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「2.5次元世界」にて、スキル「フレーム回避」を手に入れたゲーマー俺氏、無双開始秒読みな件について  作者: 木兎太郎
第二部 第三章 真実の最寄

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43話 古なる者達


「…エンシェント…エルフ?全く知らないです。」

 

 いくら記憶を探そうと、思い当たる節はない。

 おそらく今回に限っては、授業でも習っていないはずだ。

 グランディアに住む種族を習っても、その細分化先までは習わない。


「仕方がないのです。彼らは現在グランディアにすら3人しかいないので。」

「絶滅危惧種…ということですか?」

「単語を当てはめればそうですが…。」

「絶滅危惧種の人類種…、地球じゃ絶対にないだろうな。」

「それはそうかもしれませんが…。さて、話を本題に戻すのです。彼らはエルフの始祖です。始まりのエルフとして人類より先に誕生したと言われています。人は猿から進化したと言われていますが、エルフはとある一本の木から生まれたのです。」

「興味深い話ですね。」

「その木は、"世界樹"と呼ばれています。」

「げ、ゲームとかで何度も聞いたことがあります。」

「世界樹にはこんな詩があります。"その葉が落ちれば木となりて、雫が落ちれば恵みとなれど、枝が落ちれば人となる"。」

「その言い伝えにある、落ちた枝が…?」

「そうです。それがエルフの始祖、エンシェント・エルフだと言われています。エルフ達は始まりの種族として生きる彼らを、神と崇めているのです。ですがここ千年は始祖たちは自由意志に基づき、エルフ達を世界へと解放しました。結果的に現在は自由信教という感じなのです。」

「な、なるほど。始祖については十分に理解できました。」


 えっと、状況を整理する必要があるな。

 水無瀬さんたちの会話内容からすると…。


「つまり、古代術式を知っているのは始祖だけだから、彼らが関与している可能性が高い…ということですね。」

「そうなのです。」

「でもエルフ達なら古代術式をみんな知っているんじゃ?」

「いいえ、エルフ達の中でも古代術式を知る者は減少し続けています。なんでも、今は始祖達が古代術式を教えるのを辞めたとか。」

「それは…どうしてなんですかね?」

「パソコンやスマホと同じですよ。古い物はやがて使われなくなる。新しいものの方が便利ですからね。」

「魔法もそんな感じなんですね。」

「エルフ達も森で自己完結する時代を終え、今は世界に開けているのです。その影響も少なからずはあるでしょうね。」

「ほぇー。」


 俺は普通に感心してしまった。

 ゲーム世界でいえば、エルフといえば森で閉鎖的な生活を送っているイメージが少なからずある。

 もちろん言いたいことは理解できる。

 ようはライフスタイルが時代によって変わっているだけだろう。

 例えば日本人はちょんまげも結わない、着物もたまにしか着ないし。

 時代の変化、いや時の経過には誰も敵わないのかもしれないな。

 どれだけ偉大な人間だろうと、どれだけ長生きしていても。


「そういえば契躱君、私たちが捕まえた人たち、エルフだったよね?」

「確かにそうだった…な。」

「なら今ピースさんが言っていることって…正しそうだよ!。」


 手がかりZEROから唐突に道が開けた。

 つまるところ今回の一件は、何らかのエルフ達の仕業…いや待てよ。


「でもそうなると…辻褄があわないことがいくつかある。例えば今夢豚さんが突き止めてくれたステガノグラフィーだ。これは明らかに地球側の技術だし、それによる魔法だって、工学技術に博識のある夢豚さんでさえ最近開発できたんだ。エルフにそんなことが出来るとは…。」

「恐らくは無理でしょうな。この開発は並大抵のものではなかったのですぞ。」

「…だがただでさえ減少傾向にある古代術式を、地球側の人間が知っているとも思えない…つまり。」

「地球人と、エルフの合作…ですな。」


 夢豚さんも同じ結論だったのか、画像を感心しながら眺めた。

 かなり手掛かりが増えてきた。

 とりあえずここで方針を決めよう。

 まず調査すべきは始祖達だな。

 でもこの中でそんな重要そうなことを調べられるのって…。

 俺はチラリとお姉ちゃん(ピース)の様子を伺った。

 先ほどのように怒ってはない。

 ただ二度も強いビンタをされた痛みが、俺に苦手意識を植え付けた。

 でも柵魔さんの為、何よりも描絵手の為でもある。

 ここはお願いするしかない。


「お姉ちゃん、頼みがありまして…。」

「敬語はダメなのです。」

(じ、自分は敬語じゃないか。ダメだ、甘えるんだ俺。逆らうな。)

「お姉ちゃん、頼みがあるんだ。」

「言ってみるのです。」

「その、古代術式を今も使えるエルフを、見繕って欲しいんだ。特に地球人とつながりのありそうな、そんな人物を。」

「それならかなり限定されるのです。聖王の権限を乱用して、やっておいてあげるのです。」

「あ、ありがとう。」

「それに今回の一件は…我々にも関係がありそうなのです。」

「つまり…グランディアにも?」

「その通りなのです。それよりも、何かわかれば連絡をするので、連絡先を交換するのです。」

「わ、わかった。」


 俺がポケットからスマホを取り出すと、一瞬でお姉ちゃんにひったくられた。

 何事かと思い見ると、彼女は素早い手つきで連絡先交換を終わらせた。

 帰ってきたスマホ画面を見ると、そこにはお姉ちゃんと書かれている。

 なるほど、これをやりたかったのか。

 彼女は俺の方を満足げな笑みで見ている。

 俺もなんとなく笑顔を返しておいた。

 たぶんとびっきりの苦笑いだったと思う。


「それでは私は帰るのです。」

「え!!??」


 私夢叶が一番驚いている。

 確かにあまりに唐突だし、あまりにあっけない。

 こうして会ったのも何かの縁だし、食事くらいはしたかった。

 

「モンちゃんは残していくのです。」

「え!?」


 さらに私夢叶が驚いている。

 というかモンちゃんって呼ばれていたのか。

 シンプルで可愛いじゃないか。

 でも妹が心配でここまで来たはずなのに、残して帰るのは不自然だ。

 もしかして、何か別の目的があったのだろうか。

 いや、考えすぎが。

 そもそも今回の夢豚さんとの一件は、極秘だった。


「それじゃぁ行くのです。」

「えっと?」


 お姉ちゃんは室内で突然発光し、そして消えた。

 そこにはもう誰もいない。

 転移を悠々と発動して帰ったんだ。

 確か転移魔法は光属性魔法の極地だったはず。

 やっぱり聖王ともなると、光属性適正なんだな。

 っと、関係ないことを考えすぎた。

 次に俺がやるべきことは…。


「…一度日本に帰るべきだな。恐らくシェリーに誰かが細工したのなら、開発者に聞けば何かわかるはずだ。」

「そっか、ミルさんに聞けばいいんだ!」


 これで地球側とグランディア側の両方から捜査できる。

 ここらはもう待ちの一手はやめだ、攻めに攻めるぞ。

 余談だが、描絵手にはミルさんについて話している。

 自分を助けたうちの一人だし、もちろん知りたいだろうから。

 それに俺が休んでいる間に、ミルさんの所に描絵手はお礼へ行った。

 ミルさんに描絵手が向かうことを伝えたら、ライバルがどうのこうのみたいなことを言っていたような気がするけど、よくわからなかったな。


「そうですか、つまり夢霧無氏は…もう帰るのですな。」

「まぁ…その通りですけど。」


 夢豚さんは少しだけ寂しそうにしている。

 気持ちは痛いほどわかる。

 これほどまでに気が合う友人に会える確率はかなり低い。

 俺としても思いは一つだ。


「夢豚さん、今回の一件が終わるまで、日本に滞在しませんか?」

「…?」

「やっぱり技術面で何か分かりこともあるでしょうし、夢豚さんの力は必須でだと思うんです。」

「…嬉しいお誘いですが、吾輩こう見えて学生なのですぞ。」

「そう…ですか、残念です。」

「あの…私にいい考えがあるのですぞ。」


 唐突に会話に入ってきたのは、私夢叶だった。

 お姉ちゃんがいなくなって口調が戻っている。

 そんな彼女はある物を指さしていた。

 なるほど、確かにそれは名案かもしれないな。


「遠隔外装…ですな。確かにこれなら…。」


 遠隔外装を日本に送れば、夢豚さんはアメリカで大学に通える。

 学校時間外は、遠隔外装に入れば日本にいるのと同じだ。

 うまく郵送すれば、国家間の転移費用も掛からない。

 実際に日本で技術提供もしてもらえるし、完璧な作戦だ。


「でもどうやってこれを国外に…。普通に送ったのでは技術が流出する恐れがあるのですぞ。」

「それなら何とかなるかもしれませんよ。」


 俺は先ほどから魔法陣を必死に分析している、水無瀬さんの方を見た。

 おそらく古代術式の情報を、持ち帰ろうとしているんだと思う。

 ただ今回は彼女のとある肩書が必要になる。

 "シェル"という、その肩書が。


「水無瀬さん。」

「はい!?」

「分析もいいですが、いくつか頼みがあるんですけど。」

「は、はぁ。」

「柵魔さんの調査にどうしても必要なので、遠隔外装を極秘で輸出して欲しいんですが、何とかなりませんかね?」

「え!?で、ですがそもそも遠隔外装はかなり重要情報で、帰ったら早速シェルターに報告するべきなんですが!」

「はぁ…描絵手が可哀想だと思いませんか?俺としては、柵魔さんが攫われたのはあなたにも責任があると思っています。恐らくこのままシェルターに戻っても失態を責められるかも…最悪減俸ですよ。」

「そ、そんな!?」


 俺はなるべく悲惨そうな顔で話した。

 作戦はうまく行っているようで、彼女も同じような表情だ。

 俺たちゲーマーは趣味に大量の資金が必要だ。

 それが減るとなれば、焦るのも無理はない。

 それにしても欲に忠実な人だな。


「どうですか?よければ俺たち、口裏を合わせますよ。水瀬さんは今日、アメリカンゲームショウで敵の魔法から脱出できなかった。でも優秀な水無瀬さんは、事前に描絵手に魔法石を預けておいて、それで描絵手が一人で脱出した。そして偶然にも魔法から脱出して時間を稼いでくれた柵魔さんは、敵の手に落ちた。…これなら十分な免罪符になると思います。」

「よ、良かっ…。」

「ただし!これは交換条件ということで、もちろん分かりますよね?」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥わか…りました。」


 完全に堕ちたな。

 なかなかの交渉だったと、我ながら思う。


名探偵の操作は、犯人を捜すために、辻褄を合わせていく作業だと思います。

真実がいつも一つらしいので、辻褄が合い、一直線になれば正解。

そんなイメージで、こうした話は作っています。

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Twitterアカウント:@SKluMYkhIpMoZ2I◆Twitter始めたので、良ければフォローお願いします。といっても、今の所フォロワーZEROですけど。
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