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「2.5次元世界」にて、スキル「フレーム回避」を手に入れたゲーマー俺氏、無双開始秒読みな件について  作者: 木兎太郎
第二部 第四章 これで

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51話 終章 プロローグ 異世界兄弟


 正しいことをすればいい。

 誰かが僕にそういった。

 でも現実はそこまで甘くはなくて、正しいことをしようとした僕らは、いつの間にか世界から必要とされなくなっていた。

 よく"正義"なんて言葉を口にする人がいるけれど、あれはそんなに単純な価値観じゃない。

 少なくとも僕が人生の中で経験してきた正義は複雑だった。

 僕はある日、兄と共に兄弟で異世界に召喚された。

 小説の1ページ目みたいな展開だっけれど、そんなに良いものじゃない。

 兄は召喚後数か月で戦闘のセンスを見出され、勇者と呼ばれていた。

 それもそのはずで、兄は神々が与える試練をクリアしたんだ。

 "トライアルスキル"、グランディアの人々はそれをそう呼んでいた。

 召喚者の中でも選ばれた者だけが得ることのできるスキルだ。

 そもそも神に試練を与えられることすら、偉大なことなのだから。

 生まれ持った才能であるスペシャルスキルを持つ者は、召喚者の中にも何人かいた。

 しかし兄のようなトライアルスキルを持ったものは、数十年ぶりだった。

 グランディアは兄を歓迎した。

 

 でも対照的に、僕には何の才能もなかった。

 僕の場合は"選ばれた者"ではなく、"巻き込まれた者"という言葉の方が似合っているだろう。

 生まれつき運動が苦手で、兄の手助けはできなかった。

 そんな僕を兄は見捨てず、兄は僕に優しくしてくれた。

 僕はグランディアで、兄のおかげで生きてこれた。


 しかし、そんな平穏な日々は、長くは続かなかった。

 兄はある日、とある女性に恋した。

 その子はとある国の王族の娘だった。

 小説の1ページはやがて進み、いつの間にか御伽噺のようになっていた。

 その姫は、とても美しかった。

 ある日、姫はその美しさに目を付けた、とある魔人に攫われてしまった。

 姫を攫った魔人は、とてつもない力を持っていた。

 それもそのはず、その魔人は魔王軍幹部だったのだから。

 世界を救うかもしれない兄が、まだ成長段階で強大な魔人へと挑むのを、周囲は必死に止めた。

 もちろん兄は周囲の制止を振り切り、姫を助けに行った。

 兄が世界を救うのだと信じていたいくらかの人々は、兄の自分勝手な行動にひどく失望した。

 それでも僕だけは、兄が勝利して帰ってくることを信じていた。

 兄は負けない、どんな存在にも。

 兄は姫を助ける為に、およそ一か月も旅を続けた。

 

 やがて兄は、魔王幹部を討伐して見せた。

 それも単独で。

 単独討伐の理由は、兄が人付き合いは得意じゃないからだろう。

 もちろんそれは僕もだけど。

 兄が会話するのは弟の僕くらいだ。

 兄は単独行動をひどく好む傾向があって、どんなに危険でもそれだけは貫き続けていた。


 でもだからこそ兄は、幹部との戦いで姫を失った。


 姫の父親である国王は、激怒した。

 あれほど止めたのにと、あれほど警告したのにと。

 いずれ兄の自分本位な性格が世界を滅ぼす可能性があると、一部の王族たちは考えるようになった。

 そんな時、本物の勇者が世界に召喚された。

 兄と同じく、その召喚者も召喚後すぐにトライアルスキルを手に入れた。

 でもそこには決定的な差があった。

 兄とは違い、召喚者はトライアルスキルを二つも手に入れてしまったのだ。

 そしてそれを機に危険性を危惧されていた兄は、勇者としての使命である魔王討伐から外されることになった。


 そう、表向きは。


 実際は使命を外されただけではない。

 姫を失った国王の手により、兄は財産の全てを奪われた。

 僕らの家も、何もかも。

 魔王幹部を討伐した正義よりも、姫を失った責任の方が重視されたのだ。

 僕には理解できなかった。

 確かに兄が理性的に行動すれば、姫を失わなかったかもしれない。

 それでも兄は魔王軍幹部を倒したのだ。

 それも単独で。

 それは英雄並みの偉業であるはずなのに、兄は全てを奪われた。

 そして兄の全ては、僕の全てでもあった。


 何もかも失った兄は、次第に新たに来た召喚者を恨むようになった。

 彼が来たせいで、自分は全てを失ったのだと。

 もう何もかも失っていた兄は、復讐の鬼になった。

 何よりも苦しんだ姫の死にも報いず、世界を恨むようになっていった。

 兄は数か月間、死に物狂いで修練に励んだ。

 例の召喚者は、それほどの力を持っていたのだ。

 ゲームなんかでは、チートって表現できるのかも。

 そんな存在に挑むために、兄は修練を積んだ。

 やがて十分に実力を付けた兄は、真の勇者に挑むことになる。

 そんな兄の前に立ちふさがったのは、勇者ではなく聖王だった。

 ラペックス・セル・レアリゼ。

 歴代最強かつ最も偉大な"聖王"と呼ばれていた男だ。

 兄は勇者ではなく、その高すぎる壁を越えることはできなかった。

 

 そして僕ら兄弟は、人間が最も多く住む大陸、"アルー"から追放された。


 自業自得だと思う人の方が多くいるのだろうけど、僕らはそうは思わない。

 勝手に僕らを召喚して、勝手に僕らを見限った、世界が悪いんだ。


 やがて僕らはエルフが最も多く住む大陸、"テノー"にたどり着く。


 ここまでが僕ら兄弟の半生だ。

 やがて世界が融合し、何もかもがあやふやになっていった。

 それでも僕らの憎しみは、少しも劣化することはなかった。

 

 そこからさらに数年後、僕らはあるエルフと出会った。

 "パースト"、それが彼の名前だった。

 そこで僕らは、とある計画を持ち掛けられた。

 でも、僕らと彼の考えは明確に違う。

 "地球を恐れる"彼と、"世界を怨む"僕らとは、まるで違うのだ。


 僕らの計画はまだ途中だ。


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Twitterアカウント:@SKluMYkhIpMoZ2I◆Twitter始めたので、良ければフォローお願いします。といっても、今の所フォロワーZEROですけど。
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