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オンラインで間違って最弱な鬼を選んでしまった件  作者: あるすれっと
開催、ゲームの祭典オタ杯闘争!
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5-2

動悸が高くなりすぎて気分が悪くなりながらも、何とかシーメルの後を追い、五分足らずで会場につくことができた。


初めて見るがとても立派だ。


コロッセオのような建物なのだが、一般的な野球場よりとても大きく、あちらこちらに金細工が施されていた。


というか細工という細工が金か大理石で出来ている。


こんなところで俺らは戦うのか……いと恥ずかし。


「さて中にはいるわよ。このまま後に続いて」


シーメルがその様に言った為、後ろを遅れないように歩く。


その時に建物を見てみたが、どこにも入り口らしいものが見えない。

ずっと壁だけだ。


どう入るのか不安になる中、シーメルはお構い無しに壁へと体当たりした。


するとどうだろう、シーメルがすっかり消えてしまったのだ。


俺は念のために、シーメルが消えた壁に向かって話しかける。


「奥にいるんだろ?魔法か何かだよな」


「そのとおり、魔法よ」


そういってシーメルは壁から顔だけを覗かせた。


……うん、生首が壁からはえてるように見えて、滅茶苦茶怖い。


人を怖がらせる為にこの魔法があるのならば、これほど適したものはないだろう。


実用性皆無だけど。


「あら、実用性あるわよ?こうすることで建物の景観を良くしてるの。普通に入り口をつけようとしたら穴ぼこだらけになっちゃうし」


「成る程、ちゃんと意味がある魔法なんだな。というか当然のように読心するの止めてください」


「やだね」


ニッコリ笑顔で言い切ったシーメル。


もう読心の件は諦めていくしかなさそうだ。


「それが賢明よ。さて、これから奥に行くけど、君が喜びそうな空間が広がっているから、死ぬ気で頑張れ」


そう言ってシーメルは俺の腕を掴み引きずり込んだ。


咄嗟の事で、素直に入っていってしまった俺だったが、建物内が見えた瞬間驚愕した。


それは人の多さ。


町の中でさえ大勢の人がいた。


大会に参加する為に来たユーザーが。


そうなると、会場がそれを上回る人口密度になってるのは至極当然。


何故それを思い浮かばなかったのか、そう後悔の念に駆られた。


「生きてる?」


何とも不穏な言い方をするシーメルであるが、あながち間違いではない。


精神的にとてもヤバい。


勿論心臓的な意味でもベリーヤバい。


気が付けば声も出せなくなった俺に対し、シーメルは腹部に向けて正拳突きをしてきた。


余裕の無い俺は当然当たり、物凄い吐き気に襲われながらも何とか踏み止まって呟いた。


「何をしやがる……」


「いや、今にも気を失いそうだったから武力行使を。痛いおかげでなんぼかマシになったでしょう?」


確かにそうではあるが、暴力は駄目でしょうよ。


人間不信が更に加速しそうだ。


「そんなんで不信になると後々大変よ。それより早く君の仲間を探しましょう」


案の定、読心してきたシーメル。


それよりで済む問題ではないのだが、確かに合流の方が優先だ。


文句は心の中で言っておこう。


読心できるし。


──なんて思っていた時。


何処からかエイレ達の声が聞こえた。


すかさずその声の方へ行き、本日二回目の後悔をした。


何故かって?


なら今の仲間達の姿を教えてやろう。


いつぞやのショットガンを持って、受付に銃口を向けるエイレ。


ナイフみたいなのを持って、同じく受付の首先に当てている宇佐美。


そして涙を流す受付の方。


「何しとんねんゴゥラァ!!」


俺は迷うこと無く定規を取り、光牙滅斬をうち放った。


それにより、吹き飛んだ二人の首根っこを掴んで回収後、受付の人に謝罪。


いくらNPCとはいえ、これはしてはいけないこと。


誠意を込めたお陰か、何とか許してもらえた。


ひと安心しつつ、俺は原因が気になったため、低姿勢で受付の人に訊ねた。


「ところでどうしてコイツらは暴れたんですか?」


「実は祭りに関しての事なんですが、五人じゃないと参加できないと言ったら暴れだしたんです」


五人ねぇ。


つまり後二人(または三人)必用だった事に気付いて、理不尽に怒り受付にぶつけていたわけか。


俺の仲間最低だな。


ジト目を仲間に向ける中、シーメルは壁に思いっきり拳を殴り付けた。


受付の人の直ぐ横の壁を。


「嘘言わない方が良いわよ。アンタこの人達を馬鹿にした言い方をしたからこうなったんじゃない」


受付を睨みながら言ったシーメル。


そんなわけ無いと思っていたが、受付の人を見る限り本当のようだ。


冷や汗一杯かいてるし、目線およいでるし。


「しょ、証拠は!?」


受付は焦りながらそう言った。


一方のシーメルは呆れ顔で、格下を見るような風に答えた。


「証拠なら幾らでもあるわよ。ログ、周りの証言、プログラムの記録媒体エトセトラエトセトラ……。他にも自白剤とか記憶読取媒体メモリーリーダーあるけど」


わお、完全なる詰みである。


どちらかを否定したら、どちらかをやられる。


全部断ったら、したと教えているようなもの。


受付もそれに気付いたのか、開き直って吐き捨てた。


「だからってなにさ。僕に何かをするってのかい?いいか僕はなこの闘技じ──」


その瞬間、シーメルは近くの銅像を素手でぶちのめし、にっこり笑顔。


「土下座」


「すみませんでした、調子に乗りました、ごめんなさい、許してください」


受付は死を悟ったのか、土下座と言い終わる前に土下座をし、謝罪の言葉を述べた。


だが──恐怖はまだ続く。


「嫌ですねぇ。そんな言葉を言って解決できるのでしたら、警察は必要なくなりますよ?」


「そっ、そんな!」


「と言うことで仕置きです」


シーメルは相手の腕を持ち、グネグネ折り曲げた。


所謂アームロックというやつかな?


受付は痛さからか悲鳴を上げた。


しかし止めない。


腕を折る勢いだ。


このあたりで俺が仲介するべきだろうが、こいつのせいで俺が勘違いをし2人をぶっ飛ばしてしまった。


それくらいの償い分は苦しめさせないとな。


……なんか俺ら悪者みたい。


「ん?」


受付の腕がベキベキ音を立てている中、無心にキノコを食べている人がいた。


よくこんな状況で食べれるな。


NPCっぽいので話しかけてみる。


「よくこの状況で食べれますね」


「だってお腹空いたんですもの」


お腹空いても、この状況で普通食べないと思うが。


食べるなら別な場所に移動するよな?


てかここ、そもそも飲食禁止じゃね?


しょうがない、注意してあげよう。


「あの、ここ飲食禁止みたいだから、あっちで食べた方がいいよ」


「私が食べたいときに食べる。これが私のルールです」


凄いNPCだな、と思っていると、運営スタッフが駆けつけてきた。


原因はシーメルがアームロッ「ゴギャッ!!」──訂正、受付の腕の骨を粉砕したからだろう。


人数多いしヤバいな。


「君、何をしてるんだ!?」


「制裁です。ログ見れば分かりますよ。それでも取り締まるのであれば──」


シーメルは瞬時に受付を蹴り飛ばし、その勢いのまま相手の首に足を絡めた。


「こうなるわよ」


うん、良い足での首締めだ。


シーメルの技に感銘を受けてる中、横を見るとキノコの人も運営に絡まれていた。


「貴様、ここは飲食禁止だ!これは没収する!!」


残念なことに食べていたキノコを奪われたキノコの人。


──だがそれが仇となった。


「私のキノコォ!!」


キノコの人が狂気に満ちたような低い声を出す。


そして懐から毒茸を出し、運営に無理矢理食わせて倒した。


その後、シーメルのいる方からバタリ、バタリと人が倒れる音が複数。


どうやら殲滅したようだ。


そして奇妙な共同戦線をはった二人の間には


「なかなかやりますね」


「そちらこそ」


奇妙な友情が芽生え


「突然だけど採用。仲間になれ。拒否権無し」


「「……は?」」


俺らの仲間になった。

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