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6-5

──それからというもの、俺たちは戦いに勝ち進んでいった。


どうやら最初のチームが強豪だったらしく、あれ以来の戦いは全部特に見所なく勝利。


強いていうなら、第三回戦の相手がミーシャ、エイレ、シーメルに、それぞれ10秒経たずに負け、三縦したことくらい。


他の試合もそれに近いくらいすぐに終わった。


やはり俺以外の奴らが強すぎだからなのだろう。


そんなわけで順当に進み、気づけば準決勝進出。


俺以外は超余裕な表情をしながら待合室に戻り、小休憩中のナビ子と合流して軽く休息をとっていた。


「本当に余裕綽々ね。つまらなさを感じるほどに」


エイレがテーブルに顎をのせ、ふて腐れた声色で呟く。


「まぁまぁ、準決勝いけて良いじゃないですか」


【そうですよ。それに圧倒的な力でサクサク準決勝って素晴らしいことじゃないですか。このチーム出たら皆大声援ですし】


それに対しエイレの肩と頭をポンポンしながらフォローを入れる、宇佐美さんといつの間にかいたナビ子さん。


そのお陰かエイレは少し気分を良くしたのか、顔を起こし二人の方を向いた。


「そうね、嬉しいことよね!私がどうかしていたわ」


にんまり笑顔で言ったエイレ。


二人も釣られてか安堵からか笑顔で返していた。


「嬉しいと言えば、一回戦目でショウさんがレベルアップしましたね」


そんな様子を傍目から見ていたミーシャが、ふと唐突に呟く。


宇佐美さんやエイレ、シーメルもそれで思い出したようで、口々に祝いの言葉を述べ始めた。


「遅れましたが、ショウさんおめでとうございます!」


「これで以前より戦いやすくなったのかしら?期待しているわ」


「この調子で次もレベル上がるといいわね。とにかくおめでとう」


そんな嬉しく眩しい対応に、俺と事実を知っているナビ子さんは苦笑い。


一応ありがとうとは言ったが、内心は複雑すぎる。


だって少しだけしか成長していないのだもの。


そんな喜ばれるくらいじゃないんだもの。


下手したらまだスライムに負けるステータスだし。


なんとなし申し訳なさを感じる、そんな俺に更なる追い討ち。


「そうだわ、ショウのレベルアップ記念を祝って、今からパーティーしましょう。準決勝進出の祝いも兼ねて。どうせ準決勝は半日後だろうし」


と言うエイレの発言。


とても嬉しいのだが、それはやめていただきたい。


申し訳なさでいっぱいになり、自害してしまいそうになる。


その為遠慮しようと考えるが既に遅く、料理の準備を始めてしまった。


もうこうなってしまっては、コミュ障の俺に止める手立てはない。


内心自棄になりつつ、待つこと30分程。


美味しそうな料理がならんだ。


「これくらいでいいかしら?でもまさかシーメルも料理できると思わなかったわ」


「それ、そのままお返しするわよエイレ」


「ミーシャさんには私特製のキノコスープをあげますね!」


「宇佐美さん、ありがとう……。あなたは天使や!」


そんな雑談をはさみながら全員が席に着き、コップに思い思いの飲み物を注いだ。


なお宇佐美さんは高そうなワイン、エイレはぶどう味の炭酸、ナビ子はオイルで他はみんなお茶である。


それらを注ぎ終えると、皆がそれぞれグラスを掲げた。


「よし、ではレベルアップと準決勝進出を──」


掲げたタイミングでエイレが立ち、祝辞を述べようとした時だった。


巨大な振動が部屋中を包み込み、俺らに襲いかかった。


【じ、地震!?】


「逃げないと!って、折角作った料理がー!」


「私のワインがー!」


「顔面にキノコスー──ってマッズ!!」


「私のジュースー!」


【ジュースが顔にでプログラム再起動!!】


──なんということでしょう。


数秒前は笑い合い、幸せを噛み締めていた皆さんが今では阿鼻叫喚。


正しく地獄絵図が広がってるではありませんか。


ぐちゃぐちゃになった料理をただ呆然と眺めるシーメルさん。


割れたグラスとワインの瓶を持って嘆く宇佐美さん。


顔を真っ赤にしてのたうち回るミーシャ。


零れたジュースを見て、子供のように泣き喚くエイレ。


そして顔面にジュース直撃し、未再起動に追い込まれたナビ子。


因みに俺は、後ろにあったテレビと『DJヤマシタのエクセレントDJ教室』全25巻のDVDボックスの下敷きになりました。


いと痛重し。


「いったい何なんなの、今の振動は!」


シーメルが激昂し銃を引き抜いた時、場内放送が流れた。


大方今起きた揺れに対する原因説明だろう。


だがいったい何が原因だろうか。


ゲーム内だから地震はまず無いし、もし現実で地震が発生してたら強制シャットダウンするシステムだ。


となると、第三者からの接触?


……まさかだとは思うが、そうだったら血祭りにしよう。


『こちらはKKNかきん教である。我が教団員がやられたため、ハーフスワンプ法典に則り大会関係者を裁く。なお先程の揺れは我が教団が行った攻撃である。重課金者か教員になれば──』


俺は放送の途中だが、起き上がって放送音源を破壊した。


そして全員の顔を見る。


「俺が考えてること、解るよな?」


俺がそう言うと、まずシーメルが口を開く。


「ええ。たとえ長い付き合いじゃなくとも解るわ」


「やはり皆さん同じ考えですか」

「絶対そうですよ」


次いで宇佐美さん、ミーシャと続くとナビ子さんから再起動完了の音が鳴った。


【再起動してたので何が起きたかは分かりませんが、考えてることは理解できます】


「ふ……まさかここまで意志疎通するなんてね」


そして最後にエイレがそう締める。


直後、4人と1機は大きな声で高笑いをする。


その笑いは長く続きそして──


「この私、エイレが命じる。諸君残虐の時間だ、行くわよ!!」


【「「「サー・イエスサー!!!」」」】


各々武器を持って待合室を飛び出した。


畜生、テレビ痛かったんだぞ!?


しかも限定ゲームがDVDボックスで粉砕されたし。


予告通り血祭りだ。


【熱源確認!スタジアムに大会関係者ではない未登録のものが多数!!】


「よし、だったら先制を仕掛けるわよ!……シーメル!!」


「よっしゃ、とばしていくわ!」


そう言って取り出した武器、それは第一回戦で使った“フレイヤ”とはまた別な巨大機構だった。


小経口の銃が六個、ガトリングが四つ、バックパックが二つ。


そして一番目に着くのは88㎜の大経口砲が二つ。


この武器を装備し、スタジアムの方に向けて──


「“インドラ”フルファイアー!!」


──発射。


物凄い爆音と閃光を発しながら、敵をのみ込んでいった。


「さぁダンスパーティーといきましょうか……!」


煙が晴れた後、エイレの台詞を合図に、俺らはスタジアムに進入。


各々の憂さ晴らしタイムが始まった。

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