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「はい、時間ないから各自状況報告して頂戴」
ーーあれからちょっとして今現在、全員が中央に集まり丸く円を囲み報告会中。
それぞれの戦果やら被害状況についての話をしていた。
話を聞いている限りはみんな特に問題はなさそう。
誰も回復アイテムを使ってないみたいだし、機械自体も全機ノーダメと最高の状態。
これならまだ余裕だな。
「ショウはどうだった?」
状況を聞いていたエイレが、俺にも振ってきた。
ある意味俺はこの報告会のメインだろうからな。
ステータス最弱だから足引っ張るの間違いないだろうし。
「俺はリアルタイム戦闘に助けられた感じだな。今のところノーダメ、戦果16体ってとこ」
因みに他面々はノーダメで最低50体は倒している。
こうしてみると討伐数少ないな、俺。
まぁ他が相性良い技いっぱいあるってのもあるんだろうけど、単純にスペック差だよなぁ。
「へぇ、ショウにしては凄いじゃない。てっきり一度蘇生済みかと思ったわ」
と、エイレ。
「ホントよくそのステータスで生き残れてるわね。まぁ流石私を倒しただけはあるわ」
「ショウさん、PvPとかリアルタイム制だとすごく強いですもんね!」
その後にイーレ、宇佐美様とコメント。
他もなんやかやコメントを言ってくれたが割愛、話さなかったのは幼馴染みのシーメル(マニ)とさっきまで一緒にいたミーシャ(マモリ)さんだった。
「さて、雑談はそこまでにして。この様子だと敵の量が多いだけで、そこまで強い敵はまだでなさそうね。機械のダメージがない間はこのまま自由に殲滅の流れでいいかしら?」
「それでいいんじゃない?」
「自分もそれでいいッス!
「それじゃあ、また各自持ち場について頂戴!」
そうエイレがそう言うと、またそれぞれ散っていく。
だが残っている、俺のとこに来た人が2人。
リティルとマモリさんだ。
「あ、ど、どうしたんですか?」
2人はアイコンタクトすると、先にリティルが話し始めた。
【私はもしかして気付いていないかと思ってきました】
「気付いてない?」
俺がそう聞き返すと、ああやっぱりみたいな表情をしながら言った。
【今回は運営主催のイベント戦、一回ごとに使用回数が元に戻ります。つまりは自動防御と身体強化光主がもう一回ずつ使えますよ】
「本当なのか!?」
【はい、そうなんです。ですが使える回数は変わりませんし、身体強化光主はwave2分くらいまでしかもたないでしょうから気をつけてください】
これはとっても良いことを聞いたぞ。
身体強化光主が使えれば、まだ戦える部類までになるからな。
本当ナビ子、いやリティルには助けられてばかりだ。
「ありがとうな、リティル」
俺はちょっと照れながらお礼を言う。
リティルも少し照れ臭そうにしながら
【どういたしまして。いつもみたいに今日はテロップ出せませんからよろしくですよ?】
と言って去っていった。
「うーん、青春だねぇー」
と、背後にいたマモリさんがニヤニヤしながら言った。
「なっ、べ、別に違いますよ!」
「でも側から見たら、青春真っ盛りにしか見えないとお姉さんは思うけどねー」
うっ、その点は微妙に否定しにくい。
確かに今冷静に考えるとアレはフラグ構築会話にしか聞こえない。
くっそ、思い出して恥ずかしくなってきたぞ。
「そ、それでマモリさんはどうしたんですか?」
俺はこれ以上は精神がもたないと思い話題を変える
マモリさんはお見通しのようで、ものすごくニヤニヤしているが話題を切り替えてくれた。
「聞きたいことがあったの。どうしてあんなに強いの?って」
「強いって……ああ、さっきの人間ですか?って質問の続きだったり?」
「そうそう、そうなの!」
マモリさんは、あの時のように目をまん丸にして若干興奮しながら続けた。
「だっていくらゲームとは言え、あんな飛んで跳ねてって凄いもの!全部攻撃を的確に捌いちゃうし!!これまでまともな戦闘を見ていなかったから、そこまで強いとは思わなかったですよ」
あー、確かにマモリさんことミーシャさんが加入したのはオタ杯闘争の直前だったか。
以前に糖党とかと戦ってはいたんだが、あの大会だけでは能力とかで勝ったようにしか見えないもんな。
そう考えればマモリさんがそう思うのも理解できる。
「実はーー」
マモリさんに説明しようか、と思ったその時。
目の前に10カウントの表示が現れた。
これはもしかしなくても次のwaveの予告時間?
だとしたらまずい、急いで持ち場に着かなければ。
「ま、マモリさん、申し訳ないですが後でまた!」
「はい、私も急がないと我主に怒られてしまうので、では!!」
マモリさんは俺以上に焦った様子で言い終わると、そのままダッシュで走り消えていった。
確かにエイレは遅れたら怒るだろうし、その怒りは絶対怖いからな。
特に子孫一族滅亡キックは特に恐ろしい。
マモリさん、間に合うと良いな。
そう思いながら俺も急いで戻った。
◇
あれからどうなったか文章で簡潔に説明。
3、4waveはうって変わってヒューマンタイプのエネミーが襲いかかってきた。
プレイヤーだったら恐ろしかったが、中身はただのNPC。
そんな苦戦せず倒し切ることができた。
5、6waveは少し大型の獣系が増えてきたものの特段と苦戦することなく。
7、8waveも同様、すんなりと終わってしまった。
「絶対おかしいわ」
で、現在最後のwave休みである8と9の間。
エイレは物凄い剣幕で言った。
「物量は多いものの、何でこうも歯応えがないのよ!普通6か8waveには中ボス入れるでしょう!?」
「これが本来だとしたら調整ミスってるネ」
「もしかして初心者向けとかでしょうか?」
エイレの後に惰之とラギリさんが続いて言う。
確かにエイレの言う通り、敵量はいい感じに多い。
だがHP5、ステータス最弱の吸糖鬼が一回も落ちてないのは、おかしいぐらい楽すぎるという事。
運営は狙ってやってるのかはたまた違う要因なのか……
文句を言ったりや楽観視している人がいる中、シーメルが手を挙げながら口を開いた。
「最終wave、2手に分かれた方がいいと思うわ」
「あらどうして、こんなにも簡単だというのに!」
憤慨してるエイレはシーメルに当たりながら言った。
しかし提案をした当の本人は未だ冷静だ。
「さっきのスサノミズチ戦、ショウの話やこのイベント内容から察するに“次は絶対クリアさせる気0の編成”でくるわ。間違いなくね」
「そうデース?やっぱりイージーだと思うデース!」
ミーコさんがにこやかに言う。
他の面々も同様で、シーメルの予想は違うだろうと思っているようだ。
俺と帝国関連の人を除いて。
「……そうね、確かにそうだわ。冷静になること出来た、ありがとう」
「我主、残り時間も少ないですし、急いで吟味しなければいけないかと」
【バランスも考えないとですね】
他メンバーは急に冷静になったエイレを見てどよめく。
俺もこれには予想外だったが、良い予想外だったと言える。
正直、意見はシーメルと同じだ。
あまりにも難易度が低すぎる。
かと言ってそのままの難易度で終わるかと言われたら恐らく違う。
その理由もシーメルが説明した通り。
嫌な予感しかない。
「班を3つに分けるわ。右側二機をシーメル、惰之、イーレ、ミーコの以上4人。左側二機を宇佐美、ブンコ、ミーシャ、ラギリ、ナビ子の以上5人。中央一機を私。……ショウは身体強化が使えるのよね?」
「ああ、リティルからそう聞いた」
「ならば遊撃手となって頂戴。初手waveから使って、危ないところをフォローする形で」
と、言ったタイミングで次のwave開始の10カウントが表示される。
「急いで着いて頂戴!!」
ほとんど全員が釈然としない中、エイレの指示通りに配置についた。
カウントが0になった瞬間。
ーーその予想が正しかったと思い知らされた。




