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オンラインで間違って最弱な鬼を選んでしまった件  作者: あるすれっと
開催、ゲームの祭典オタ杯闘争!
37/104

5-5

そして次の日、ゲーム内。


「遅いわよ!」


インして開口一番にそう言ったエイレ。


結構早めに来たはずなのだが、もう全員が揃っている状況だ。


みんな楽しみで仕方なかったのだろう。


そう思っていると、ミーシャが目をこすって眠そうに呟く。


「私はエイレさんに叩き起こされたのですけどねー」


それを聞いたエイレ、にこやかな笑みをミーシャに向けてから、腹部に一蹴り。


物凄い音と共に、壁まで吹き飛ばされた。


「そこ、変なこと言わない」


顔を少し赤らめて言うエイレさん。


その言葉と仕草だけなら可愛いだろうが、如何せんその前にした行動がな。


ミーシャを50メートルくらいまで吹き飛ばした直後だからね。


吸血鬼とはいえ、味方にそれは色んな意味でビックリだ。


なお全く関係の無い余談だが、ミーシャはユーザーだったようです。


自己紹介の時、そう言われて吃驚仰天だった。


……この頃俺、NPCとユーザーの区別が出来てないな。


俺の心臓と精神の安全のため、気を付けたいものだ。


そう心に誓いながら虚空を見ていると、シーメルが話しかけてきた。


「にしても人がいっぱいね。そう思わないショウ?」


うん、そうだね。


だから虚空を見て話に参加してなかったのに。


畜生、人の熱気で雲が出来そうなほどいっぱいいるぜ……


「あら、返事もできないの?」


流石は幼馴染み、返答できないの知ってて言ってきやがる。


仲間の視線も気付けばミーシャから俺に変わってるし。


うう、動機もさることながら、胃も痛くなってきた。


「私嫌われたのかしら……」


涙目になって言うシーメル。


マズイ、エイレが拳を固く握りしめている。


このままだと間違いなくミーシャの二の舞だ。


何か言わなければ。


「ねぇショウ……?」


「ラーメンばりうまか」


俺は殴られ気を失った。











「──んあ?」



目が覚めたとき、最初に見たのは見知らない天井だった。


俺は何が起きたかを思い出しながら、俺は起き上がり辺りを見る。


「あっ、おはようございます」


すると隣に座っていた宇佐美さんと目が合う。


俺はすぐ目線を斜め下に移し、なんで宇佐美さんが目の前にいるのか疑問に思いつつ口を開いた。


「おはよう。ところでここは?」


「ここは待合室ですよ。因みに皆さんは試合の準備に行きました」


「宇佐美さんは準備しなくてよかったの?」


「ショウさん一人だと可哀想じゃないですか。だから残っていました」


俺の問い等に対し、宇佐美さんは笑顔でそう答えた。


……ふむ、そうだったのか。


やっぱり常識人──もとい心優しいのは宇佐美しかいないようだ、うちのパーティ。


ってことより、まずはお礼しなくちゃな。


深呼吸し、人の字を三回書き、気合いをいれた後、俺は一声をかけてから言った。


「宇佐美さんありがとう、看てくれて」


それを聞くと一瞬驚いた表情を見せ、直ぐにまたにこやかな笑顔で応えた。


「そんないいですよ、大して何もしていませんし」


「それでもさ。本当に助かったし嬉しかったよ。ありがとう」


俺が微笑みながら言うと、「いいえ」と呟きながら宇佐美さんが少し嬉しそうにしていた。


うん、やっぱりいい人は宇佐美さん確定だ。


もう天使だ、天使。


思わず癒されていると、何か気づいたかのように両手を合わせながら宇佐美が言う。


「そう言えばゲーム内ではお昼ですけど、空腹ゲージ大丈夫ですか?」


俺は直ぐにメニューを開いて確認する。


「……うん、少し減りぎみかな。」


問題ない程度ではあるのだが、今からのことを考えると満タンにしておきたいところだ。


なお、空腹ゲージについてだが、これはスタミナや自然回復に関わってくるものだ。


満タンなら無尽蔵に動けるし、0なら移動速度低下やダメージ受ける感じだ。


回復する方法は食べ物や飲物をとること。


だから基本HPやMPが減っていて、なおかつ空腹ゲージが僅かなときに食事するとベストである。


──補足終了。


よし、話を戻そう。


俺が空腹ゲージ減ってると聞いた宇佐美は、どこからかあるものを出して


「じゃあ、これ食べてください」


と、言った。


……だがどういうことなんだ?


いや、渡されているものは、ただの普通のお粥だ。


でも……


「何故に、あーんなんですか?」


そう、宇佐美さんはスプーンに一口分のお粥をすくい、それを俺の口の前に持っていって食べさせる、世間で言う“あーん”をしていた。


「だってショウさんは病人じゃないですか。食べさせてあげますよ」


怪我人なんだけどな。


しかも怪我、完治しているし。


自分で食べることができるんだが。


もちろん、あーんは嬉しいよ。


だってうさみみ美人さんに、あーんをされるんだもの。


そりゃあ特殊性癖でもない限り、絶対嬉しいってもんさ。


シチュもいいね。


ただ正直言って恥ずかしいし、誰かに見られそうで恥ずかしい。


料理の味も怖いし。


「食べてどうぞですよ?」


ならばここは素直に「一人で食べれる」と言ってごまかすべきか。


いや、それは断じて否である。


たかが誰かに見られるのが嫌だからって、料理がドヘタだからって、天使様のご好意を無下にするわけにいかない。


しかも満面の笑み。


断れば笑みは間違いなく消え、泣き顔に変わってしまう恐れがある。


男子たるもの女子を泣かせるわけにいかない。


ドキドキしながら俺は口を開【失礼しまーす】


「は?」


突然人型美人なロボットが、今いる部屋の戸をぶち破って入ってきた。


どっかで聞いたことあるような声なんだが、そんなことよりなんで戸を破壊したんだよ。


【もうすぐ試合なので、選手は入場門前に集合してください。分かりましたね、宇佐美さんと脳内ピンク変態糞ゲリクソンよ】


あ、これ間違いなくナビ子さんだ。


リア充嫌いだったし。


ナビ子さん、ちゃんと姿があったのねー……じゃなくて。


なんか知らないが大変怒ってらっしゃる。


よく分からないから推測だが、俺が“あーん”をしてもらっているというリア充的状況に、裏切られたり妬ましく思い、怒ってるんではないだろうか。


あー本当に大変怒っていらっしゃる。


弁解しても無駄だろうし、文句も反論も言わないことにしよう。


「分かった、すぐ行く。ほら、宇佐美さんも」


「ひゃ、ひやぁいっ!」


宇佐美さん、するのは平気でも他人に見られるのは嫌なのね。


【チッ、リア充が】


あ、ナビ子さんがキレちゃった。


【ほら行くぞ糞虫共】


ナビ子さんは無理矢理宇佐美さんの腕と俺の頭を掴み、引きずって行きました。


因みにお粥はナビ子さんが美味しく頂きました。


それから約5分。


「遅いぞ!」


シーメルとミーシャが、門の前で待っていた。


だがエイレの姿がない。


疑問に思ったが、ナビ子さんに掴まれている痛みから、俺は考えるのを止めた。


「というか、なぜ頭と腕を掴まれ引きずられているんですか?」


「そっ、それは……」


ミーシャの質問に詰まってしまった宇佐美さん。


人に言うのも嫌ならば、しなければ良かったのになーと。


そのときぼくはそうおもいました、まる


「…………」


あ、シーメルが長考している。


どうか変な答えに行き着かないで欲しいが……


「……………………」


あっ、こりゃだめだ。


でこの血管が浮き出てる。


あらぬ事に行き着き、それでガチでキレてるわ。


「アンタいったい宇佐美に何をしたの?」


シーメルがドスのきいた声で訊ねてくる。


これはふざけたり間違えた解答したらやられる。


ちゃんと話しするしかない。


「何もしてないよ。ただ宇佐美さんが俺にあ「ギャアァァァァァァァァ!!」


宇佐美さん、突然発狂。


そんなに恥ずかしいのかよ……


本当になんでしようとしたんだ?


「……そう、宇佐美が発狂するくらいの事をアンタがしたのね?」


ちょ、なにその脳内変換!?


決めつけが酷すぎなんだが!


そう伝える前に、俺はシーメルの拳に再び撃沈した。

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