第92話:哭け番犬よ
ケルベロスには戦闘に必要な意思が用意されている。そして、見た目こそ変われど守護する骸の花嫁だった化け物と同一の存在なだけに、この生物にはギュンターへの忠誠心がある。それは、彼の未練と、苦痛と、遠い幸福から生まれた物であり、それは残骸。決して、ギュンターの妻ではない。彼女の魂はここにはいないのだから。しかし、それでも違う生物として本人の最低限の私情を持つ。
例えば、目の前にいる謎の男が、奇しくも自分の主と同じ鎖で繋がれた武器を持ってきている事に不快感を覚える程度の感情ならあるくらいに。本当にただの偶然の産物だ、現にアダムの持つ武器は化け物の血を染み込ませ続けた化物を殺すための剣がメイン。心器ですらない。一方でギュンターも能力向上と回復が目的の棺がメイン、全く用途は別だ。ギュンターに関してのみ言うならば、心器についてる鎖という時点でそれには少なからず意味があるかもしれないが。アダムには無関係である事に変わりはない。
どうあれ、この番犬は気に入らなかったのだ。過去に縛られた者の為にあるような、その鎖が女々しく思えて。
それ故に行動も早く、アダムが前に立った瞬間には彼の左右に向かって蛇達が毒液を放ち、彼の回避できる道幅を制限する。そして、そこから前進も後退も選択させる間もなく前足を振り下ろしながらの蛇による左右からの噛みつき。
本来ならば1人を相手にこれだけの攻撃をすれば過剰な程だろう。
「──ここだ」
自身の眼前に迫る足に臆せず、短剣を投げる。爪のような形状になっているその指の隙間に鎖を通す様に。通った瞬間には手元に戻ってきた剣も短剣もクロスさせながら持ち替え、スライディングで前進。
鎖を引っ掛けられた状態で前方に体重をかけたケルベロスは体勢を崩す。それでもなお、血管の様に骨の下で蠢く蛇達は一斉に毒を吐き、回避する程に彼の周囲は毒液によって完全に包囲される。
「アダムさん!!」
「構うな、お前達の副隊長が何に立ち向かってるか、よく見るんだ。私はこいつ相手に時間を稼ごう」
確かにノイバート達の前にも1体いる状況だが、回避不可能に追い込まれている様に見えるアダムも手を貸す必要はあるのではと、視線を外せていない。捕縛、噛みつき、毒液放出、それが密集して全方位からそれらの攻撃を繰り出せる。そんな相手に1人で保たせるなど、この罪悪感による枷もある中、かつヴィルガも心配である状況なのに。
当たり前かつ、順当な心配ではあるが、それが彼に関しては杞憂らしい事が分かった。
「はっ!!」
体勢が戻り切る前に、目に向かって剣の方を投擲、それを止める為に蛇達が絡まろうとするが、ここに至るまでにより上位の存在の血を浴びた事で、より強固な化け物の蠱毒と化している彼の武器は、刃に触れる事自体が危険。それは毒蛇にだって容赦なく降りかかる。なにより、この装備は心器ではないからこそ、この場の影響を装備は受けない。持ち主と関係なくその力は常に最大限発揮されるのが通常の装備。
「……いや、浅い」
しかし、それでも蛇の拘束そのものが無意味にはならず、投擲の勢いが弱まって先端が瞳に当たる程度に留まったが、武器そのものの影響で受けたダメージ以上にケルベロスは苦しみと怒りを出す様な雄叫びをあげる。
起き上がって早々に爪による連撃が来るが、身を逸らし、小さい動きで回避し続け、その最中も後手で回した短剣を、ケルベロスの関節をカバーする蛇に向けて突き立て、片手で爪に対して全力で剣で防いでから腕の力を抜いて相手が体勢を崩す最中に、今度こそ目に深々と剣をぶち込んでから鎖を引いてから距離を取る。
「ギ、GYAAAAAAAAAA!!!」
叫びと共に飛びかかる。体勢すら整ってない間にそうするのも、間接等の器官の代わりを果たすのが蛇であって、骨の可動域には縛りがないからだろう。
「アダム!!」
「!!」
迎え撃とうと構えていた所にヴィルガが飛び込んでくる。それと同時にケルベロス同士がぶつかりもつれる。ヴィルガは自分と交戦している方の個体がぶつかってくる等の距離を詰めてくる行動をしてくる時を狙い、アダムとの合流も兼ねて彼女もこちらに飛び込んできたらしい。
「悪りぃな、だが戦力が分散させられてるよりか、こっちのが良い」
「同感だ。現状では我々にかかってる負荷から想定して、本来の戦力からはおよそ2分の1程にまで抑えられてると考えて良いからな」
そして、2体のうちの片方は噛み付きにかかり、一方は毒液で足を封じにかかり、周囲の蛇が腕を拘束しに来る。
「ほぉん?んじゃあよ、その状態でコイツらぶっ飛ばせたらよぉ、おもしれぇんじゃねぇか?」
毒液を放たれる前に大剣で首を薙ぎ払い、そこから低い姿勢でケルベロスの顎を大剣によるアッパーで、噛み付きを不発に終わらせる。拘束攻撃も、ヴィルガが狙いである事が分かっていたアダムはまとまる瞬間を狙い、鎖で逆に拘束し、そのまま短剣を触れるようにしながら鎖を引く事でまとめての切断。
「いい、いいねぇ!!危うく頭蓋を砕かれるかと思った!証明してやろうじゃん!!」
「ああ、この状態でも勝ち筋を見出せる事を証明する良い機会だ。初心に帰るのもまた一興」
そんな2人が背中合わせに構える最中、ノイバートはアダムから頷かれたのだ。無言で、何かを言うでもなく。
彼らの練度はアダム達の様に突出しておらずとも、数がいる。あの雄叫びを聞いてなお、折れずに槍と盾を握る軍勢がいるのだ。勝てない道理はない。
「2人が時間を稼いでくれる間に我々だけでも1体を倒すぞ!!」
足元に落ちていた同胞の槍を手に、ノイバート達も立ち向かう。
「この蛇の毒液は喰らえば死ぬ!だから、毒液以外の行動を誘発する様に動け!!」
毒液は牽制や足の止まった時を狙って放たれる。これそのものが致命傷になる技にも関わらず、捕縛や噛み付きに移行するのは、相手が弱点をついてくることへの警戒と柔軟な対応。もっとも、毒液以外の攻撃を切り抜けたとて、本体の爪に、噛み付きに、のしかかりや体当たり、体躯とその頑丈性をただ振るわれるだけで厄介なのだが。
多彩かつ全てが致命傷。先程の化け物の軍勢よりは対処が直接的なだけマシかどうか、そんな程度だ。ノイバートも内心で舌打ちくらいはしたかった。
「うわああぁ!!」
「捕縛されそうな味方は優先して救出!!救出成功後撤退の援護をしろ!それ以外の隊員は奴の関節を狙え!蛇が代替品をしているという事はそこが崩されたら動きに大きく影響が出るはずだ!俺が前に出る!!」
前に盾を構えながら接近し、槍で蛇を狙う。ある程度の攻撃ならば、纏っている鎧でダメージそのものは緩和出来る。
(ダルガ隊長の様には行かずとも、皆が盾として前に出られる勇気を出せる様に、俺が例にならなければ何が副隊長だ!!)
「くっ!!」
毒液で表面が溶かされ、盾としての体を為していない物。それでは当然防ぎ切れず腕を振り払う動作、そこに蛇の鞭も重なった連撃に耐えつつも、物理的に出来た盾の隙間から槍を突き出した事で間接を構成する蛇の内の2匹が串刺しにされる。
「っし!!!」
その最中に、ケルベロスが大口を開いてノイバートの頭に噛みつかんと近付く。兜もとうに爪の一撃を防ぐ時に弾かれ、鍋にも出来なくなった。絶体絶命やもしれない。
だが、ノイバートはそれでも挫ける事も、この瞬間の死を覚悟しているわけでもない。上で戦ってるライや今目の前で戦っているアダム達の様に、強敵の相手を彼等のように1人で戦える戦闘力や、心器を持たずとも──
「うおおぉぉぉ!!副隊長を守れえぇぇ!!」
防御隊もそう、彼等には多くの力がある。なにより、彼等にも前で戦い続ける勇気がある。どんな恐ろしい溶解死や捕食が待っていたとしても、何を守って、何の為に死力を尽くすかを、彼等は決めている。今にも恐怖で折れそうな心を、負傷した隊長と、その中でも前に出る副隊長ノイバートの姿に励まされて奮い立たせる。
彼の前に出た隊員達が口にそのまま盾を立てる様に腕を突っ込み、噛みつきを妨害する。ノイバートが関節に与えた一撃もあって、この状態では踏ん張りがきかないのか、爪で彼等を弾く事も出来ない様だ。
「うっ、ぐぬ……!!くっ、なんて力だ……デタラメな!」
しかし、それでなお盾を割ろうと顎に力を加える事を番犬はやめない。分厚い大盾の中央の方から微かにしなり始める。加えて、自由が許されている他の蛇達は動けない彼等に対して毒液を遠慮なく放ってくる。
「あ゛っぁあ!!た、えるんだ!!」
「くお、おぐぉ……!ふ、副隊長!」
「私はもう大丈夫だ!退がれ!!」
本体の危機を感じてか、身体を構成する蛇達が一斉に攻撃に参加し、どの方向からも死角がない。他の隊員がそれの対処に追われる中、庇ってもらった分だけ動きに自由があるノイバートは手を考えなければならない。
彼を庇ってくれている仲間達も鎧が溶かされ、既に肌の表面も焼かれかねない事態になっている。
(もう1関節も潰せば──)
そこで気付きく。骨というバラバラのパーツを外部の生物で繋ぎ合わせているケルベロスには、心臓や脳の様な致命傷に繋がる部位がないのだ。アダムとの戦闘を見るに蛇と感覚器官は直結している様だが、既に何匹かの蛇を倒しているにも関わらず、動きが鈍くなる気配がない。
だから、蛇を片っ端から潰せば勝ちなのか、目を潰せば勝ちなのか、どこを潰せば活動を停止するのか。
「ちっ、アダム。もしかして、コイツはよ」
「ああ、幸いな事に使徒自体が自分から顔を出している。奴が倒れたならこの番犬の命も終わる。だが、それまでは完全な撃破は出来ないと思われる。少なくとも、私の経験則の限りな」
「スッキリしねぇな!!」
心器の使用者本人がその能力を切る。それか意識が途切れるか、あるいは死亡、そのいずれかでなければこの番犬の活動を止める事は出来ない。2人のその会話は情報共有も兼ねて、あえてノイバート達にも聞こえる様にされていた。
現時点でも気力を振り絞って耐えてる隊員達に、上で行われている使徒との戦いが落ち着くまで粘らせるにしても、どれだけ保たせられるのか、彼等は苦しい戦いの予感を覚えていた。
その時──
「!全員、距離を取れぇ!!!」
彼に道を示す様に頭上から何かが飛来する。それに潰されない様に皆がケルベロスから距離を取る。
音を立てて地面に激突した物体、ケルベロスの青い瞳も明確にそれを見て、一瞬足を止めたのだ。他の2体もだ。
「こ、これは……棺?」
使徒の腕と共に落ちてきた棺は、遭遇した時に見た心器だった。それが腕ごと落ちてきたという事は。
ノイバートは船を思わず見上げる。
(そうだ、上の皆も使徒の迎撃を頑張ってくれてる。彼等の頑張りのバトンがここへと繋げてくれたんだ……!!)
上でも交戦状態ならば使徒が心器を展開し直す余裕もなければ、触れる事が出来る距離でもない。そして、心器は所有者自身でも傷をつけることが出来る。所有者に近い位置にいるこの番犬にもそれは例外などないだろう。つまり、これは番犬の撃破に利用出来る。
3つの花嫁の遺骨、そこから構成されたケルベロス、皆の前に姿を現した使徒が持っていた棺は3つ。棺の数を合わせていた以上、それぞれで対応していると考えられる。
全てのケルベロスを倒し切れなかったとしても、3つで1つである生物を欠けさせる事は大きな打撃に必ず繋がる。
「皆!ケルベロスはどうやらこの心器に意識を割かれるらしい!この棺を破壊させる、手を貸してくれ!!」
ノイバートのその声を聞いた交戦中のメンバーは皆、その意図を理解して頷く。
同時に、ケルベロスは心器に近付く事を許さず、棺の上に先に被さろうと体当たりをいれてくる。しかし、ノイバートが盾を構えながら前進し、彼に追従した4人も盾ごと身体をぶつける様に突進する。体重の乗ったその一撃に防御した側の足は地面を抉り、防御の姿勢のまま少しの後退をさせられる。
「っ、重い……!!」
そんな彼等の後方から弓矢の後方支援が飛来する。意識を分散させて少しでも力を弱める為に。
「撃て撃てえぇぇぇ!!だが仲間には当てんじゃないぞ!!」
その影に隠れながら、防御隊は下準備を進める。だが、その為に必要な棺を動かす手順が、今の彼等には時間のかかるものとなる。そうでなくともこの心器は1人や2人で持てる重さの物ではなく、現実の棺よりも少し重い。これを引きずらなければならないのだが、それまでケルベロスの動きを止めなければならない面々の負担は、かかる時間の分だけ重くなる。
それを横目で確認したアダムは、自身の相手をしている個体の一撃を弾き、バックステップでヴィルガの側に来る。
「ヴィルガ、彼等の支援に向かってくれ」
「なんだと?この犬共はどうする」
「少しの時間稼ぎなら出来る。何やら私を敵視している様だから尚更だ。頼む、この空間内でもお前の腕力なら確実に力になる」
「……分かった。けど、アンタの腕を信用してないわけじゃないけどさ、死ぬんじゃないよ」
「死場所は少なくとも選びたいところだが、今ではないと思っている」
互いに目配せをし、ヴィルガは防御隊の前にいるケルベロスの方に駆け、それを踏み台にして合流する。
無論、2体の番犬は彼女の後を追おうとするが、アダムが鎖の音を鳴らしながら、彼女により近い方の個体の顔に挑発目的で短剣を当てる。
「まとめて来い、その方が無駄がない」
2体同時の雄叫びに、防御隊の内側にある不安感をまた煽られるが、それを増幅させられるより先にヴィルガが降り立つ。
「ヴィルガさん!!」
「時間がない。アタイが引っ張るからアンタらは持ち上げな!」
「っ了解しました!助かります!!」
その最中にもノイバート達はただ耐える、耐え続ける。側面から襲いくる蛇達を他の防御隊や弓兵隊が迎撃する分、耐えている5人は正面からの物理攻撃にのみ集中出来るのが幸いか。
「皆、まだ堪えてくれ!!後少し、もう少し!!」
それは自分自身も奮い立たせる様に副隊長として声をあげる。一撃一撃が盾で受けても肩が外れそうな程に重いだけに、体力も奪われて力が抜けそうになる。
しかし、背後には手を離せないヴィルガ達や、弓兵隊、その先には船の中への道がある。ここで留まらせる事が出来なければ総崩れになる。勇者ではなくとも、多くの命を背負っている自覚を持つ時がある、それはこんな瞬間だ。だから、身体が悲鳴をあげようが、出来る限りの平常通りを保つ。
「お、りゃあああぁぁぁぁぁ!!!」
そんな彼等の負担を少しでも減らす為に、ヴィルガは体重を込め、棺についた鎖で引っ張り上げる。
「ヴィルガさん!!それを湖の方に投げて!!」
「っし!!お前達どきな!!棺でぶっ飛ばされたくなけりゃあなぁぁぁぁぁ!!」
棺を持ち上げる手助けをしていた防御隊は一斉に後方に下がり、遠心力を利用してヴィルガは湖の方に心器を投げ捨てる。
それと同時にノイバート達の相手していた個体が、それを追いかける様に突如として駆け始める。本能か、あるいは情動なのか。持ち主との繋がりであり、自分の心臓とも言える物に対する執念か。
だが、ノイバートはそれを利用する、それが生物的だと思えてしまう前に。
葵とクロエが洞窟で魔物と交戦した時の報告内容、その書記に書かれていた物を思い出す。その術式を直に見せてもらったわけではないが、想像はつく。同じ規模にならなくても良い。魔力が希薄になっている今の瞬間でも出来る、皆の力が抜かれている今でも出せる最高の威力をこの瞬間に出せるのならば。
「死の淵を見よ!その内にある瞬き、狭間に触れて啓いた先の眩さ、お前は今輝きの中にある!決して逃れられず、それを知る時が来た。“閃き燃ゆる命”!!」
ミハエルが結界の調整の際に持ってきた魔石の幾つかを彼が船内に退避する前に5つ程貰っていた。そして、この術式は葵が騙る者を相手に使った、魔石を起点にした魔術。魔石そのものを爆弾に変える物。
棺の心器は外壁は頑丈だが、内部からの衝撃は想定されていない。その威力は相応に発揮される。ましてや、ギュンターが追い詰められている瞬間、平時と比べて心器の耐久力に乱れが生じてる瞬間──
「ガ、ギ、GYAAAAAAAAAA!!!!」
閃光、轟音、断末魔、ケルベロスを巻き込んで棺が爆発する。
湖の方で起こったそれは集落の建物を巻き込まずに起こるが、その余波で強い風が辺りを支配する。アダムと交戦している2体もその風に耐える様に地面に爪を立てて動きを止めるほどだ。
轟音に対して防御隊は耳を塞ぐが、ノイバートはその際に湖の方に視線をふと送った。使徒の展開した奈落で抱くと戦いの上では不利になる感情が、彼の中で湧き上がっていた。
弔う為の、死者に眠ってもらう為の箱。そして、無理矢理目覚めさせられた死者の様な姿の番犬、それ等をこうして爆発の光の中に消した事に、その光景に、確かな罪悪感を覚えていた。自分達の隊長に重傷を負わせた使徒の能力の一部相手であったとしてもだ。そうさせた敵に、使徒に、実行した自分に残酷さを感じるほどに。
その感傷はこんな時に湧くべき物でも、その余裕があるものでもないかもしれない。ましてや番犬達なりの意思があることなど知らないのだから。
しかし、それが地球にいた頃の彼というものを繋ぎ止めてくれるのやもしれない。例え、それが弱さだとしても。
「……──」
その余波も音も止んだ後も、視線を湖の方に向けていたが、ヴィルガが大剣を担ぎ、走りながら通りすがりにその肩を叩いていく。
「!!」
「全部後回しだ、まだ番犬共は残ってるぞ」
彼の表情から何かを感じ取ったのか否か、どうあれ彼にはもう既にヴィルガの背中しか見えていない。
まだ戦闘は続いていて、生きる為には戦って勝つしかない。そして、その憐憫の念に絆されてもくれない相手ならば、首を差し出すつもりもないならば、戦う意思があるのならば、確かにそれは彼女の言う通り後回しにするべき感情なのだろう。
頭を一度だけ横に振り、盾と槍を手に彼女の後ろから駆ける。
「防御隊!アダムさんの救援に行くぞ、我に続け!」




