165話 最後のお願い
ーー伊地知サイド
「ほう、その覚悟だけは認めてやろう」
血まみれの手で自身の腕を掴む御影にサタンはそう言い放つ。
「ごれじか……あなたを止める術、思いつかなくて」
「御影先輩!!」
鏡花は目の前で腹を貫かれた御影を見てそう叫んだ。
『ググッ』
「抜けねぇ……」
サタンは御影から腕を抜こうとするが抜けなかった。
覚悟を決めた者の力は尋常ではない。
「……伊地知ぢゃぁん!!」
そうして御影は残り僅かとなった命を燃やし、大きな声でその名を呼んだ。
「先輩!!」
その魂の叫びに鏡花も呼応する。
「お願い、私ごどぎってぇぇ!!」
御影は鏡花へ最後のお願いをするのだった。
ーー蘭方サイド
「がはっ」
シャイニングブローが直撃したゴエティアの身体は、右腕、右胸が消し飛んでいた。
「ふぅ……よっし!今回はちゃんと勝ったな」
蘭方はそう言うと天を仰いだ。
『ボロボロ』
そうしてゴエティアの身体は崩壊を始める。
「見事だ……蘭方よ」
「おう!前はちゃんと仕留められなかったからな、今回はキッチリと俺の役目をこなせた気がするよ」
蘭方の言う前回とはおそらく対魔王戦での事であろう。
「役目か……よく聞け蘭方よ、このゴエティアには初めから心臓が3つほどあってな、うち1つは千年前に女神に滅ぼされたとき、そして2つ目はお前だ蘭方、つまりーー」
「まだ終わってねぇってことか」
ゴエティアのその言葉に対して、蘭方は真剣な眼差しでそう答える。
「らしくなく理解が早いな、まぁそういう事だ……次は勝つからな」
「おう!いつでも来い!!」
『バシッ』
そう言って蘭方は右拳を消えゆくゴエティアへ突き出した。
「ふはは、敵ながらお前の事は嫌いになれんな……」
『シュワッ』
そうしてゴエティアは消滅した。
「うっしゃあああ、俺の勝ちだぁぁぁ!!」
蘭方は両腕を上げて喜んだ。
"御厨、まだです、まだ終わっていません、感じるでしょ遠くに大きな力を"
蘭方の頭の奥で女神はそう告げる。
「大きな力ね……」
頭の声を聞いた蘭方は中央区のサタンと伊地知と御影がいる方を見つめるのだった。




