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7-3

それから俺らは会話しながら歩いて向かった。


マニの読心術の事、俺の事、エリス様の仕事の事、日常会話の事等。


好きな歌手を前にしての緊張と初対面故のコミュ障発動により、会話せず聞くことがメインになっていたが。


それでも楽しいもんだ。


10分少々歩いているが、其ほど時間が経っていないように感じるほどだった。


「さて、着いたわよ」


そんな風に思っている内にマニが足を止め、顔を向いた先に今回の会場となる『隠れ家的な店、家増御かましお』があった。


確かここは新鮮な海鮮物が有名の店だった筈。


他にもサイドメニューが豊富で、お酒も飲め、ソフトドリンクも充実しているらしい。


俺的に聞いた中で一番魅力的だったのは、完全個室で完全防音ってところだけど。


周りの雑音聞こえないし、姿見えないし。


コミュ障兼対人恐怖症にはもってこいの環境である。


このことを思い出して嬉しくなり、先頭に立って入りそうになったが、一つ問題があったのに気付いた。


それは周囲に人影が全く無い事。


約二名が遅くなるということで店の前集合にした筈なのだが、どこを見渡してもそれらしいのがない。


というか、最初に言ったとおり人が全くいない。


時間的に丁度いい筈なのだが、どういう事なのだろうか?


「あー見えて二人とも忙しいらしいからね。宇佐美さんを越えるくらいの」


「私以上ですか!?」


マニの言った事に対し、オーバー気味に驚くエリス様。


なおこれまた先程言ったが、道中に読心術の説明したので、今ではエリス様は驚くこと無く会話に参加できている。


大きな成長、流石であります。


……にしてもマニの台詞、本当の事なのだろうか?


売れっ子歌手&声優のエリス様以上に忙しい人物がいるのだろうか。


俺的にはスチュワーデス、弁護士、公務員や国政府位しか思い浮かばないが、そんなわけあるまい。


特にエイレ。


厨二病拗らしてるアレが偉い奴なわけない。


まぁキノコジャンキーさんもあり得ないけど。


偉い奴だったら──っと、フラグ構築は止めておこう。


フラグ建てたらろくな事無いしな。


「チッ」


マニに舌打ちされたが、気にしない傾向でいこう。


「あっ、おーいみなさーん!!」


ジト目のマニさんから目線をそらした時、遠くに人影が見え声が聞こえた。


恐らく二人の内のどちらかだろう。


金髪なのでエイレな気がするが、ポニーテールではないからな。


それにあんな高身長で、ザ騎士って感じの麗人というイメージは無い。


どうあがいても厨二イメージだ。


だから違うと思うが、キノコジャンキーさんとも思えない。


一体誰なのか、俺は良く目を凝らして特徴を探しつつ見てみた。


近付く人影、徐々にハッキリ見える風貌。


その内に俺は気付いた。


誰なのか、ではなくその人物の役職に。


彼女の着ているジャケットによって。


「いやいや遅くなってすみません。丁度任務が立て込んでいまして」


「任務お疲れさまです。にしても本当にRPGで働いてるなんて驚きだわ」


頭を掻きつつ笑いながら言った女性に、労いの言葉をかけたマニ。


マニにしては珍しい事ではあり、普段なら驚いている事だろう。


けど今の俺の驚きはこれじゃない。


じゃあなにか、というとそれはさっきも少し触れた職業の事。


先程マニが言ったR.P.Gという仕事だが、簡潔に言ってしまえば公務員だ。


公務員にも様々なジャンルがあるが、これに関しては事務仕事をする普通の公務員ではない。


文武両道なエリートしかなれない、とても特殊な部類に入る。


そんなR.P.G、じゃあいったい何をするのかと言うと──ボディーガード。


ただ一般なVIP相手にじゃない。


二代目オータク、通り名は黄色のあくま。


……上記ので分からない人のために言うとだな。


王女。


我が国の王女。


つまりは、王女を護る騎士なのよこの人。


この事実に衝撃を受ける最中、女性はマニの労いに照れながら思い出したかのように口を開いた。


「あっ、そういえば名乗り忘れてましたね!私は子岸ねぎしマモリ、ミーシャのユーザーです!!」


俺はこれを聞いた瞬間、開いた口が閉じないくらい呆然とした。


キノコジャンキーさんが、エリート?


なに、フラグ建てかけたせいなの?


厨二さんじゃないからまだいいけど。


それでも四六時中キノコしか考えていない人がエリートとは、神様は何を考えてるのだろうか。


「ショウ、それブーメラン」


また人の心を読んで言うマニさん。


ブーメランはしらんが、本当の本当にやめような。


また初見が驚──


「エリス様!?何故ここに我が愛しの女神エリス様が!!」


かなかったようですね。


ミーシャことマモリさん、エリス様を見た瞬間ハイテンションでキャラ崩壊した。


それにビックリな様子のエリス様、少しおどおどしながら返答する。


「わ、私は宇佐美の中の人で……」


「まじですかい!では今までエリス様と共に戦っていたのですね!それはとても光栄です!!いやぁこれは同胞達に自慢できますなぁ!いや、垢バレはさせませんよ、騎士に誓って!!」


「あ、あの分かりましたので、エリス様と呼ぶのはやめてい──」


「何を言うんですか、エリス様!私は貴女様の世界観に囚われてからもう夢中なのです!!それはもう必然だったかのように!キノコより、いや主君を越える忠誠を誓っています!そしてなにより──」


もう色々と止まらないマモリさん。


共感できるところがあるけど、流石にこれはやりすぎだろう。


エリス様がマナーモードみたいにプルプル震え出しているし。


流石の俺も助けにいこうとマニとアイコンタクト。


何をしてでも止めようと動いたそんな時だった。


「なぁぁぁぁぁにしてんのよ!!」


突如、金髪幼女がマモリさんの背後に現れ、彼女の股間を思いっきり蹴りあげた。


そんな攻撃を受けたマモリさん、「ひぃん!」と小さく悲鳴をあげながら少し空を舞い、そのまま地面へ倒れた。


……うん、女と言えど痛そう。


思わず俺も押さえてしまう程に。


というかこの幼女、的確に股間を蹴りあげた辺り中々できるかも──


「他人に迷惑かけるだけなく、主君である私より魅力的ですってぇ!?本人の目の前で言うなんていい度胸じゃない!」


ここで訂正いたします。


中々できるかもしれないと言いかけましたが、発言を撤回いたします。


だって白目向いてるマモリさんの頭を右足で踏んでいるんだもの。


しかもなんの因果か靴はハイヒール。


もうこの幼女完璧にヤバイ子だ。


しかもそれだけじゃない。


今この幼女、“何て言った”?


主君である“私”?


本人の“目の前で”??


……もし、もしもだ。


俺の推測が正しければ、この子はエリス様やマモリさん以上のVIPだ。


だが、そうであってほしくない。


建てかけたフラグを回収したくないんだ。


なぁマニ、違うと言ってくれ。


俺の推測は外れだよバーカと言ってくれ!!


考えが読めるんだからできるだろう?


さぁ!!


「……ショウ、とっても残念なお知らせよ。この方の名前は──」


「──エイレルベール・フォン・ルディア・オータク二世。エイレのユーザーにして、この国の王族よ。自己紹介、遅れて悪かったわね、フフッ」


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