159話 適合者として
「み、御影先輩……」
「……おい!そこの魔族、私の嶺王をこんな風にしたのは、お前か?」
御影小夏はそう言うとサタンを強く睨みつけた。
『パッ』
「くはっ」
御影のその目を見て、サタンは鏡花の首から手を離す。
『ドサッ』
「おぉ怖いのぉ、そんな目でみるなよ、滾るだろ?」
「キモッ」
サタンの発言に対し、御影はそう即答する。
「お、おいキモいってのは俺のことか?」
「そうに決まってんだろ、このムキムキきもゴリ野郎」
「……ムキムキきもゴリ野郎、だと?」
「そうだよ、お前鏡見たことないだろ」
御影はさらにサタンを煽った。
「死にてぇのか、小娘?」
「やってみろって言ってんだよ、このゴリきも野郎」
『シュ』
御影がそう言うとサタンの姿が消えた。
嶺王のかけたディレイ効果はすでに解除されている。
つまり、サタンの"神速"は戻っていた。
「真獄!!」
御影の眼前には現れたサタンはそのまま右拳で、御影の顔面をぶち抜きにいった。
「御影先輩!!」
『バシィッ』
しかしその拳は御影の顔面には届かない。
「おい、私は"嶺王"の適合者だぞ?あんまし舐めんなよ」
御影は寸前のところでサタンの拳を止めていた。
「おいおい、そりゃないぜぇ〜」
サタンは拳を止められたにも関わらず、戯けていた。
「調子乗ってんじゃねぇぞ、このキモゴリラ!固有スキル発動、嶺源!!」
『ズドォン』
御影は右拳に嶺源を宿し、サタンを思いっきり殴りつける。
「ゴフッ」
「おりゃあ!」
『バゴォン』
そうして御影はサタンを15メートルほど吹き飛ばした。
「ハァハァ、伊地知ちゃん、手伝ってね、私達でこいつを倒そう」
「……は、はい」
鏡花は御影のあまりの気迫に圧倒され、小さくそう呟く。
御影小夏、攻略者歴4年。
嶺王の適合者である事以外の取り柄のない攻略者、そう呼ばれていた彼女の魔神討伐が今、始まる。




