11-6[ショウルートその2]
「さて、そろそろ3分経ちますね」
「もうそんな時間か」
なんとも言えない状況が起き、それぞれ3分ほど休憩をした俺と敵。
しかし敵曰く、もう時間になってしまったそうだ。
それぞれ互いに休んでいたところから立ち上がり、部屋の中央にて相見える。
「耳の具合は如何です?」
「何とか大丈夫そうだ。その点に関しては感謝するよ」
「それはそれは。因みに戦う意欲の方はどうでしょうか。私は万全ですよ」
ニヤリと不敵に笑う敵。
それに対して俺は攻撃という形で答えた。
「こっちもバッチリだ!!」と言いながら。
「それは安心しました!ならば続けましょう、吸糖鬼よ!!」
「言われなくても、なッ!」
俺は更に追撃をする。
しかし未だ防具の力もあって攻撃は通らない。
かと言って攻撃をやめたら相手ペース、あの神速地獄が待っている。
ならば一つ。
どんなものでもいい。
攻撃をし続けて、敵の動きを止める。
距離を離されないように、勝敗を決められる前に。
何とか勝利に繋がる一手を考えなければ!
「ーーと、でも思っていそうですねぇ」
相手は振り下ろした俺の武器を、素手でがっしり受け止める。
くっそ、種族差があるとはいえ、まさか受け止められるとは思いもしなかった。
しかも全く動かないし、ちょっと凹むんだが!
「捕まえましたよ」
勝ちを確信したように、不敵な笑みを浮かべる敵。
確かに武器を掴まれ、最接近されているこの現状は俺にとっては絶体絶命というやつだ。
「まだまだァ!」
だからと言って、ここで終わるわけにはいかない。
諦めるわけにはいかない。
力で勝てないなら、小細工で何とかするまでだ。
俺は敵の身体に蹴りを入れ、そのまま駆け上がり。
くるり宙回転しながら、思いっきり武器の持ち手を回す。
ーー定規には「斬撃を飛ばす効果」が付いている。
この斬撃の定義はとても曖昧で大雑把なもので、ちょっと振っただけでも斬撃扱いになったりする。
つまり何が言いたいかというと、だ。
ちょっと動いた武器から小さく細かな斬撃が、俺自身と武器の回転が相まって360度に飛び散っていった。
「くっ……」
これには思わず敵も手を離す。
俺自身も少し傷付いてしまったが、これでまた振り出しに戻すことができた。
強いて距離を少し離してしまったのが不安要素ではあるが。
なんとかしていくしか無い。
「貴方、本当に面白い戦い方しますよね。尊敬に値します」
「……それは嬉しいな」
「ですが今度こそチェックメイトです」
そう敵が言った瞬間、背後に殺気。
前方に回転して避けるが、そこにはあのフード男がいた。
神速と例えていたが、いくらなんでも早すぎだ!
もしや二人いるのか!?
そう思った時には遅く、鈍い痛みと共に俺の体は宙を舞い、壁へと激突した。
「かはッ……!」
全身が痛い。
視界も霞んでいる。
だがそれでも倒されたわけではなく、ギリギリでHPが残っているようだ。
なんで耐えたかよく分からないが、幸運だったとしておこう。
……まぁ、その幸運もすぐに尽きそうであるのだが。
「ほう、これでもまだ生きているとは素晴らしい!」
「だが虫の息だぜ?とっとと倒そーゼ」
何とか目を見開き、声のする方を向く。
そこにはフード男と、先程逃した閉所恐怖症男。
白い大剣を軽々しく持っている強そうな男だった。
「いやいや、それではあまりにも芸がありません。ここまでの礼儀を持って、最大技で苦痛なく滅ぼしてあげましょう」
俺はスルーしたことに深く後悔しつつ、何とか逃げようと試みる。
しかし体は全く動かない。
どうあがいても動かない。
そんな間にもフード男は杖に魔力を貯め、超特大の火球を作っていた。
おそらくこれで倒されるのだろう。
くっそ、どうにかならないのか……!
ここまで来たというのに、助けられず終わるのか!?
後悔の念に駆られた刹那、何ともいえない極寒の冷気が部屋全体を覆った。
「「「!?」」」
困惑する俺と敵ら。
何が起きたのか、どういうことなのか。
意外にも一番に理解できたのは大剣の男だった。
「あの女か」
入り口に佇む見覚えある女性。
しかし鉄の鎧ではなく、氷の鎧を身に纏うその姿は見たことがない。
武器から冷気が出ているのを考えるに、あの剣の影響なのか?
どこと無く苦しそうだし心配だ。
……けれど俺はダメージの為、思うように動くことができない。
ましてや支援や経緯を聞くことは無理だ。
ここはしょうがない、回復する絶好の機会と考え、全開したらサポートに入ろう。
「なぁ教祖サマよ。コイツぜってー強いゼ」
「……ならば貴方に任せます。私はこの炎で焼き尽くしますから」
「サンクス、有り難く頂戴するゼ!」
大剣使いが駆け出すと、フード男はこちらを改めて向き、杖を高々と上げる。
まずい、攻撃が来そうだ!
俺は急いで回復薬を使用ーー
「終わりです!!」
ーーその声と共に特大の火球が床を焼き尽くした。




