第6話「魔王城に向かおう」
「それじゃあ、出発しよう!」
「はい、マナ様!」
「は~い!」
私たちは街の出口へ向かって歩き出した。
これから向かうのは、先代魔王が住んでいたという魔王城。そこが魔族たちの隠れ家になっているのなら、仲間を集めるための拠点としてもぴったりだ。
そう考えると、自然と期待が膨らんでくる。
「ねぇ、ノゾム。魔王城ってどんなところなの?」
「ん~、昔の魔王様が住んでいたところだよ~!」
「それはわかるよ!」
思わずツッコミを入れてしまった。
「えへへ~。でも、魔族が隠れて暮らせる場所なんだよ~!」
「そこなら、仲間を集めるのにもよさそうだね!」
「はい。まずは拠点を確保することが大切です」
メルがうなずく。
確かに、仲間を集めるにしても、安心して暮らせる場所がなければ始まらない。
魔族たちが人間に怯えることなく過ごせる場所。そんな拠点を作れたら、きっと心強いはずだ。
「よ~し! 魔王城を目指して出発だ~!」
私は世界樹の杖を掲げ、元気よく宣言した。
こうして私たちは、先代魔王の魔王城を目指し、街の外へと歩き出した。
やがて街の出口を抜け、私たちは外へと出た。
街の外まで来たところで、ふと気になることを思い出す。
「ねぇ、そういえば、魔王城ってどっちにあるの?」
「う~ん、強いて言うなら、どこにでもあり、どこにもない、かな~?」
「どういうこと?」
思わず首をかしげる。
どこにでもあるのに、どこにもない? いったいどういう意味なのだろう。
「魔王城のある空間の入口は、条件さえそろえばどこでも開くし、どこにも存在しないんだよ~」
「へぇ~! なんだか不思議だね!」
思わず感心してしまった。
入口がどこにでも現れるなんて、普通の建物では考えられない。どうやら、先代魔王の魔王城は私が想像していた以上に不思議な場所らしい。
「そうだね~! でも、入口を開くには条件があるんだよ~!」
「その条件って?」
私が尋ねると、ノゾムは少し考えてから答えた。
「魔族であることと、人族が魔王城に入る資格があること、かな~?」
「資格?」
「うん! 詳しくは知らないけど、人族は誰でも入れるわけじゃないんだよ~!」
「なるほど……」
私は世界樹の杖に目を落とした。
(魔族であることと、人族が入るための資格があること……。もしかして、この杖が関係しているのかな?)
先代魔王に関係するものなら、何か特別な意味があってもおかしくない。
もちろん、今の段階では確かなことはわからない。けれど、この杖が人族が魔王城に入るための鍵になっている可能性はありそうだ。
「では、どうやって入口を開くのでしょうか?」
メルがノゾムに尋ねた。
「それはね~、実際にやってみればわかるよ~!」
「えぇ!? そんなので大丈夫なの!?」
思わず声を上げてしまった。
条件があると言っていたのに、そんなにあっさり開けられるものなのだろうか。
「えへへ~、大丈夫、大丈夫!」
ノゾムは楽しそうに笑うと、森の奥へと飛んでいった。
「あ、待ってよ~!」
私は慌ててその後を追う。
メルも私の隣を歩きながら、ノゾムについていく。
いったい、どんな場所に入口があるのだろう。
そんなことを考えながら森の中を進んでいると、やがて先を飛んでいたノゾムが突然立ち止まった。
「ここだよ~!」
「ここ?」
私も足を止め、ノゾムの示す先を見つめた。
そこにあったのは、ただの大きな岩だった。
周囲を見回してみても、扉らしきものは見当たらない。
「えっと……何もないけど?」
「ふふ~ん! それじゃあ、やってみよう!」
ノゾムは得意げに笑うと、大きな岩にそっと手を触れた。そして、静かに目を閉じる。
すると――。
岩の表面が、淡く光り始めた。
「わっ!? なにこれ!?」
突然の変化に、私は思わず声を上げた。
岩から広がる光は、少しずつ強さを増していく。
やがて、その光が岩の前に集まり、輪郭を形作っていった。
そして、目の前に大きな扉が現れた。
「おおおっ!? 扉が出てきた!」
「これが入口ですか……!」
メルも驚いた様子で、目の前に現れた扉を見つめている。
ついさっきまで、ここにはただの岩しかなかった。それなのに、今では立派な扉が目の前にある。
本当に、魔王城のある空間へとつながっているのだろうか。
驚きと好奇心が入り混じり、私は扉から目を離せなかった。
「そうだよ~! さあ、入ろう!」
ノゾムはそう言うと、扉を開いた。
その向こうには、見たこともない景色が広がっていた。
「すごい……!」
私は思わず息をのんだ。
扉の先にあるのは、いったいどんな場所なのだろう。
ここから先には、先代魔王が住んでいた魔王城がある。そして、そこを拠点にできれば、魔族の仲間を集めるための大きな一歩になるはずだ。
期待に胸を膨らませながら、私は二人を振り返った。
「よ~し! 行こう!」
私はメルとノゾムを連れて、扉の向こうへと足を踏み入れた。




