。
「はぁ、鈴木くんもういいからミーティング始めるよ」
「は、はい!」
俺は鈴木くんに軽く釘を刺して、ミーティングを始めた。
「じゃあ今日の議題についてだけど、この班が始動してもう1ヶ月、そろそろ良いんじゃないかなと思って」
「良いって何がですか?」
「女神の神殿だよ」
俺がその名前を出すと、小会議室に緊張が走った。
女神の神殿は特殊ダンジョンの一つであり、今から半年ほど前に沖縄に出現し、当初は5日間で消えると思われていたが、何故か崩壊せず、今も残り続けている。
しかしそこには、敵意を持った龍人族が複数体おり、攻略は難航を極め未だ未踏破となっている。
一応、毎日のように組合から班を送り込んでいるらしいが、依然として良い知らせはない。
「め、女神の神殿……」
礼さんはそう言うと、どこか不安げな顔をした。
まぁ気持ちはわかる、女神の神殿は新米攻略者には荷が重いとは思う、でもそういう経験が人を成長させるのも確か、ここは鈴木くんと礼さんの成長のためにも行ってみよう。
それになんせこの班には、俺と國枝さんの2人のS2以上の攻略者がいるし、安全面は他の班より高いと思うしね。
「良いですね、行きましょうか」
礼さんとは違い鈴木くんはそう言うと、真っ直ぐな目で俺を見てきた。
さ、さすがはサラブレッド、やる気が違うな。
鈴木孝人、22歳。
公にはされていないが、彼の父は我が組合のボスにして、最大のお荷物。
祭十蔵である。
「色々不安な事も多いだろうけど、しっかりと準備をして臨めば攻略できるはずだから、礼さんも頑張ろう」
「は、はい……」
「それじゃあ、女神の神殿攻略会議を始めようか」




