第108話:真は未だ霧中に
「ニントさん!!」
「アオイ君!」
開きっぱなしの扉から葵が駆け込むと、ベッドの上で狂った様に叫び続け、暴れるニントと、ニントの肩を揺らして起こそうとしているミゲルの姿があった。エーデルの時の様に駆けつけたら既に遺体がそこにあった、という様な手遅れはなかったのは幸いか。
しかし、当然ながら安堵している余裕などないまま、1番近くで見ていたであろう人間から、前後の様子を聞く。対処をするにしても、何が起きたのか分からなければ、薬すら選べない。
「ミゲルさん、何があったのですか!?」
「わ、分からない。すまないが本当に分からないんだ。直前までは彼も普通に眠っていたのだが──」
あるタイミングで突然、ニントの呼吸が早くなり、冷や汗で寝台を濡らし、その末に何かから逃げる様に足をバタつかせ、叫び声をあげ始めたらしい。
確かに正気とは言い難い様子、目は開いているが焦点は合っておらず、喉が裂けそうな程に叫び声をあげ続けているところを見ると、葵は自然と発狂した末に命を絶った調査員を思い出す。嫌な想起と結びつきに、首を横に振る。二の舞にしない様にここにいるのではないか。
「ミゲルさん、彼の両腕を押さえてください。このままだと自分で自分を傷つけ始めかねません」
「あ、あぁ!分かった!」
「俺は少し俺の方法で今の彼の様子を確認します」
「何か分かるのかい?」
「分からなかったら、落ち着くまで2人で押さえるしかありません!最善は尽くします!」
「分かった、キミの指示に従うとしよう!」
ミゲルは葵の方を見て頷いてくれた。緊急事態だからこそ、わざわざ怪しんでるはずの葵という相手に目を合わせて信用の動作をしてくれる事は、葵としても嬉しかった。自分の言った様に対処をしてくれる、手を貸してくれる事は純粋に心強い。
故に、ミゲルがニントを押さえつけている間に、葵は言っていた方法を行う。魔術的な干渉がないかをニントから手繰るのだ。辺りの魔力の気配によって、感覚が飽和状態にされていても、直に触れて自分を除く人1人のみの魔力の動きを探る分なら、何かは見つけられる。
(リンドの様に神経や精神に触れるのが得意ではないし、ほとんどその分野に手を出した事はないけれど、これぐらいなら)
リンドがいれば、ある程度の正常化も出来たかもしれないが、それはあくまで彼女の能力であって、葵の物ではない。精神的な正常化を行うノーマライズは、リンドとの同調が高まった時に行えるものであって、それも1人の時、ましてやリンドとの距離がある時には使えない。
しかし、繋がりのある彼女の能力を近くで見てきたのだから、感覚だけならば掴めている。彼の額に指を乗せ、神経を張り巡らせる。
(魔力の残滓、これは外からの干渉──)
その人の正常な状態を知らずとも、異物に乱されたような跡は分かる。整地された芝生の正確な姿を思い出せずとも、人が通り、よく使われた後の芝生をはげていると認識出来るのと同じだ。
故に、ニントの脳内がいかに荒れてるかは葵でも把握出来た。ここからどうするかが問題だ、放っておいても沈静化するかもしれないが、しない症状かもしれない。
少なくとも、中和して正常化まで早めて損はない。葵は覚悟を決めて口を開く。
「苦痛、憎悪、悲哀、もう掻き毟る事はない。それは誰かを抱きしめる手、爪の紅を拭おう、負の檻を解かそう──“星の欠片”」
横にいたミゲルが何事かと驚いた様な顔を浮かべている。ルイの反応から見ても、魔術はニントの使う物以外はない物だったのだから、妥当な反応ではあるが、今は説明をしている余裕はなかった。
ニントが現在暴れているのは、襲われてる頭の中の異常から逃れたいというのが理由ならば、本人の治りたい意思を基盤にしなければならない治癒術でも治す余地がある。例えるならば、痒さから逃れる為に掻く行為。それは身体が正常に戻りたいが為の防衛反応に等しいのだから。
自分の魂がジャリ、ジャリと削られる感覚はある、渡し賃の代わりに肉を削いで加工している様な気分だ。
「っ、ぐ……!」
「アオイ君!キミが何をしているのか分からないが、キミまで苦しむ事はない!」
「あと、少しなので!!」
そして、訪れる。リンドの時ほどでなくとも、逆流、あるいは同調。ニントを苦しめている物を構築した魔力が葵に観せる。彼を苦しめている物を。
それで良い。これでこのまま治るにしても、原因の一端でも分かれば、対策も対処も、これをやった相手についても、得られる情報が増える。
「っ──」
今回は起きたまま、思考のリソースの中に直接映像が流れている様な感覚。術を維持する為に集中したまま、この映像の情報を認識し、ある程度記憶しなければならない。脳がいくつあっても足りないほどの事だ。
それでもなんとかする。それが今の葵という勇者に求められる事なのだから。直視する。ただ、観るだけではないか!
(観えた!!)
*
海、自然にある為の海、良くも悪くも平等で、美しくも恐ろしいあの大海。それとは異なるものに見えた。海そのものがまるで大きな化け物の一部にすら思える恐怖、慈悲も万一の生存の可能性も、許されない場所。
「う、うわあぁぁ……うわああぁぁ!!離せ!!離せ!!」
ニントはその海の中に引き摺り込まれようとしていた。しかも、最初は1匹、2匹、それぐらいだった魚人の数はみるみるうちに増え、ニントの足を水底に沈める。
やけにヌメっとしたブヨブヨな質感の手が足首を掴んでくる度に、自分はどんな死に方をさせられるのかを考える羽目になる。ただ溺死するだけならば、どれほど楽なのだろうか。海で溺れて死んでしまうのは人間の世界の常識の範疇であり、納得もすれば道理としてもおかしいはずもない。
しかし、死に方すら想像がつかない。八つ裂きにしようが、脳を吸い出そうが、狂い死にさせようが、彼等にとっては容易く、賽を振って身体的な生死も精神的な生死も左右される程に道楽じみてすらいた。死という結果すらもどれ程遠いか。
「ひぃっ!!み、見るな!!見るな見るな見るなああぁぁ!!うわあああぁぁぁぁ!!」
水底から覗く目は、ただ見ていた。人が人を見る事で生じる感情の動きではなく、目が合う事そのものが心を壊しかねない行動なのだ。
本来目が開いていてはならない何かは、目を開いている。現ではなくとも、それは人にとって致命的な事態であり、人1人の精神を崩壊させることなど、人が五感を利用するよりも容易い。
(ああ、やっぱり碌でもねぇ事になっちまった)
身体から力が抜けていく最中、走馬灯の様にニントの脳内は原因になりそうな物を乱雑に引っ張り出していた。赤子の頃の粗相、父のヒゲを引っ張り、母の腕をつねった事、そんな頃から今に至るまで審判のように彼の小さいものから大きなものまで悪事が脳内で次々と捲られていく。
しかし、彼自身分かっていたのだ。こうなるに至る理由があると感じる罪悪感の元は、仲間を捨てた事だった。
(だが、何をもって希望と言える。戦い続ける事の何が利口だ。星が終わろうが、侵されようが、人類にとっては死ぬタイミングが変わるだけのこと。苦痛や恐怖から逃げる事の何が罪だったと言うんだ)
そう浮かんだからこそ、ニントは察したのだ。
(そんな風な考えこそが、言い訳で、罪に至る小悪党なわけだな。罰が追いついたんじゃあない。小悪党に顔を出すほど罰の方が暇な奴だったんだ)
これはただ勝手に考え、勝手に納得したに等しい。実際の何にも影響せず、ここはただゆっくりと抵抗の出来ない獲物を沈めようとするのみ──
『目覚めてください』
(ついに幻聴が聞こえやがった)
呼吸の苦しさすら分からなくなり始めて、いよいよ年始無敵な死に方すらさせてもらえなくなりそうな瞬間に、誰かの声が響いた。
『起きて下さい』
(誰の声だ?ああ、分からんが腹立たしい気分になるのは違いねぇ)
『それは夢です』
(夢なもんか、夢ごときがこんなに苦しいわけがない。こんな腹立つ声を聞くぐらいなら、最期ならもっと、気の利いた声を──)
『それは夢なんです!!』
(もう、放っておけよ。クソが)
*
「っ!!」
「あ、アオイ君!?」
乾いた音が数度響いた。ニントを押さえつけていたミゲルからしたら、さぞ葵の方が乱心した様に見えただろう。
しばしの沈黙、ニントの治療にあたっていた葵は、その間は小さい声で何かを仕切りに呟いていた。その静寂を自ら破り、挙げ句の果てに様子のおかしいニントの頬を2回叩いたのだ。
「あ、アオイ君──」
「そこは夢だと言ってるんですよ!!帰って来い!情報の持ち逃げは今この場においては重罪ですからね!!」
彼に罵られた時よりも、葵の顔には怒りの色は濃い。敵の罠にかけられ、抜け出す方法のある罠で、そのまま座して死を待とうとしている様子を垣間見たのだ。葵にとって許せようはずもない。
ニントにつけられたルールの事など関係なく、ここにいる罪のない人々を死なせるわけにはいかない。
なにより、治癒とまでいかずとも、中和が終わった以上は後は本人の気持ち次第。それなら、こちらから出来るのは物理的に夢から覚める様に促す事だけ。
多少強引な手段ではあるが、このまま二度寝をされるよりは余程マシである。
「アオイ君!彼に言われた事が腹立たしい気持ちは分かる。しかし、こんな緊急の時にそれに振り回されてはならない!君に助けたい気持ちがある様だから、尚更に!」
ミゲルからすれば、人命救助に繋がっている行為なのかどうかすら分からないだけに、この機会に憂さ晴らしをしている様にすら見えてしまう。ニントが葵に突っかかっているのはここにいる者なら既に把握している、こんな時だからこそ感情に振り回されているのではと考えるのも、自然ではあった。
しかし、葵が人差し指を口の前に立ててきたのだ。ミゲルの困惑は強くなるが、その答えとして2人のものではない声が小さく、小さく続いた。
「──る、せぇな」
憎まれ口が聞こえてきた瞬間、葵とルイは顔を見合わせて大きく息を吐く。2人の反応を見た当のニントはまだ状況が飲み込めておらず、数度の瞬きと、叫んだ影響で乾き切ってしまい、張り付いてしまいそうな口を開閉するしか出来る事はなかった。
「よ、良かった!彼の身に何か起きて、それが取り返しのつかない物だったらどうしようかと」
「ぁ?なん、か……滅茶苦茶疲れてるって……事しか──」
「ニントさんは魔術で強制的に悪夢を見せられていた様です」
「悪夢?アオイ君、夢の中で悪夢を見ると言うのかい?」
「夢の中で目が覚めたと思って1日を過ごし、そのまま夢の中で就寝した事はありませんか?」
「それは、あるね。すごい偶然だよ。でもじゃあ、意図的にそれを再現出来るって言うのかい?しかもそれを悪意をもってニントに誰かが向けたと?」
「魔術なんです。魔術は様々な制限はありますが、そうした事も出来ます」
「しかし、にわかには信じ難い」
「今すぐには信じなくても良いです。ただ、俺の追っていた人間……エーデルさんがニントさんに向けて使ったんです」
今度はニントとミゲルが顔を見合わせる事となった。頭の中に靄がかかった様にぼんやりとしていたニントの思考が、冷水でもかけられた様に鮮明になるほどに。
彼の言う事を妄言だと断じるより先に、何故ここで死んだはずのエーデルの名前があがるのかに思考が奪われたのだ。葵は今の言い方では語弊があると、手を小さく上げながら首を横に振る。
「でも、アレはエーデルさんではないと推測しています」
「その根拠はどこにあるんだよ」
「そうでない場合は、彼女が本当は生きていて、この様な凶行に至った。アーリアさんも共犯で、という可能性があがってしまいます。エーデルさんが亡くなられた時の事件の時、アーリアさん以外彼女とは会っていませんから」
「はっはっは!意地の悪いことばかり言うものだから、意地悪く返されているじゃあないか。ニント」
「うっせ!!じゃあ誰だって言うんだ、誰だろうと今野放しになってる事に変わりはねぇんだぞ」
「捕まえ損ねたのは……本当に申し訳ありません。何をしてくるか分からない相手なのは違いないですから」
しかし、死人への侮辱とは取られず、先程の悪夢の術の影響もあってか、葵の言った事の根本は疑われていなさそうなことに安堵していた。そこは、ニントが魔術に対する一定の理解があることが功を奏したということだろうか。自身が被害に遭って、それは確かにただの偶然ではないと認識出来ているのだから。
もっとも、ルイから聞いた事がバレない様に、ニントが魔術を使った事があることは、知らない体で話さなければいけないが。
「根拠の面について言っていませんでしたね。これに関しては単純です。死んだ人は生き返らないからです」
「……そりゃそうだがよ」
ニントは肯定的な意見を出していたが、ミゲルは葵の意見に懐疑的視線を向けていた。だが、それは葵そのものに対する不信感ではないから口には出さなかった。
彼個人の死生観に関するものであり、彼の日々の中に根差すものだったが、ミゲルはあえて何も言わなかった。情報共有の場において、それを乱す事は良いとは思えなかったから。
「なら、どう考えるか。死体を操っているか──」
「死んだエーデルさんに成り代わってるか、だね」
そして、また意外な事に葵が考えていたもう1つの可能性を提示したのはミゲルだった。手段だけで言えば確かに現実的た手段では実行可能な物かもしれないが、葵がそこに至った事にはそれなりの理由と繋がりがあっただけに、驚いたのだ。
「……ミゲルさん、確か貴方はあの魔導書を見ましたよね?」
「そうだね。しかし何故それを?」
「ルイさんからお聞きしました」
「彼は親切な奴だからなぁ。いや、でもそうではなくて、今その話が何故出たのかって話ね?」
「す、すみません!何故かと、言いますと。あの本に書かれていた中に当てはまる術があったなと思って」
「テメェ、アレ読んだのかよ!?ルイに止められたりしたんじゃねぇのか!?」
「読んだというより、厳密に言えばニントさんの症状を見た時と同じ感じで云々かんぬん。でも、どうか内密にして頂けたら嬉しいです……一応」
(このガキ、無鉄砲にも程があんだろ……)
「で、話を戻しますが、あの本に書かれていたものは邪神という存在のルーツについてでしたが──」
「ま、待ってくれたまえよ。アオイ君、それは変な話だ」
「えっ、変ですか!?」
あくまで夢の中という形で彼等は話を進めていた事を思えば、邪神は飛躍した話に聞こえてしまったかと考え直し、どう取り消すか一瞬悩んだが、ミゲルが続けた言葉の第一声は「本の内容の事なんだけど」というものだったから杞憂だった。
「あの中に書かれていたのはボクの子供の頃の日記だった。そんな事は書かれていない」
「なっ……じゃあ内容が全然違うじゃないですか!?あれ?でも逆に言えば共通している部分があるのが驚きか?」
「そうなる。あの日記そのものには書かれていないが、目を引く文章の継ぎはぎがあったね」
「──皮は全」
「地の上にて至高の装飾」
「何人たりとも目を逸らしてはならず、何人たりともそこより他が始まる」
「他を知れば至る、その名を……名を──」
「人は羨望と詠んだ、ですね」
2人の続けた言葉にニントは首を傾げていた。彼には聞き覚えのない文章だったが、葵とミゲルの間ではまるで童謡でも歌う様に、当たり前に言葉が続いていた。もっともミゲルは眉間をつまみながら、記憶を手繰る様に口にしていた。最後の一文だけ紙面から逃げ出した様に思い出せなかったのだ。
「やっぱり。あの本の内容が異なっていた理由は置くとしても、何らかの形で暗号の様に、術式そのものは共通で理解出来る様になっているんだ」
「しかし、ボクはそれが上手く記憶に定着していない様だった。まるで剥がれかけのノリだ。しかも、ボクの脳に貼り付けられているメモの字は汚いし、剥がれようとしてるみたいに曖昧だった」
「それは、恐らく適正の影響かもしれません。俺が考えた術をノートに書き残した物と、元から魔導書として存在する物だと、本人の資質に左右されるか否かの違いがあると思うんです」
「それは残念だ。ボクもニントや君の様な魔法使いになれたら良かったのに」
「こういう物に関わっても実はあんまり良い事はないんです」
「これだけは本当にそうだな」
「2人が同じ意見なら最早口出し出来ないね。まぁ、ボクはとっくに魔法使いの切符は破り捨ててるから諦めておこう」
「おい本題とズレた下品な事を言ってんじゃねぇ」
ニントがそう言い殴りつけるが、ミゲルの胸筋の硬さで逆に拳が悲鳴を上げ、しばらく悶絶する事となった。
葵は今の彼の言葉が下品な意味が込められていること自体言われるまで気付かなかったが、ニントの言う通り本題からズレているので咳払いで無理やり修正する。
「つまり、それを使ったと想定した場合、エーデルさんに化けている人も魔導書を読んだ可能性が高いって事になるんです」
「アーリアの言っていた化け物とやらにそうした擬態能力がある可能性はないのかい?」
「否定出来ません」
「おいおい……」
「俺も完全に全てを知っているわけではないですから、すみません。でも、相手は俺に追われた時わざわざ逃げたんです。攻撃ではなく」
「ふむ?」
「紛れるつもりなら逃げる必要はない。紛れるつもりもないなら生物的に備わってる攻撃性が優先されそうなところですが、そうせずに逃げたんです。既に亡くなった方の姿を使うのは我々に動揺を与える為。擬態能力を持つ化け物が擬態するのは、まさしく紛れる為。まだ生きてる我々以外から選ぶ事に利点はない。それは奇妙ではないですか?まるで挑発、あるいは誘ってる様じゃないですか」
そうではない可能性についていくらでも語りようはあるが、未知の状況が多い中だとどちらの可能性も結局は答えが出るまでは半々。道理の外にある場所だからと、その前提に振り回されては全てが有り得てしまう。
それだけに、ニントもある程度は考慮する点があると考えたのか黙り込む。
「……アオイ君。これは疑心暗鬼を招きそうだからと慎重になりたくなる問題だ」
「そうですね、俺もどうしたものかと──」
「こういう時こそ、人間らしくやるべき事がある」
「……それは、つまり?」
2人の顔を見た後に肩をすくめて片眉だけ上げるミゲル。
「まずは皆休んで、その後皆で話し合いさ」
ニントは悪夢の術に晒された後で、そもそもがエーデルが亡くなった後で皆の心労も大きい中、確かにまずはひと休みを入れる必要はあるだろう。
葵としても大きな出来事が立て続いた中、ましてや葵がここに来てからまだ一晩も越していない中でこう続いては、まず彼等の心が落ち着かない事は心配だった。
「分かりました。外に残ってる人達にも声をかけてきます」
「ありがとう、頼むよ。ボクはニントがまた夜泣きしないか見ておくよ」
「テメェもアレを喰らえよこのヒゲ野郎……」
そして、葵は部屋の外から見守る事にしようと決めていた。それを止めようとしてくれる人はいるかもしれないが、止めきれる状態の人は恐らくいない。
エーデルらしき謎の襲撃者、紛れてる可能性のある化け物。戦闘に備えられる誰かが見張る必要はある。
(目も冴えてるし、さっき中断した使い魔の作業も出来るし丁度良いや)
勇者として人々に尽くし、人々の為に戦う。葵はその為にここにいるのだから。




