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「2.5次元世界」にて、スキル「フレーム回避」を手に入れたゲーマー俺氏、無双開始秒読みな件について  作者: 木兎太郎
第二部 第三章 真実の最寄

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46話 ワンダーウェポン


 俺たちはすぐにラボから出て、スカイツリーについた。

 道中色んな人に見られたけど、まぁそれは置いておこう。

 やけに密着してくるミルさんにドキドキしたけど、今は柵魔さんが最優先だから、それは記憶の隅に置いておくことにする。

 いまだに手を繋いでいる俺たちを、千里さんは怪訝な目で見ている。

 スカイツリーに着くと、約束通り彼が待っていた。


「君たちのことはよく知らないけど…そういう関係?いや、でもあのライブ配信的に君は…朝比奈描絵手とそういう関係なんじゃ?」

「誤解する気持ちは分かりますが、成り行き上こうなっただけです。そこまで深く考える必要はありません。」

「ほ、本当かい?成り行き上そんなことになるのかな…。」

「なります!成り行きってすごい!」

「…ま、まぁいいさ。俺は俺の使命を果たすとするよ。」


 千里さんは早速俺たちをシェルターの本部に入れてくれた。

 スカイツリーの地下、ぶっちゃけ行くのは初めてだ。

 というかここに地下なんてあったんだな。

 俺たちはスカイツリーの展望台に向かうエレベータに乗り込んだ。

 すると千里さんがエレベーターで一風変わった操作をした。

 階層が描いてあるスイッチを、謎の順番で繰り返し押した。

 するとエレベーターは上ではなく、下に向かい始めた。

 重力の感じで、上か下かどちらに進んでいるのか分かる。

 本当に一般施設に同化しているのだと思うと、感慨深い。

 シェルターは確実に一度は世界を救っているので、これくらいの横暴ならば許されるのだろうか。

 俺に実害はないから、どっちでもいいけれど。

 エレベーターはやがて停止し、扉が開いた。

 シェルターの本部、もちろん俺は始めて来た。

 内装は言ってしまえば市役所みたいな感じだ。

 色んな窓口があって、白いロングコートを着た人たちが並んでいる。

 椅子や机も沢山あって、軽食を取るのに使われているみたいだ。

 休憩スペースでもあるんだろう。

 床は大理石で、とこどころに金色の装飾もある。

 俺の印象は、"豪華な市役所"…だった。


「さぁ、早速サーバールームに向かおうか。」

「わ、分かりました。」

「おや、緊張しているのかな?」

「さ、流石に少しは緊張しますよ。」

「誰と会話するわけでも、何か手続きするわけでもないから、そこまで緊張する必要はないけどね。」

「ありがとうございます。」

「いや、待てよ。君がシェルターに入りたいなら、今すぐ俺が手続きしてあげようか?君は実力者だから、俺が直接口利きしてあげるよ。」

「や、止めておきます。俺のもっとうは、自由ですから。」

「ハハハ、そうだね。自由な君がいなければ、多分描絵手ちゃんは死んでた。」

「…誉め言葉として受け取っておきますよ。」


 俺たちは数回扉をくぐり、長い廊下を歩いた。

 本部の広さは相当なものだろう。

 感覚としては、"夢の国"を端から端まで歩いている感じだ。

 これが施設として成立しているのだから、相当の金がかかっているはず。


「サーバールームの警備はとても強固だ。場所も本部と同じ階層ではなくてね、さらに地下へ向かわなくちゃならない。」

「これ以上下に行くんですか?」

「敵に侵入されていじられれば、面倒なものばかりだからね。」


 ただのサーバーという訳ではなく、いくつか機密情報の入ったものも、もしかするとあるのかもしれないな。

 もっとも、それは俺のやりたいことに関係ない。

 俺たちはもう一度エレベーターに乗り込んだ。

 今度は特殊な操作などはなくて、カードキーによる操作だった。

 つまり入室制限されているみたいだ。

 とある階級以下の人間は入れない、それがサーバールームなんだろう。

 余談だけど、シェルターにも階級制度はある。

 そこまで細分化はされてないけど、全部で四段階だ。

 [S>A>B>C]みたいな感じで、織田さんは最高ランクの"S"で、千里さんと水無瀬さんは"A"ランクだ。

 だから階級差による権限の差で、織田さんにしかこのサーバールームへの入室許可をお願いできなかった。

 もっとも、俺も最近この事実を知った。

 同様の依頼を水無瀬さんにした時に、この説明を受けた。

 どうしても不可能なので、勘弁してくださいと。

 まぁ全部成立した今となっては、どうでもいい話だけど。


「さ、ここがサーバールームだ。」

「ありがとうございます。」


 サーバールームの階まで来ると、流石に床も壁も天井も、全部が鉄製だ。

 おそらく圧力に耐えるためだろう。

 土の重さだけでも、この深さなら相当な圧力がかかると思う。


「といっても、最後に網膜認証があるから、ちょっと待ってね。」


 千里さんが網膜認証に近づくと、扉が開いた。

 中には大きな機材が沢山並んでいて、映画とかで見る景色に似ている。

 近未来の、大きな機会が沢山並んでいる感じ。

 中にはすでに何人か人がいる。

 彼らは皆、白いロングコートを着ている。

 おそらくサーバーを管理している人たちだ。

 その中から一人がこちらに歩いてきた。

 大体40歳くらいの男性で、髪の毛はボサボサで少し長い。

 こんな規模のサーバールームを管理しているのだから、相当な苦労をしているんだと思う。

 その苦労が顔やらなんやらに出まくっている。


「そちらが例の?」

「はい、事前に話を通しておいた通りです。」

「分かりました。では、こちらへどうぞ。」


 男は名乗りもせず、俺たちをメインコンピューターに案内した。

 それが終われば、直ぐに自分の席に戻ってしまった。

 俺たちの相手をする余裕もないんだろう。

 同情するのは後にして、俺たちもやるべきことを済ませる。


「ミルさん、早速お願いします。」

「分かりました。」


 すでにログインされているみたいで、ミルさんは操作開始した。

 タイピングが早すぎて何が起きているのかはよく分からない。

 画面が何度か切り替わると、そこにアクセスログが表示された。

 

「俺がやったライブ配信の当日夜から、翌日朝を調べて下さい。」

「…なるほど、巧妙に細工されている箇所があります。」

「細工?」

「えぇ、少しだけ待っていてください。」


 ミルさんはそれから数分間、無言でパソコンを操作していた。

 千里さんも俺も、ミルさんが何をしているのかさっぱり分からない。

 でもそれは意外にもすぐに終わり、彼女は椅子を回転させて、こちらを向いた。


「どうも勘違いしていたみたいですよ。」

「え?それって一体どういう?」

「私たちは、敵がシェリーにハッキングして、強引にシェリーの起動画面を変えたのだと考えていました。でもログを調べてみると、外部からのアクセスは一切ありませんでした。」

「そ、そんな!?それじゃぁ手掛かりは…ないんですか?」

「いいえ、そうではありません。実際は内部からの変更…だったんです。」

「…ッ!!??それって?」

「馬鹿な裏切り者が、管理者アカウントで、勝手に起動画面を変更した…ということになりますね。」

「管理者アカウント…?」


 俺はさっき声をかけてくれた初老の男を見る。

 彼はパソコンの方を見て、ひたすら作業を続けている。

 いかにも管理者っぽい見た目だ。

 隙まみれの今なら、簡単に捕縛できるぞ。

 そんなことを考えていた俺の肩を、千里さんが叩いた。


「考えていることはわかる。身内の問題だから、俺にやらせてくれ。」

「わ、分かりました。」


 千里さんはそういうと、ゆっくりと動き出そうとした。

 しかしそれは、ミルさんの一言で止められてしまった。


「何をしているんですか、何を。」

「…え?」

「はぁ…契躱君は気付いてもおかしくないはずなんですけどね。まずこの部屋の中にいる人たちは、本当にサーバーを管理しているだけです。」

「は、はい。…つまり、シェリーの仕様を変更するような権限はない…ということですか?」

「その通りです。」

「ま、待ってください。そういえば確かシェリーはミルさんが…ということはミルさんが管理者…?」

「いいえ、今は違います。」

「…今は?…待てよ、そういうことか。シェリーの管理者権限は、新社長になった人に移ったということですか?」

「その通りです。今調べましたけど、管理者コードも変わっていなかったので、ほぼ間違いなく…彼女が犯人ということになりますね。」

「…その、彼女って?」

「私の後任に当たる人物、"姫宮ひめみや みお"…ですね。」


 ミルさんがそう断言すると、すぐに千里さんが動き出した。

 サーバールームで電話は使えないらしく、とありあえずここからは出ることになった。

 エントランスまで戻ると、千里さんはすぐに電話をかけた。

 数分後、彼はこちらへと向き直った。


「今、"ワンダーウェポン"に電話してきた。」

「えっと…それは?」

「私が立ち上げた、前の会社ですね。」

「な、なるほど。」

「それで受付によると、取締役の姫宮は現在自宅らしい。何でも、体調を崩したとかで、数日前から休んでいるんだそうだ。」

「…逃げられたのかも。」

「いいえ、それはないでしょう。彼女はかなり強気な性格ですから、逃げたりはしないはずです。本当に体調を崩しているか、何か別のことをしている…という方が信憑性がありますね。」

「ならすぐに自宅に向かいましょう。捉えられるはずです!」

「…一応彼女の家も知っているので、直ぐに向かうことは可能だと思います。」

「…なんとなく気が乗らなそうな顔ですね。」

「裏切られたとはいえ、元同僚でしたから…少なからず愛情のようなものがまだ残っているのかもしれませんね。」

「でもそれは…きっと正しい感情ですよ。もしかすると姫宮さんは、裏切られるまでは友達だったとか?」

「そうですね。そう呼んで、差し支えないような関係性だったと思います。もちろん、彼女が裏切るまではですけど。」

「なら早く彼女の元に向かうべきです。これ以上自体が悪化する前に、彼女を止めてあげるべきです。一人の友人として。」

「……そうですね。はぁ…手のかかる人です。」


 ミルさんの表情が、迷いから決意へと変わった。

 彼女は小さい体でも、かくも凛々しい。

 出会ったころから最強の女性だったけど、それは今も同じだ。

 

「千里さん…でしたっけ?」

「そうだけど。」

「ここからは私と契躱君だけで行ってもいいですか?」

「いや、流石にそれは…。」

「先ほどあなたは身内の問題だと言っていましたが、それは私も同じです。私は今から彼女の良き友人として、彼女の元へと向かいます。必ず彼女を自白させますから、時間をください。」


 今まで人の記憶を改竄したという罪で、何度か裁判があった。

 そのどれもが重罪の有罪判決になっている。

 もちろんそのどれもがニュースになり、俺も見たことがあった。

 地球側の裁判制度も、魔法に合わせて進化していて、今はかなり広範囲の罪を裁けるようになっている。

 特に今回は、規模が規模だ。

 主犯格ではないと思うけど、協力者として裁かれるのは確実だろう。

 なら自首したほうが罪が軽くなる。

 ミルさんは最後まで、"姫宮 澪"の力になろうとしているみたいだ。

 元同僚として、それに友人として。

 ここ最近、ミルさんが眩しく感じることが何度かある。

 彼女の心からくる強さみたいなものが、内側から溢れているんだろう。

 今もこんなにも強い彼女が、少しだけ眩しく感じる。

 本当に素晴らしい人間なんだと、素直に思った。


パソコンに詳しい人は、ちょくちょくあらを見つけていると思います。

見逃してください。

後生です。

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