169話 弔いの光
ーーアスタロトの近くにて
『カタカタッ』
アスタロトの亡骸から、一つの気味の悪い模様の箱が飛び出す。
『パカッ』
そうしてその箱はひとりでに開く。
『ズオオオ』
「ふぅ、意外と簡単に出れたな、攻略者組合の監獄もなかなかザルですね」
箱から現れたのは、攻略者組合所有の、監獄であるオリファルコンにいるはずの、槙島だった。
「うん、死んでる死んでる、この戦争で魔神の誰かが死ねば良いなとは思っていたけど、やっぱり死んだのはアスタロトさんでしたか」
『ガシッ』
そう言うと槙島はアスタロトの頭を掴んだ。
「……これで俺もお前と対等になれるよ、柴崎」
槙島は短くそう呟き口を開く。
「いただきまぁす」
『ガシュッ』
ーー祭&蘭方&真蔵サイド
「おもしれぇ、やってやるよ」
『ギュオオオ』
3人を前にしてさらにボルテージの上昇したサタンは、右拳に真獄を纏わせる。
「真蔵ぉぉ!!」
「言われなくともぉ」
『ズパンッ』
祭の掛け声に合わせ、真蔵はサタンの右腕を斬り裂く。
「い、痛てぇぇぇぇ!!」
右腕を斬られたサタンは痛みのあまりそう叫んだ。
「ナイスだ真蔵」
「……油断するなよ十蔵」
「おうよ」
「て、テメェら……」
サタンは右腕を押さえて、祭と真蔵を睨みつける。
しかしその背後に迫る影があった。
「よそ見はダメだぜ、シャイニングブロー!!」
「なっ!?」
『ズドォン』
右腕に気を取られていたサタンはシャイニングブローをモロに受けてしまう。
「す、凄い」
そんな3人の戦いぶりを見て、鏡花は1人そう呟く。
「ゼェ、ゼェ、テメェらいい加減にしろよ」
『シュオオオ』
シャイニングブローを受けたサタンの身体は、即座に再生を開始するが先ほどまでの出力はなく、真蔵に斬られた右腕は戻っていない。
嶺王、太陽王、伊地知鏡花、御影小夏、そしてこの3人と連戦を重ねたサタンに限界が近づいていた。
しかしーー。
「……くっ」
『ドサッ』
「蘭方!!」
シャイニングブローを放ったはずの蘭方も左肩を押さえて倒れてしまう。
アスタロト、ゴエティア、サタンと蘭方も強敵を3人も相手にしてきており、限界がきてしまった。
「はは、そっちも限界みたいだな」
「……んなこたねぇよ、まだやれるさ」
そう言って蘭方は無理に身体を動かして、立ちあがろうとする。
「蘭方くん……」
蘭方のそんな姿を見て鏡花は力なくそう呟く。
「ゼェ、ゼェ、次で最後だアルティメットスキル発動、王拳!!」
『ギュオオオ』
サタンは最後の力使い、アルティメットスキル、王拳を発動させた。
「まだそんな力があったとはな」
『チャキッ』
祭はそう呟くと、天銃をサタンへと向ける。
「祭さん!!」
その時、蘭方が叫ぶ。
「……どうした蘭方?」
「頼む、俺にやらせてくれ、あと一息なんだ、絶対に仕留めるから」
蘭方は味方である祭を睨みつけそう話す。
「おいおい、そんな目を味方に向けるなって、まぁいいさ、やりたきゃやんな」
「ちょ、おじ様!」
蘭方の無茶を止めない祭に鏡花はそう怒鳴り声あげる。
「鏡花、あの目を見てみろよ、ありゃあもう誰が言っても止まらなねぇよ」
「あの目って」
そう言われて鏡花は蘭方へと視線を向けると、蘭方はただ真っ直ぐにサタンを見つめていた。
「なんだよ蘭方、お前、俺と心中しようってのか?」
「違えよ、これは弔いだ、御影先輩のなぁぁぁ!」
『キュオオオ』
蘭方の拳に光が灯る。
「なんだよその青臭え理由は、だけど良いじゃねぇかよ弔い、やれよ勝手によぉぉぁ!!」
『ギュオオオ』
サタンの蘭方は2人とも拳を握りしめると、お互い目掛けて走りだす。
「蘭方ぉぉぉぉ!!」
「ゴリキモ野郎ぉぉぉ!!」
そして2人の拳は再び衝突する。
『ズドォン』
ーー1部完結まで残り3話ーー




