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「2.5次元世界」にて、スキル「フレーム回避」を手に入れたゲーマー俺氏、無双開始秒読みな件について  作者: 木兎太郎
第二部 第二章 夢へ飛ぶ豚

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35話 遠隔外装(オートマタ)


遠隔外装オートマタ?」

「お、知っているのですかな?」

「一応言葉の意味は知っていますけど、要は自動人形…的な意味合いに近かったですよね。糸のないマリオネット…みたいな?」

「その通りですぞ。吾輩が開発しているのはそれですぞ。」

「でもちょっと待ってください。…VRMMOとそれが頭の中で全くつながらないんですけど。」

「ふむふむ、気持ちは分かりますぞ。」


 夢豚さんはそういうと、パソコンを操作していくつかの設計図を次々に画面に表示させ始めた。

 それらの設計図を見るたびに俺の脳内で徐々に話の筋道が見えてきた。

 つまるところ、彼はこの融合社会を舞台にMMOをやろうとしているのだ。


「その顔は、理解できたみたいですな。吾輩の考えが。」

「でもちょっと待ってください。そんなことが可能なんですか?」

「どの話ですかな?状況?機械?」

「全部ですよ、全部…実現するなんて。」

「まずこの世界は異世界グランディアと融合し、全く異なる世界に進化した。世界中に魔物がはびこり、外を闊歩している状況ですぞ。一般的なRPGの魔物が、本当に外をうろついてるのですぞ。」

「それは…確かにそうかもしれませんが。」

「だから吾輩が用意するべきなのは、安全に魔物を狩れる状況。そしてその魔物を狩るという環境を、ゲーム的に変えてしまうことですぞ。そうすれば我々は楽しみながら危険な魔物を駆除できる。世界は"遊び"に進化するのですぞ。」


 一般的にゲーミフィケーションと呼ばれる手法だ。

 現実世界のとある分野に、ゲーム的要素を加えること。

 達成感が充実感、持続力を生み出し、教育面で高い効果を発揮する。

 もっとも有名なゲーム"土管男"で考えばいい。

 あのゲームは当時は画期的だったが、今ではそうでもない。

 むしろかなり古いゲームデザインでもあるだろう。

 しかし現実問題として、あのゲームは現在も人々に愛されている。

 それがなぜか、それには沢山の要因があるだろう。

 俺はその理由の最たるは、あのもっとも単純なゲームデザインだと思う。

 主人公が敵を倒しながらゴールする。

 出来ることはほぼジャンプだけ。

 このキャッチーさと、簡単に得られる達成感がその要因の多くを握っている。

 だからこそあの兄弟は今でも"土管男"のままで人々に愛されている。

 それとゲーミフィケーションにおける重要なもう一つの要素は、

 [目的地までの道のりを楽しむこと]だと言ってもいいだろう。

 土管男はジャンプし敵を踏み潰し、やがてゴールする。

 道中のあらゆる障害が、俺たちを楽しませている。

 そして難しいと感じる場面もあるだろう。

 だが俺たちはやがて障害を乗り越え、達成するのだ。

 その時に脳内分泌される麻薬成分が、ゲームを豊かにする。

 まぁあんまり行き過ぎるとゲーム依存症になってしまうが。

 実際脳内で勝手に生み出される麻薬成分もかなり強烈だ。

 人間が麻薬をコントロールしきることは一生ないだろう。

 結果論で言えば、人間は麻薬を自家発電できるのだから。

 話が脱線してしまった。

 だが夢豚さんが言いたいのはそういうことだろう。

 楽しみながら危険を排除する…と。


「確かに…それが出来たら。」

「世界はもっと平和に近づくかもしれませんぞ。もっとも、吾輩はこの技術を流出させる気はないですが。」

「え?」

「戦争社会を変えてしまうかもしれないからですぞ。」

「せ、戦争社会?いきなり話が大きくなりすぎじゃないですか?」

「吾輩が完成させたものは、近未来兵器といっても過言ではないのですぞ。軍事利用すれば、安全に人を殺す兵器の完成ですぞ。つまるところすでにある無人戦闘機の上位互換、いや陸版といってもいいかもしれませんぞ。」

「そうか…確かにその通りですね。」


 映画でも未来技術を利用したヒーローがいる。

 工学を驚異的に発展させれば、それこそ魔法みたいなものだ。

 それだけで世界にマウントを取れる。

 

「戦争社会や代理戦争、なんて冗談まで起こるかもしれませんぞ?」

「それは…怖いですね。」


 夢豚さんが引き合いに出したのは"鉄歯車4"の話だろう。

 戦争を商売にする企業が利益を生み出すのがテーマだ。

 企業が国家間の戦争を代理し、その結果経済効果を生み出す。

 マイクロチップで人間たちから争いに不必要な機能を奪う。

 例えば恐怖だったり、理性だったり。

 それらの感情を失った者達は、兵士として成立する。

 訓練はVRで行われ、それが実戦に生かされていた。

 人々が代理で戦争する時代、つまり未来の話だ。

 結果的に人々の機能を抑止していたのは一つのAIだった。

 しかしそのAIを支配しようとするのが敵のラスボス。

 AIが支配されてしまえば、世界が支配されるのと同じ状況だった。

 ほとんどの人間が制御されてしまうのだから。

 それを主人公の"蛇"と呼ばれる最高のスパイが止める。

 確かそんな話だったはずだ。

 そんな未来が来れば、それこそ平和とは真逆になるだろう。

 それに世界は融合しているんだ。

 この平気で向こう側と全面戦争、なんてこともあるかもしれない。

 せっかく苦労して帰還者たちが作った平和が、水の泡になる。

 …というか今夢豚さんなんて言った?

 聞き間違いか?


「ちょっと待ってください…吾輩が…完成させた?」

「その通りですぞ。すでにプロトタイプは完成済みですぞ。」

「えっと…嘘ですよね?」


 俺がそう聞き返すも、夢豚さんはにんまりと笑った。

 そして少ない手数でパソコンを操作し、エンターキーを押した。

 もちろん強めに。

 その結果


 パチンッ!


 という音がラボに響き渡った。

 それと同時に床の一部が変形した。

 隠し扉だったようで、それが左右に開いた。

 中から大きなガラスケースが出てくる。

 俺たちは中から出てきたそれに目を見開く。

 本当に完成しているみたいだ。

 外観から説明しよう。

 かなり奇抜で、どこかで見たことがあるような感じだ。

 骨格は想像していたよりは、遥かに人間らしい。

 外装は紫色と緑色で塗装されている。

 本当にどこかで見た色合いだ。

 でも例のあれとは形状が違い、頭が丸くて、首があって、肩があって。

 一般的な人間的構造をしている。

 人間における筋線維的なものが関節の節々に露出している。

 怖い言い方をすれば、一部だけ皮をはがされた人間みたいだ。

 大きさは大体1.5メートルくらいで、そこまで大きくはない。

 

「この遠隔外装を人間が操作すれば、安全に魔物を狩ることができますぞ。」

「凄い…凄すぎる。」


 描絵手や柵魔さんまで異様なものを見るような目で見ている。

 俺だってそうだ。

 感情を上手く形容することができない。

 目前にドラゴンがいたほうが、まだましなリアクションが出来るだろう。


「どうやって操作するんですか?」

「人間の意識で操作するのですぞ。」

「そ、そんなの可能なんですか!?」

「一部の企業ではすでに人間の神経に機械を接続してゲームをすることができているのですぞ?もちろん実現は可能。」

「す、凄い。」

「もっとも、最初は吾輩も壁にぶつかりましたぞ。人間の意識と機械を繋ぐのは余りに難しかった。でももっとも重要な技術は、グランディアが持っていたのですぞ。」

「そ、それってどういうことですか?」

「吾輩の考えでは、この遠隔外装を操作するにあたって、人間をコードまみれにする必要がありましたぞ。でも意識を司る魔法術式を機械側で組むことによって、人間の意識を遠隔外装に移すことに成功したのですぞ。もっとも、魔法は補助で的な役割が強いですな。」


 正直魔法に詳しくない俺は、夢豚さんの話で頭がバクハツしそうだった

 でも彼は魔法と機械を融合させたんだろう。

 それでそんな無茶を可能にした。

 それだけはしっかりと理解できた。


「他人事ではないのですぞ。吾輩が利用してる技術の一部は、そこにいる"朝比奈 描絵手"氏にも関係していることですぞ。」

「え!?」


 唐突に話が確信に近づき、俺たちは夢豚さんを見た。

 彼はゆっくりと頷くと、再びパソコンを操作した。

 すると今度は天井からモニターが降りてきた。

 そこには現在彼が操作するパソコンの画面が表示されている。

 彼はパソコン上で、シェリーを開いた。

 お決まりの開始画面がそこに表示される。

 特に不思議なことは何もなく、俺たちはまた夢豚さんを見ることになった。


「あの…これがどうかしたんですか?いつも通りだと思いますけど。」

「確かに一見そう感じるかもれないけれど、これが今回の根幹ですぞ。」

「もったいぶらないで、早く教えて下さい!」


 夢豚さんが中々説明しないので、柵魔さんが吼えた。

 そんな彼女の様子を見て、夢豚さんもびくついている。

 ちなみに俺もちょっとビビった。

 必死になるのもわかるが、突然真後ろから大きな声が聞こえればビビる。


「もちろん絶対に答えは教えるのですぞ。でも、吾輩のお願いを一つだけ聞いてから、答えを教えるのですぞ。」

「お願い…ですか?内容次第では手伝いますけど。」

「吾輩が今"遠隔外装"について説明をしたのは、あることに協力して欲しいからなのですぞ。」

「もしかして、操作テストとかですか?」


 それは俺の願望でもあった。

 だとすればめちゃくちゃ興味がある。

 ぶっちゃけどんな新しいゲーム機よりも魅力的に見える。

 実は今すぐ操作したいと、これを見た瞬間から思っていた。

 でも理性が俺を制御して、何とかなっている。


「そのとおりですぞ。吾輩先日この機体の操作テストをしたのですぞ。」

「それで何か問題が?」 

「吾輩のテストでは完璧でしたぞ。ただその…吾輩運動神経が悪くて、今のところ上手く操作することが出来ませんでしたぞ。」

「なるほど、それで俺が代わりに操作すればいいわけですね?」

「違いますぞ。」

「え?」

「操作するための人は別にいますぞ。みんなには言っていなかったけれど、明日テスターを一人だけ呼んでいるのですぞ。」

「明日!?」

「ちなみに誰か聞いても?」

「もちろんですぞ。彼女はモンレーヴ・セル・レアリゼ。グランディア人で、日本で活動している時は。」

「…私夢叶シムカ。」

「その通り、流石に知っていたのですな。」

「え!?あの私夢叶さん!?私大ファンなの!!!」


 いくつか呼び名が出てきたが、つまりはこういうことだ。

 

 本名:モンレーヴ・セル・レアリゼ

 性別:女

 通称:私夢叶

 

 和名の呼び名、これはグランディア人が日本に進出すれば目ずらしくはない。

 それだけ彼女が地球側に溶け込んでいる証拠だ。

 彼女はグランディア人の格ゲーマーであり、プロゲーマーでもある。

 おそらくグランディア人で地球側で最も有名になった一人だろう。

 俺も彼女のことはよく知っている。

 向こうは覚えてもいないだろうけど。

 昔とある格ゲーのいわゆる野良で、彼女と戦った。

 だからは彼女のことはしっかりと覚えている。

 

昨日は休みました。

やっとここから少しずつ第二部が加速していくかもしれません。

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Twitterアカウント:@SKluMYkhIpMoZ2I◆Twitter始めたので、良ければフォローお願いします。といっても、今の所フォロワーZEROですけど。
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