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それから暫く経ち、現在俺ら三人はフィールドに出ていた。
勿論目当ては高級食材。
それらがあるという場所に向かっていた。
「まだかしら」
そんな中、エイレがため息混じりに呟く。
無理もない、町を出てから一時間以上は経っている。
それに今は山道であるし。
疲れて当然だろう。
ふと見れば宇佐美もヘトヘトになっている様子だ。
ここは休んだ方がいいのだろうか。
そう思った時、目の前の木々の隙間から、洞窟らしきものがちらりと見えた。
間違いない、ここだ。
俺は念のためナビ子に訊ねた。
「あそこだよな?」
【はい、そうです。あの洞窟にアレがありますよ】
わざわざ全員が見れるように、正面にテロップを出してくれたナビ子。
それを見た2人は急に元気になり、「ついたー!」と叫びながら突撃していった。
なんやかんやで元気だったんだな。
流石は上位種族の吸血鬼と兎人か?
まーそれなら今まで、何故ダルそうにしていたんだっていう。
それとも空元気かな。
そんなことを頭で考えつつ、二人の後を追って進んでいった。
──するとどうだろうか。
僅か数秒しか経っていないのに。
ほんの目と鼻の先だったのに。
2人は吊るされて砂糖まみれになっていた。
「えーっとエイレ、宇佐美さん?」
俺は二人に声をかける。
だが黙ったままだ。
こりゃあ怒ってるかなーと思っていると、茂みから複数人の黒フード集団が現れた。
まぁ砂糖が出てきたって事は十中八九、糖党の連中でしょうな。
白い剣っぽいのも持ってるし。
案の定、そいつらはエイレ達を見ながらこんな風に言ってきた。
「クックック、貴様らは我々糖党によって糖尿病となるのだ!」
やっぱり、糖党だった。
しっかしあれなのか、糖党の連中。
言葉の始めに「クックック」をつけないと死ぬ、不治の病にかかってるのだろうか。
今のところ全員言ってるんだけど。
何がなんでも言ってるんだけど。
若干嫌になりつつ、俺は定規を取り出して構えた。
「ほう、我らに刃向かうか。面白いかかってこい!」
「お前らはテンプレしか言えないのか、よッ!!」
俺は2人の縄を切った後、近くにいた糖党員に攻撃をする。
だが最弱の吸糖鬼。
深く叩きつけた筈なのだが、相手は平気な顔をしている。
寧ろ笑っていた。
「こいつめちゃ弱いぜ!」
格下と判断した敵は、恐れず例の砂糖剣で俺を斬りつけてくる。
それを俺は寸で避け、カウンターの要領で左手で相手腹部に触れた。
いつぞやのリベンジとばかりに、相手にした左手の能力。
今回は何が来ても良いように、後ろに下がって石を投げた。
だが当たった音はない。
確かめたいが、まだ敵が沢山いる状況。
すぐ別な敵に目をつけながら、一定距離まで後退した。
「ほう、弱いくせに戦い慣れしてるな。北方で鍛えたか?」
「そうかもな!」
俺は2人のいるところまで、石を投げつつどんどん下がる。
相手も威力は理解しているようで、攻撃はしてもこちらに近づくことはなかった。
攻め立てるには今しかない。
俺は何故か気を失っていた2人に声をかけ、起こそうと試みる。
「起きてくれ!」
だが、やはりというか2人は起きそうにない。
こうしている間にも周りの石がなくなってしまい、敵がじりじりとこちらに詰め寄り始めた。
これはいけない。
なんとか2人を起こそうとするが駄目。
気が付けば全員が俺らを取り囲んでいた。
「クックック、正しく袋の鼠だな。さあ糖尿病になれ」
「そんなのごめんだね」
「減らず口を。……くらえ!」
そう言って剣を振りかぶった瞬間。
宇佐美が手を突きだし、何かを敵の腹に当てた。
「なッ!?」
驚愕する敵。
俺らはその一瞬を逃さない。
宇佐美はもう片方の手も前に出すと、呪文のようなものをブツブツ呟く。
俺は先陣を切るだろうエイレの取り残しを殺るため、あの技の準備にはいる。
そしてエイレ。
彼女は敵のいる方目掛け、鬼砲を全力で放った。
なお、今まで説明していなかったが、鬼砲は魔力を凝縮して放つ技だ。
怒りによってボルテージマックスのエイレ鬼砲は、今まで見たことの無い威力を保持しながら、周りの木々や地面ごと敵を包んだ。
「ま、まだだ!」
全滅かと思いきや、リーダー格と思われる奴がこちらに単騎突撃を謀ってきた。
だが遅い。
俺は前使った技、光牙滅斬を敵の身体めがけ射つ。
そして当たった瞬間、宇佐美は目を見開き言霊を紡いでいく。
「焔、炎、火。繰り返すは三度。地獄より出、命を別け合い、緋き門を航れ。嫉妬に狂う妖艷を其の身を借りて宿り放たん!!」
こんな厨二ワードを一秒足らずで読み終え
「肆の罪、『フレイ』!」
そう言い終えた瞬間、爆発のようなとてつもない強大で巨大な炎が相手をのみ込み、女性の笑い声と共に消えた。




