第109話:奉仕という生態
その後、エーデルらしき存在の2度目の襲撃等の、幸いにも3度目はなく、葵は予定通り使い魔を放ち、刀を抜いたまま皆が起きるのを待った。
ここには時計はない、日も刺さない、外に行っても正しい昼夜の概念は働かない。太陽は見守らない、月は見張ってはくれない。それだけに、ただ警戒と緊張を解かずに待機し続ける時間は、ひどく長く感じられた。部屋の中で安眠する人々を見て安心する事も、安眠出来ず苦しむ人を案ずる事も出来ない。
ただ、眠りを共にせずとも、身体的には不思議と苦しくはなかった。偶像は排泄をしないという論がある様に、異世界における彼にそうあれと世界そのものが作り上げていったようだ。
「──……」
故に、葵は雑念を捨てて、増やした目の方に意識を向けた。使い魔達は物陰から見張り、葵はいつでもこの刀を振るえる準備をする。斬らなければ多くを救えないなら、正体がなんであれ斬るしかない。
裏切り者がいて、この中で皆を図る者がいた時に、説得に応じないならそれも斬る。皆を日常に引き留める為の剣が今の葵。武力行使の選択肢を持つ者なのだから。
(そうだ、勇者は多くの人の為の剣となり、その分だけ皆の盾にもなる。俺はより立派な勇者となる為には、より良い武具にならねばならないんだな)
人の優しさを浴びた、人の余裕のなさを浴びた、敵意も相応に浴びた、初日でもうお腹いっぱいな程にここの人々が普通の人間である事を理解した。彼等が異世界から抜け出した後に、悪い夢だったのだと済ませられる段階なのだ。それに安心したからこそ、葵は考える。
異世界での最終目標なんて聞くまでもない。帰る事だ。法があって、夜には人の作った灯りが迎えてくれて、人が外を出歩いたり人の話す声が聞こえて、鳥の鳴き声が聞こえたりする、そんな元の世界だ。そんな場所に彼等は帰らなければいけない。
(……母さん、父さん、姉さん。いつも通りに過ごして、変わらない明日や、変わらない来年を迎えてくれてたら良いんだけど。元の世界が邪神という病に少しでも長く耐えてくれればいいな)
ふとよぎった言葉は、記憶の気紛れか、あるいは感情が、波が砂を整地するように忘れた。そうなるのは、蜃気楼に焦がれる様に詮無く、だからといって詮無いのだと割り切れる程に葵は人生を積み重ねてはいない。
なにより、今の彼に積むことが出来るのは石のみであり、それを分かっているからこそ記憶が先に処理をしたのだろう。
葵は今度こそ監視と警戒のみに意識を割く事に専念した。
*
翌日、皆はミゲルの提案通りに起きてから自然と中央の劇場の方に集まってきていた。葵は皆が集まる時にも刀から手を外さずに待っていた。いつ、どこで、どのタイミングで謎の人物からの襲撃を受けてもおかしくない状況になった以上は、彼らの心象よりも安全を取るしかない。
昨日のベルタの発言もあって、その様子にギョッとする者も少なからずいたが、その反応をした者は中でも温厚な方の人間だったから、一瞬そうなるに留まった。
「皆さん、おはようございます。眠れなかった人や、疲れの取れてない人も多い中だと思われますが、集まって下さってありがとうございます」
「葵っちも見張お疲れ様〜1人で見張ってたんっしょ?」
「訂正。1人、じゃない」
「うぉわ!?ベルちー!?」
葵以外気付かない間に、ちゃっかりと彼の隣をベルタが陣取っていた。
「ベルタは昨晩から部屋の外にこっそり出て見張ってたんだ」
「見張ってた、同意。しかし不正確。貴方を見守っていた」
「……」
冗談の様に流すも、驚くも自由は与えられていたが、彼の思考はどんな反応も出来ずに気恥ずかしさで黙り込む事しか選べなくなっていた。
そんなやや気の抜ける様子を見たミゲルが笑いながら手を叩いて視線を自分の方に向けさせる。葵主導の方が良いが、言い出しっぺが進行を務める方が誠実だ。
「はい。挨拶はアオイ君がやってくれたから省略して、昨晩の事についてだ。そう、皆も思い出すのも悍ましいあの出来事だ。あの後にも色々起きた、それについて皆と共有したいと共に、知ってる事を話し合わないかと思ってね」
「なんか、ニントの叫び声が聞こえて私達すごくびっくりしたけど」
「そうよね、うなされていたのかしら?」
「それにも、ちと理由があるんだが──」
チラリと葵の方を見やり、盛大なため息を吐くニント。あの時の事を思い出すだけで苦しいのか、葵が視界に入ったからなのか、葵に借りを作ってしまったからなのか、それを複合してのものなのか。その周辺の事情は分からずとも、良い態度とは言い難いその様子に、アーリアが咎める様な鋭い視線を向ける。そんな彼女に対し、気まずそうに顎を撫でたニントはそこでようやく口を開く。
「ガキの証言も混ぜて言うと、エーデルの婆さんの姿をした奴が逃げてて、その最中にオレに対して悪夢を見る魔術を使ってきたらしい。事実として、オレは昨日ヤバい夢を見た。そのまんまショック死しそうな程のやつをな」
魔術と聞いても皆はそこで話を止めない。この場においてはニントが言う事によって少しでも話がスムーズに進むのは、彼が唯一の非日常側に近い、魔術が使える人間という認識だからだ。
彼自身それを分かって自ら説明する様に口を開いたところもあるだろう。葵からだと多分こうはならなかった。
「ま、待ってちょうだい。お婆様ですって!?彼女が生きていたとでも!?」
「そ、そ、それに魔術とか!そんな事してこられたら何でもアリじゃん!?洞窟壊したりとか、なんかすごい力で即死させるとか!きっと出来るんでしょ!?ヤバくない!?」
「誤解。エーデルはあの時点で死亡していた。排出された血の量、傷の深さ、アレでは助からない」
「そして、日向さんが思うほど魔術は万能ではないから安心して欲しい。マイナスな話だけど、それが出来たら夢よー覚めろ!って出来る。それと同じだよ」
「そ、そっか。そうだよね、うん……そうなの?」
「そうじゃないかな。出来るか否か、よりも今回は誰がやったかの方が余程厄介な話だと思うけどね。私が日向を守れないなんて、嫌だから」
「そうですね。本題はそちらですよね。その人は本当にレディエーデルだったのか、それとも──」
「それについて、アオイ君と話していた仮説があるんだ」
「み、ミゲルさ……」
「アオイ君、共有してないと必要な時に信じてもらえないだろう?」
そして、ミゲルはあの魔導書の内容について軽く触れた。中身が読んだ人によって変わる事、その上で得られる術の知識は共通である事、しかしその術の定着の度合いはその人の適性に左右されるという事。
あくまでそれは前提、その中にある術として他者に擬態する術があるというのが本題だった。やはりそこまで伝えてしまうのか、と葵は眉をしかめた。葵としては、これは皆に話すかについては慎重だった。混乱する様な出来事の後の閉鎖された空間、疑心暗鬼になるにはもってこいの環境だ。
「付け加えさせてもらいたい事があります。適性による部分は本当に大きいです。例え、術の詠唱を最後まで終える事が出来たとしても、その効果を得た上で俺から逃げ切りながら追加で魔術を使うというのは、皆さんが想像するよりも大変です。特に、あの本の魔術は本来通常の精神状態の人間が使う様には作られていません」
「そうなの?そういうものなのかな?」
「私達にとって魔術って現実的ではないし、そういう物なのかと言われたらそうだと思っても良いし、その分実感は湧かない。だから、それが説得力になりきらない」
「ワカバ、そこは飲み込まなければいけないんじゃないかしら。わたしも読んだ身だから言える事なのかもしれないけれど」
「でも、なんでもアリだと思いすぎると、何も考えられない。出来る事と出来ない事の差が分からないから」
「──1番簡単な証明の方法はあります」
「?」
「でも、それはオススメ出来ない上に安全も保証出来ません。俺からすれば絶対にダメだと言えます」
「んで、ガキの言う証明ってのは何だよ」
「皆さんに俺の覚えた擬態の術式を使ってもらう事です」
葵の発言に一部の人間が顔を青くし、席の近かったアーリアが葵の肩に手を置く。彼もきっと心が乱れているからそんな事を言い出したのだと思い、落ち着かせようとした。
「落ち着いて、そんな飛躍した事を言ったら皆驚いてしまうでしょう?」
「すみません、自分でもそう思います。それがどれだけ大変なのかを知ってる人がいるだけで意味のある事です。俺だけが言うのではなく、貴方達の中でそれをある程度理解出来る人がいれば、その方がそういうものだと思えるでしょう?」
「が、ガキ……つまり、今オレを利用したのか!?」
「すみません、結果的にそうなりましたし、それが不誠実なのも理解しています。ただ……」
一瞬口をつぐんだ。あえて厳しい言い方をしなければならない時だが、それは逆効果になるばかりで、皆から突き放されるのではないかと言う不安があった。皆と仲良くなりつつ、この危機を脱するのが目的だが、柔らかく接して口数を減らす事は皆との距離を縮める方法ではない。
少なくとも、今は葵への印象の悪さという形で団結させても良い時。厳しい事も言わなければと心の中で決心して口を開く。
「その方法が出来る人間がこの場で多くないのは、貴方が最も分かっていますよね?ニントさん」
「っ!で、デタラメだな!オレになんの関係があるのやら」
「貴方に俺は皆の命を託されました。ならば、少なくとも言い出しっぺの貴方もまたその責任の分だけは、ご理解頂けると助かります。貴方はここ唯一の魔術師なのですから」
「……」
「試すまで分からないと思って欲しくないんです。皆さんの事を思うのなら、ニントさんの視点での危険性についてご意見を頂きたい」
「…………クソッタレ勇者」
ボソリと放たれた言葉は個人的な嫌いの感情以上の苦々しさが含まれていた。ガキではなく勇者という呼び名をわざわざして、である。葵が早々にした宣言の時以来強調していない言葉を使って。
その反応に葵は首を傾げたが、当然浮かんだ疑問に対する返答はない。この場の話の内容から、葵もすぐに返事をしろとか、どういう意味かと問い質すつもりもなかったから問題はない。
「ガキの言うとおりだ。オレ自身は読んでないが、危険性ぐらいは分かる。そんな事をしてみろ。頭ン中ぶちぶちになって血吹き放題になるに決まってる」
「や、やばぁ……ウチならそんなの使いたくないし考えられないや」
「まぁ、そうだね。うん、安易な事を言ったかも。ごめん」
「僕も半信半疑なところはあったので、分かりやすく教えて頂いて助かりました……でも、滝沢君は何故そんな話を?」
「つまり、出来ると思えない人がそれだけいる限り、互いを疑う必要を感じる事はないのだと伝えたかったのです。もしかしたら嘘をつく人もいるかもしれない。出来るけど、その恐ろしさが分かる人はいるかもしれない。でも、それだけならば皆で試してみようと声を出す方が、自然にここの皆に痛手を与えられます」
良い話をするのかと思えば、そうではなく恐ろしい可能性を提示してきた葵に、呆れる様に若葉の姿勢が崩れる。全員を集めたのも、皆で疑ってほしいからではないのは確かだが、やり方というものはないのかという気持ちにもなる。
「納得出来ない。やれば分かるならそうしよう、互いの身の潔白の為にも。こんな風に言えば、魔術に耐えられない人はそれを使った後に長い時間大きな隙を見せます。いつ襲撃しようと自由です」
「でも、そうしなかったのが重要。そうね?」
「はい、この場にいない第三者の犯人か、そうでない場合はここの人達の味わう苦しみへの理解、あるいは自分自身もまたあの術を使うことへのリスク、その2択の理由がきっとあって、前者ならばその人に善性が残されている事の証左となります」
「後者なら?」
「こうして俺に先にその手段を提示された事で、いずれ同じ手をやるチャンスが潰れたに過ぎません。だから、手段を先に提示しておく必要があったんですね」
(じゃあ彼が犯人だったり、隠れた化け物とやらならだったのだとしたら、僕達相手に彼はそうした手段を取るのか……)
「そして、前者ならば思い直す可能性にかけられます。平和的な解決方法の手があるならば、折角ここまで共にしてきた身、そうなってくれれば皆様の精神衛生上良い。俺としてもそう」
「でも、希望的観測なんですよね?善性はあれど手を取り合えなかったら……」
「大丈夫です、そうなれなくとも皆さんと過ごした時間という下地にはそれだけで価値があります」
具体性よりも人の心に訴える様な言い方を選び、濁す。葵としては、その価値の部分というのは、対話不可能となった場合に相手の善性の分だけギリギリのところで手が鈍り、大きな隙を見せてくれる可能性があるという事。対処が楽になる。
しかし、その利点に関しては言うのはやめておいた。先にその手段を皆の前で提示する事で、その手段や考え方がある事を理解させてしまう事、通用し辛くなる。なにより、聞かせて意味のある物ではないのなら、皆にとって良い気分にはなれないこんな案を得意げに話す事もないだろう、と。
「肯定、肯定」
「え!?」
「変わらず貴方の方針を支持する。だから、自己嫌悪に陥る事はない」
「あ、ありがとう……うん、本当にありがとうだね」
葵の頭を慣れない手つきでポムポムと撫でるベルタ。彼女なりに葵の考え方を想像し、その末に葵がどう思うのかまで行き着いたのだろう。しかし、会って間もないはずの彼女の理解度、あるいは葵への観察力というべきか、それの精度の高さに葵は少なからず驚いてはいた。
彼女に感謝と共に少し気の抜けた微笑を浮かべた後に、また皆の方に向き合う。
「それに、その擬態した相手も出てこざるを得なくなると思います」
「それはどうしてだい?」
「俺は例の物をもう持っています。後は持ち帰るだけです」
「例の物?葵っち何か持ってるの?」
「うん、ここでしか手に入らない物をね」
「んー?ますます分かんないや。でも探し物見つかったんなら、超良かったね!」
屈託なく笑う日向がそう言うのも、同じ高校生である彼を信用してくれているから、考えるよりも葵が濁す事を深掘りして困らせたくないという気持ちが上回ったのだろう。何故?の気持ちはあるのかもしれないが、誰かが率先して何かを言う事で一旦は流すことが出来る。
葵としても、例の物を手に入れたという事さえ言えたらそれで良かっただけに、彼女の気遣いは純粋に嬉しく受け取れた。
「それに、擬態して逃げた事がアレには仇になったかもしれません」
「鬼ごっこでアオイ君は何かを得たというのかい?」
「はい、あの後にエーデルさんに擬態した相手の逃走したルートを辿ってみたんですが、その時に思わぬ抜け穴を見つけまして」
脱出路についての話になると皆慎重にはなるが、同時に微かな期待の色が浮かぶのもまた必然。桃源郷になるには、この遺跡はあまりにカビ臭く、あまりに無機質だった。本音ではここから出たい者だって当然いるだろう。
薄らと本当はここが夢ではない事が分かり始めて、いつもと違う日常という夢は覚め、人の為でない世界が広がる夢の中にあるのだと知る。帰りたいのも当たり前だ。ここの方が良いとは普通ならばならない。
「ど、どこなの?それはわたし、わたし達は少なくともそんなの知らないわよ」
「仕方ない事です。俺の持ってる能力でないと抜けられない場所、魔術とも異なる異能と言った方が正確でしょうか。俺のそれは多少の壁を抜けるのは得意でして」
「じゃあ君専用の非常用扉だって言うのかい!?弱った、天に見放されてしまったかな」
「俺は貴方達の安全が確認できたと言える状況になるまで出るつもりはありませんよ」
「本気?こんな所に居ても、貴方に利点はもうないじゃない」
「声や顔を知ってる人の無事を願い、その為に命を賭ける事は、利点が必要な事?死ぬか否かの中に立たされている人を見捨てる事には利点があるのか?俺はそうじゃないな」
「えぇ……利点、ないでしょ。会ったばかりで、私とかニントとか、クソ生意気な口叩いてくる奴がいるのに」
「無条件に信頼してもらえるわけではないんだから、反応が良くも悪くも人によりけりなのは当たり前だと思ってる。生意気な口だとか、自分と反する意見を言ったり持っただけの人が、崖に掴まって辛うじて命を繋いでる状況だとしたら見捨てられない。俺は私的感情なんて物は置いといて、助けるべき人を助ける。俺にとってはそれだけ」
葵の返答に感心の声と拍手をあげる日向とミゲル、恐らく2人ともノリだろう。だが、若葉とニントとルイは、少し、あるいは少しどころではない引き方をしていた。何故引かれているのか、葵には分からなかった。
(それを共感出来ないのならば、最初から攻撃的な事言わずになんとなく距離を取るぐらいで済ませてくれれば良いものを……それぞれに筋の通った理由があるのだとしても、言われないと直せる所なのか直せない所なのかすら分からないし)
これを他者に強制するのならばその反応も正しいが、これはただの個人的な意見に過ぎないのだし、それこそ相手には不利益のない意見なのだから、そこまで露骨な反応をされるのは流石に傷つくのだった。そして、その感情の動きすらも傲慢なのではない、そう感じながら葵の脳内は忙しなくなる。
そう感じた上でも先程の発言を撤回してやろうという気持ちになる事は決してないのが、今の彼でもある。
「……皆、大事な話をしている所悪いんだけれど、何か聞こえない?」
アーリアのひと声に、皆の動きが耳を澄ませるという一点にまとまる。しばらくは何も聞こえなかったが、葵とベルタは顔を見合わせる。
「警告、貴方達にとっての敵と定義する個体の接近」
「人間の声じゃ、ない……!!しかも多い!!」
「な、何!?何なの!?」
「僕達に逃げ場はないというのに……!」
若葉は日向の手を握り、ルイは辺りを見回しながら警戒し、アーリアは覚悟を決めたように目を瞑り、ミゲルはどこから来るか分からない相手から皆を庇う様に前に立ち、ニントの呼吸は荒くなっていき、明らかに顔色を悪くしていた。
彼等の様子を見た葵は刀を構えながらその気配の方を見る。
「ベルタ、すごく身勝手なお願いをしても良いかな」
「構わない。貴方の望みならば」
「俺が奴等と戦ってる間皆を守ってくれ」
「頼まれた以上怪我ひとつさせない」
「ありがとう。その代わりに、お互いの陣営的なのは置いといて、君個人のお願いとか出来る限り聞くよ。それが礼になるかはアレだけどね……」
「興奮」
「えっ!?」
「楽しみにしてて」
淡々としながらも、彼女の返事には微かに年相応の女性らしさが滲んでいた。そして、それがまた妙な既視感に繋がっていた。
どうあれ、何故かは分からずとも、彼女の見せてくれる献身が頼りになって、それに対してどうやって報いるか、葵はどうやったら返礼出来るか、それが今の難題の1つなのかもしれない。
「じゃあ、行ってくる」
「了解。どうか、ご無事で」
地を蹴り、葵は一箇所を目指した。その行き先は葵とベルタが落ちてきた水辺の方向。




