第2-27話 幸奪の5人
花城如音「仮にそれが本当だとして、それに何の意味がある?」
幸奪戦争に対しての参政権を持つ幸奪の五人。オーナーいわく、その5人のうち2人は神楽士郎によって奴隷にされているとのこと。しかし、花城にはその行動の意味が読み取れない。2人を奴隷にすることで何が得られるのか全く見当がつかないのだ。その質問にオーナーは自身の推測を交えて答える。
オーナー「神楽士郎を除いた4人は楽人だ。会議の際にも神楽の意見は全く反映されなかった可能性がある。そうしないために、2人の楽人に自身を後押しさせ過半数で可決となるように仕向けた。こんな感じだと勝手に思ってる。」
花城如音「……」
あり得ない話ではないと思い、オーナーの仮説から現在の状況を推測し黙り込む。
花城如音(なら、誰が奴隷にされた?榎宮優?竜位?それとも石井桝田のコンビか?しかし、桝田はともかく石井と榎宮優が神楽に屈するとは思えない。そうなると、、)
その瞬間、花城の目の前に一閃の光線が急スピードで近づいてきた。慌ててそれを避け視線をオーナーに向ける。彼は少し不服そうに語り出した。
オーナー「勘違いすんなよ。さっきまでのはただの雑談。おまけだ。メインが消し合いだってこと忘れんなよ。」
剣を花城に向けながら語る。彼は一つだけ大きく深呼吸をし、ある覚悟を決めた。
花城如音「もうこれ以上、お前に加減というものはできない。たとえ、この手をもう一度汚したとしても…」
オーナー「そうだ、俺を倒せば俺が奪った記憶はお前のもの。神楽という男だけじゃなくその奴隷の動きも止められるかもしれない。」
花城如音「消える準備はいいか?」
オーナー「くどい。」
オーナーの即答を最後に2人は一言も発さなくなった。2人は瞬間という短さで移動と攻撃を繰り広げ続ける。花城如音とオーナーの二つの剣がぶつかり合い、その衝撃波が辺りを浮遊する。互いの斬激をかわし続け、一瞬さえ相手を捉えることを怠らない。本気の戦闘。幾度かこの斬激を繰り広げ続けたのちに花城は戦いかたを変え始める。斬る対象を本人から周りのものへと変更し地を切り裂きそれによって生じる床の欠片や舞う埃によってオーナーの視界を可能な限り塞ぐ。果てには近くある柱や天井の一部までをも切り裂きその柱や天井の倒壊により物理的な攻撃範囲を大幅に拡大させる。しかし、それでもオーナーには一撃も与えられない。自身に向かって倒壊していく柱や天井を一瞬でどこに落ちるのか判断し、避け続け倒壊し終えた柱を乗り移りながら花城如音へ接近する。接近してくる際に放たれる目眩ましや地の片鱗を使った攻撃をも自身にある乗り移りを利用してかわす。彼が乗り移ることのできる対象は人間だけではなく、無機物にも作用するらしい。
オーナー(まぁ、乗り移れる時間は人間より圧倒的に短いが。)
花城はオーナーがナノサイズの微生物にも近いサイズまで縮小され、それが倒壊されていない他の柱へ移動するのを確認し、攻撃対象をその移動した柱へ向ける。迫り来る花城の剣に間一髪で柱から抜け出すことのできたオーナーは花城が柱を斬っているその一秒ほどの隙を狙って接近する。0.2秒ほどの時間で花城へ近づき巨剣を花城へ向ける。花城はその事実に気づき近づいてくるオーナーに対し、現在進行形で切断しているその柱をオーナーの方へ投げ飛ばす。オーナーはその柱を鮮やかに細切りにする。細切りにされた破片は至るところへ散らばりそれは壁や床を大きく傷つけるものへと変貌する。花城は柱を切り終えたあとは一歩も動かずにただ欠片が飛び散るのを感じ取っていた。そして一度互いに床に地をつける。
花城・オーナー(らちが明かない。)
ここまでの戦闘でそれを悟り、オーナーは戦いかたを変える決断を心の中でした。次にオーナーが行ったことは単純明快。クラインドだった。
オーナー「スペースアラウンド!!」
オーナーの掛け声とともに花城如音に向かって超巨大な光線が一直線に近づいて行く。オーナーは花城の視界がその光線の光にしか向けられていない状態を利用して自身の剣で地を削り地の欠片を光線のあとに飛ばす。飛ばされたその無数の欠片は光線とほぼ同時の位置まで進み、その欠片の一つにオーナーは乗り移る。無論、それをしたことを花城は見ることができない。光線が放たれたあとに地の欠片が飛ばされたこともそのうちの一つにオーナー自身が乗り移ったことも花城が気づいているわけがない。花城は迫り来るそのクラインドと地の欠片に対して動じず、ただ右手に持つその剣を振り回し続けた。地の欠片はことごとく弾き飛ばすことに成功し、その飛ばされた欠片は他の壁や柱に激突し爆音を奏でる。そんな中でも花城は剣を振り回し続ける。やがてオーナーが潜伏している地の欠片が花城のもとへ向かう際、オーナーは花城の剣が当たるギリギリのところで潜伏をやめ、姿を現す。現した瞬間、オーナーは自身の巨剣に再度クラインドを打ち込もうとする。
オーナー(至近距離のクラインド、回避は不可能だ。)
そうして再度自身の巨剣に再度クラインドを放とうとする。再度スペースアラウンドと唱えようとした瞬間、オーナーの口はなぜかしゃべることができなかった。オーナーの顔が突如として上へ向かされその事実に戸惑い口を開くことを失念させたからだ。その一瞬の戸惑いを花城は見逃さない。花城はオーナーにできた一瞬の隙をつき自身の剣でオーナーの体を切り裂いた。切り裂かれたオーナーは飛ばされるが、自身の巨剣を地面に突き刺し何とか着地に成功する。このときにようやくオーナーは自身に隙ができてしまった理由を悟った。花城如音はクラインドと地の欠片の攻撃を受ける際、剣を振り回すことで地の欠片の被弾を防いでいた。クラインドを防ごうとしなかったのはオーナーの放つクラインドは広範囲であることに強みを置いているため、他のクラインドとの殺傷力はやや劣る。それを放たれた瞬間に悟った花城は自身の持ち前の耐久力で十分耐えれると判断したのだ。そして地の欠片を弾く際、花城は自身で飛ばした地の欠片を何個か左手で掴みとっていたのだ。それをオーナーが姿を現し、新たな動きに出ようとしているところに投げることで彼の二段階での奇襲を防ぐことに成功させる。オーナーは改めて花城の技術と戦闘IQの高さに強く感心した。
オーナー(なるほど、今まで極楽が平和を保てていた理由がわかった。花城如音という存在は極楽にとって神や天使など崇拝しすがることができる最強の存在だからだ。)
心の中で花城如音を称賛し、彼の強さを改めて認識する。花城もまたオーナーという男の強さを再確認させられていた。
花城如音(あの一撃は本気で斬ったつもりなんだがな。)
花城が唯一決めることのできたあの一撃。あれは花城の本気が込められているが、オーナーの服が一直線に切られているだけで彼は傷一つついていない。彼を倒すことの難しさ、退けさせることさえも困難であると分かり、花城もまたオーナーに対して警戒心を強く抱いている。
オーナー「今の一撃、【普通だったら】致命傷となって俺の敗けとなっていたはずだ。」
自身の服が切られたあとを見つめながら語るオーナーの声は穏やかさを急に帯始めひとりでに続ける。
オーナー「正々堂々の勝負、それは正面からの戦いだけではない。あらゆる奇襲や戦略を用いた戦い、知力も武力も何もかもすべてを費やして尚、お前に一撃与えることはできなかった。…フッ、、俺の敗けだよ。」
巨剣から手を離し、両手を上げ始める。あまりの唐突さに花城は言葉を失う。そんな花城をみてオーナーは彼に何かを喋らせることに決める。
オーナー「何が望みだ?情報か?部下の殲滅か?それとも手助けがいるとでもいうか?」
花城如音「もらえる報酬は一つだけか?」
オーナー「たった一撃で全部やるつもりはねぇな。全情報の開示、部下を大人しくさせる、俺が味方に加わる、この三つのうち一つ選べ。」
この選択に花城はしばらく熟考する。どれを選ぶのが一番今後に効果的なのか、失敗は許されないというプレッシャーのもと必死に頭を回転させる。しばらくして花城は答えを出した。
花城如音「全情報の開示、これを求める。」
オーナーはそれをきいて少し笑い、快諾した。
オーナー「いいだろう。何もかも全て話してやるよ。」
~数十分後~
伊美鳥瞰「どうした、の?また戻ってきて、、」
伍代、木崎、佐藤の三人は花城のもとへ向かうところだった。しかし、その先には伊美という女が待ち構えていたのだ。
伍代翔地「あなたこそどうしたんですか?そんなところに一人で。」
オーナーのところに戻るわけでもなくなぜかその場に居続けている理由を尋ねるも伊美は周りをキョロキョロと見渡しているだけで返答はなく、話をすり替え尋ね返された。
伊美鳥瞰「ねぇ、、ここにくるまでに、誰か、みましたか?」
木崎印「その誰かって誰のこと指してんだよ。」
腕を組みながらそう指摘する木崎の姿に伊美は驚きを見せるも木崎の質問には答えた。
伊美鳥瞰「悪魔…」
佐藤要「悪魔…?」
伍代翔地「どういうことだ?」
伊美の答えに三者同様困惑を示す。伊美はそれを気にすることなく突如として攻撃に躍り出た。
伊美鳥瞰「話は、おわりです。さよなら、」
彼女の拳が伍代のもとへ近づいてゆく。
木崎印「くっ、、」
それを木崎が受け止め伊美の右こぶしを封じ込める。
伊美鳥瞰「やっぱ、、そうなんだ…」
異次元の怪力を持つ伊美の拳を力では全く芳賀立たなかった木崎が受け止めることができている事実を前に伊美も木崎の状態を理解した。そしてそれを見ていた佐藤も…
佐藤要「木崎、、お前…」
佐藤が木崎の状態に気づくなか、伍代は伊美の額に手を触れる。
伍代翔地「佐藤さん!!優先することを考えてください。木崎さんの身を案じたなら一刻も早く彼女を倒すことが先決です!」
そういい終えた瞬間、伊美は伍代に向けて拳を振り上げる。ある程度の情報を抜き終えた伍代はそれをかわし、伊美から距離を置き始める。伍代は木崎の額に手を触れながらテレパシーを通じて伝える。
伍代翔地(木崎さん、あなたに私が彼女から抜き取った情報をお渡しします。私は花城さんのもとへ向かうのでここはお任せします。佐藤さんをどうか、、)
木崎印(了解した。)
やり取りを終え、伍代は木崎と佐藤を置いて先へ行く。取り残された木崎は武器を構え、佐藤もまた迷いはあれど戦闘の準備を整える。
伊美鳥瞰「じゃあ、再戦、しましょうか。」
深みのある笑みを浮かべながら彼女は拳を握った。
~同時刻~
オーナー「俺の知ってることは全部伝えた。さぁ、花城どうする?」
花城はオーナーに一撃与えることに成功し、情報の開示を要求した。オーナーは望み通りすべてを話し終え、それを知った花城に決断を迫らせる。
花城如音「もし、それが本当なら…」
花城如音「今の極楽はaやbより悲惨なことになっているぞ。」
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