146.5話 霊王の苦難
「おい霊王よ」
『どうした十蔵』
とある日曜日、祭は霊王を連れて吉祥寺にある飲屋街に来ていた。
「お前、もう一つのSSSレアダンジョンアイテムの適合者になる気はないか?」
日本酒を飲みながら祭は霊王にそう問うた。
ちなみにだが、英霊を連れて居酒屋に来るのは祭くらいで、霊王も一応帽子を深く被ったりして変装している。
『……ないな』
「そうか……これなんだがな」
『コトン』
そう言って祭は、銀色に輝くSSSレアダンジョンアイテム、嶺王の銀笛を机の上に置いた。
『……拒否権とかはないのだな』
「まぁそう言うなよ、これさえあればいつでも鏡花を呼び出せるんだぞ」
『なるほど、設定するのは鏡花か、相変わらず姪っ子大好きだな、十蔵よ』
「まぁそれもあるが、純粋に鏡花はもう立派な戦力だ、なら使わない手はなかろう」
『クイッ』
そう話すと祭はお猪口の日本酒を一気に飲み干す。
祭には東條や鏡花のように、3つ以上のSSSレアダンジョンアイテムに適合できる才能はない。
故に霊王に一度適合してもらい、自分を準適合者にする事で複数のSSSレアダンジョンアイテムを運用している。
『十蔵よ、私にも限界はある、これが最後だぞ』
「おう、わかってる」
英霊は人よりも許容できるSSSレアダンジョンアイテムの数が多い。
その数4つまで。
現在霊王は、3つのSSSレアダンジョンアイテムの適合者となっているため、あと1つが限界である。
『はぁ、お前について行くと決めて早15年、苦労が多いよ本当に』
お酒が入っているためか、霊王はそうぼやいた。
「ふっははは、なんだ英霊ともあろうものが愚痴をこぼすとはな、プラスに考えろよ霊王、いつでも鏡花に遊んでもらえると思えばいいんだよ」
『……私はな犬ではないんだよ十蔵、それにあの子も私と遊ぶ年頃でもないだろ』
「まぁまぁ、一度呼んでみろよ、そしたら案外まだ鬼ごっことかしてくれるかもよ」
『うーむ、別に鬼ごっこがしたいわけでないが、練習がてら何度か呼んでみるのもありか』
後日、SSSレアダンジョンアイテム嶺王の銀笛の適合者となった霊王は、さっそく伊地知鏡花を呼び出してみたのだが、いきなり呼び出した事が鏡花の逆鱗に触れ、小一時間ほどエクスカリバーのサンドバッグにされる悲劇に見舞われるのだった。




