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『スサノミズチの攻撃、雷帝』
まずスサノミズチの攻撃。
これは予想通り、未だ出していない技を繰り出してきた。
問題はこれが予想通り単体攻撃なのか、前衛を狙うのかが重要。
少し不安であったが、合っていたようだ。
スサノミズチは青い雷を帯電し、それを騎士に向けて放つ。
強大な電気の塊が騎士を問答無用で包み込み、まるで柱のように青い雷は上空へと昇っていった。
勿論騎士の人は倒れてしまう。
次にスサノミズチは第二撃目の準備を始める。
予想では対象はもう1人の前衛と踏んでいるのだが……
「え!?」
やはり、か。
先程の作戦会議を見たからか、攻撃対象を後衛にしてきた。
しかもよりによって魔術師、ミーコさん狙いだ。
初撃をスキルかなんかで防いだからだろう。
もう同じ防御はできないと予想し、バフ対策として狙ってきたに違いない。
ーー故に、ミーコさんを狙うのはこちらの思惑通りだ。
「カウンター術、雷神大結界!」
確かに初撃はスキルで防いだらしい。
かといって防ぐ手立ては無くなったわけじゃないとの事。
「雷神大結界」
大量の魔力を使いかつ1ターンを消費する事で、雷系統の技・魔法を無効化する術。
たとえ先手を取られようが、敵が最後に動こうが、発動を決めたこのターン中は全て適応される。
対人戦でも同じ様に、動けなくなる代わりに無効化する効果となっている。
その為実戦では使えず、対雷系統のモンスターぐらいしか意味がない技ではあるのだが、それが今回は上手く作用してくれたようだ。
強大な雷の柱は、ミーコさんの前に消え去った。
「では手筈通りに!」
俺のその掛け声でそれぞれが準備を始める。
今回重要になる技は3つ。
攻撃力を大幅に上げる代わりに通常攻撃しか出来なくなる「ベルセルク」
攻撃対象を自身に固定し、自分の防御も上げる「ヘイトガード」
対象者全員の防御を上げる「ディフレクト」
まずベルセルクをスサノミズチにかける。
そして騎士と俺の両者を蘇生薬で蘇生。
生き返ったタイミングで、一番素早さが遅い魔術師が騎士の人などにディフレクトを使用。
残りはそれぞれ技を出し、窮地に追い込まれているような演出を加える。
これで第四ターンは終了、次が問題の第五ターンである。
『第五ターン』
この時に騎士の人はヘイトガードを選択、他の人は騎士の人に補助。
念のためミーコさんは残った魔力を全部使って雷神大結界をもう一度選択。
これで無事、事が進めば倒せるのだが。
『スサノミズチのアイテム使用、安定剤』
……やっぱりそう上手くいかないか。
スサノミズチはアイテム使用でベルセルクの効果を解除、そしてすぐ様あの技を撃とうとしてきている。
初手で使った地走りを。
全体先制攻撃で、相手を怯ませられるならそりゃあ使うだろうなぁ。
「それを封じさせて貰うっスよー!!」
だがーーそれも予想の範疇なんだよなァ!
ブンコさんが使うのは「攻撃挑発」という技。
騎士の人のヘイトガードと同じようにターゲットを固定する技なのだが、これは少し効果が違う。
前者ヘイトガードは全体攻撃以外全てを引き受ける技。
一方攻撃挑発は、“あらゆる攻撃を通常攻撃に変換し、使用者が引き受ける”という技。
発動タイミングも前者は常に、後者は敵攻撃前の一回だけという特性。
一応保険としての技ではあったが、ここまで読みが当たれば上々だろう。
「引き受けるっスよー!!」
ブンコさんの技により、地走りの準備を止めたスサノミズチは、その鋭い爪で引き裂いた。
それどころか凄まじい勢いであった振り下ろしも相まって、ブンコさんはそのまま遠くの地面へと叩きつけられていた。
ベルセルクの強化もあったから洒落にならない攻撃力になっていたのだろう、予想以上の威力だった。
しかし、事前にかけたディフレクトの効果もあったのか、虫の息ではあるがなんとか生き長らえることができたようだ。
ブンコさんはフラフラしながらこちらに戻ってきた。
「オーウ、ブンコちゃん大丈夫デース!?」
「な、なんとかっス……」
思わずその場にドサっと倒れ込む。
まぁあの攻撃を見たら、そうなってしまうのは分かる。
死んでないから仇という訳じゃないが、せっかくの頑張りを無駄にはしない。
さて、ここで決着をつけるとしますか!
「皆さん、後はできるだけ攻めてください!!」
俺の掛け声に合わせ、残り動けるメンバーが行動を開始する。
「大切断ッ!」
「ファイヤーアロー!!」
現状出せる最強技を全員がスサノミズチに向かって放つ。
今度はバリアなど無く、ちゃんとダメージが通っているようだ。
これなら後は俺の技で問題無く倒せる筈。
「ならば今決着をつける時!身体強化光主!」
俺は自身の最強技である身体強化を行う。
どうやらこの技、変身後に攻撃をする事が可能だという。
ならばとっておきで終わらせようじゃあないか!!
俺は剣を天高く上げ、持てる魔力を全部込めて技を放った。
「真ッ、光牙滅斬!!」
光の斬撃がスサノミズチ向かって進んでいく。
ーーだが勝ちを確証した時、予想していなかった出来事が起こった。
斬撃がスサノミズチに当たる前に消え去ってしまったのだ。
何故、一体何が起きた。
他の面々も同様に口を揃えていう。
間違いなく当たっていたはずなのに、強力な技であるはずなのに。
何故かき消されてしまったのだ!?
『第六ターン』
予想していない、予定外のターン。
俺らにこのターンを凌ぐすべは殆どない。
『スサノミズチの攻撃、雷撃波』
決定打と言わんばかりに襲いかかる全体攻撃。
『スサノミズチの攻撃、雷撃波』
その攻撃を二回。
全員に向けて。
高威力ということもあり、なす術なくほぼ全員が倒れてしまった。
そう俺を除く全員が。
「いやぁ、まさか奥の手を使うことになろうとはねぇ!」
一発目を身体強化で耐え、二発目を1日限定の防御技「自動防御」で耐えた俺。
まさか最後の最後の策まで使うことになるとは思わなかったが……。
確実に絶対に倒してやろうじゃないか。
「情けない終幕だが、それはここまで粘った自身を呪うんだな!」
俺は手頃な石をそこらへんから拾い、狙いを定める。
もちろん何をするかはご察しの通りだろう。
本来は先制技の筈だが何故か今回出来ず、あまりにもしょぼいからできればやりたくないと最後の策として残していた、絶妙に強い技を!
「 石 投 げ 」
ぽいーっと軽く投げたその石は、放物線を描きスサノミズチの頭に「コツン」と当たった。
その瞬間。
「ギャオオオゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
頭に響くほどのスサノミズチの断末魔。
もがき苦しんだかと思うと動きを止め、地へと還っていった。
『討伐完了!』
「ふぅ……」
思わずため息を溢す。
まさかここまで苦戦するとは思わなかったが、倒したのであれば結果オーライというやつだ。
にしても色んな意味で疲れた。
肉体……じゃないから、もう精神的にだけ疲れ果てている。
これは今日ぐっすりだろうな。
『ショウ、レベルアップ』
「ん、おお!?」
んな感じで一息ついていたら、とてもうれしいテロップが流れる。
遂に2回目のレベルアップか。
今度こそ赤点成績から、エリートぐらいにはなりたいところだが……如何に!
ショウLv.2→3
HP 5→5
MP 3→5
攻撃 1→2
防御 1→2
素早 3→3
魔力 1→2
魔防 1→2
命中 1→1
賢さ 4→4
幸運 5→5
わーい、のうりょくふえた、こうもくがおおいぞー
やったぁ、これはとってもうれしいなーわーい




