160.5話 新ランキング歓迎会②
「えー、それでは皆さま、開始時刻を30分ほど過ぎてしまいましたが、乾杯!!」
『かんぱーい!』
飲む前からくたびれている祭の乾杯により、飲み会が始まる。
「うん、美味しい」
そう話す伊地知鏡花のコップにはカシオレがあった。
「けっ、そんなのジュースだろうよ」
なにやら不満げな祭は、カシオレを美味しそうに飲む鏡花へ、そう悪態をついた。
「……おじ様、嫌いかも」
そんな悪態に対して、鏡花はぷくっと頬を膨らませてそう答える。
「え……」
『ドサッ』
最愛の姪っ子からの嫌い発言を聞いた祭はそのまま倒れてしまう。
「え、祭さん!?どうしたんですか急に、ちょっと、祭さーん!」
隣に座る火野が心配そうに声をかけるが、まったく応答はない。
"最強の攻略者"祭十蔵、飲み会開始30秒でのリタイアとなった。
一方その頃、柴崎はというと。
「どうぞ」
『トポトポトポ』
國枝にビールを注いでもらっていた。
「あ、ありがとうございます」
先ほどの発言の真意を訊きたい柴崎であったが、上手く踏み込む事ができず、会話のきっかけを探していた。
「柴崎さん、これ美味しいのでどうぞ、あとこれも、それとこれも」
そんな柴崎の心中などお構いなしに國枝は、パパッと柴崎のお皿に食べ物を盛り付ける。
「あ、ありがとうございます」
「い、いえいえ」
騒がしい飲み会の輪にあって、この2人だけがなんともいえない雰囲気に包まれていた。
「よー拓っくん、飲んでる?」
そんな時、1人の酔っ払いが柴崎へ突撃する。
「せ、仙道さん」
『トンッ』
突撃してきた仙道の肩と柴崎の肩がぶつかった。
「なっ!?」
その様子を間近で見ていた國枝に戦慄が走る。
一方、店の外では。
「神宮寺さん、こんな形でまさかあんたとやり合うとはね」
「……いいから返せって」
蘭方の右手にあるバレンシアガのサングラスを心配そうに見つめ神宮寺はそう言った。
飲み会前の掴み合いの瞬間、蘭方は神宮寺のマストアイテムであるバレンシアガのサングラスを奪い取る事に成功しており、現在そのサングラスは神宮寺への人質として利用されている。
「いやいや言葉遣い違くないっすか?」
「か、返してください」
神宮寺はそう言って頭を下げる。
それを見た蘭方はニヤリと笑う。
「わかりましたよ神宮寺さん、俺も鬼じゃありません」
そう言って蘭方はサングラスを差し出した。
「ありがとよ」
『ヒョイッ』
神宮寺が受け取る直前で蘭方は持っていたサングラスを上にあげ、神宮寺の手を躱す。
「はは、騙されてやんの」
『ピキッ』
そして神宮寺の怒りが頂点に達する。




