第2-24話 有情?
米舞生異渚「お前ら頭無いの?どうやっても倒せないって理解してないの?」
人差し指で自身の頭をつつきながら、佐藤と葛城を侮辱する。実際、2人とも米舞生異を倒す算段がまだついていなかった。
佐藤要「葛城、お前の種性核はどんなだ?」
横にいる葛城に小声で尋ね、葛城はその意図がわからぬままとりあえず答える。
葛城康介「アナリストだけだが?」
佐藤要「なら問題ない。俺に数値をくれ。」
葛城康介「…は?」
佐藤要の種性核はクラッシャーのはず。八次の際に種性核が新しく追加されたとはいえ、その種性核はまだわかっていない。その状態で数値を与えることにどれだけリスクがあるのか佐藤が知らないわけでもない。だからこそ、彼の言動に葛城は疑問を覚えるばかりであった。
佐藤要「触れたら分かる。早くしろ。」
佐藤の言葉に促されるがまま葛城は佐藤の額に手を触れる。手を触れたら数秒後、すべてを理解した。
米舞生異渚「…まだ?」
十秒ほど葛城と佐藤だけの意志疎通状況を見せられていることに少し不服を覚え、腕組みをしながら足を動かし、音をたてる。その不服のサインを行ってから数秒後、佐藤と葛城は動き出した。
佐藤要「ファースト」
葛城康介「セカンド」
佐藤要の右手には巨剣、葛城の両手にはそれぞれグローブ型の武器が投影される。その武器を装備し、米舞生異のもとへ走り寄る。
米舞生異渚「どこまで楽しませられるかな?」
変わらずの余裕を見せ、米舞生異は自身が右手に持つ槍を構え二人の行動をギリギリまで見計らう決断をした。
米舞生異渚(この佐藤ってやつは知らねぇが、葛城のスピードがさっきより落ちているってことはその佐藤のスピードに合わせている可能性が高い。そう考えるとこいつらの狙いは…)
二人の行動を高速で分析し、自身の行動の最善を考える。それができるほどにこの二人の攻撃・移動速度は米舞生異にとって遅すぎるものだった。
米舞生異渚(こいつらの狙いは恐らく俺の油断を生じさせ、時計を消滅させること。時計が壊れれば必然的に俺の存在も消滅すると考えているんだろう。まぁ、、無意味なんだがな。)
米舞生異が不敵に笑ったところで、二人の攻撃が始まる。葛城の両手にあるグローブがたの武器が米舞生異の顔面向かって近づいてゆく。米舞生異はそのグローブを自身の両腕をクロスさせながら受け止め、葛城の両手を弾き返す。その背後に潜んでいる佐藤の存在を対処すべく。葛城が攻撃している間に背後を忍ばせていた佐藤は自身の巨剣を米舞生異の時計に向かって近づけていく。それをわかっていたかのように察知していた米舞生異は佐藤の巨剣が自身の時計に当たる直前に剣をつかみ、その剣の動きを封じる。
米舞生異渚「この程度の戦いかたで勝ち上がったとでも?笑えるな。」
佐藤要「お前、、ほんとに何者なんだよ。」
米舞生異渚「それ説明すると結構長いんだよ。」
動きを封じられた剣を佐藤は力を込めて無理やり動かそうと試みる。力量の差でいえば、佐藤の方に軍配が上がり、その剣は徐々に動きを取り戻す。動きを封じることを諦めた米舞生異はとっさに剣から手を離し、もう片方の手に持っていた槍で佐藤を切り裂こうとする。佐藤は米舞生異がとっさに手を離した瞬間に、その動きを反射的に感じとり、すぐさま剣を構え槍の動きを剣で受け止めることに成功する。その状態を好機とみて、背後から葛城が動き出す。上からグローブがたの武器を振り下ろすかのように近づいてくるその攻撃を米舞生異はとっさに左に避ける。避けた瞬間に佐藤もまた動きだし、巨剣を振りかざす。それを軽く弾けば地上に舞い降りた葛城からのグローブでの攻撃が始まる。グローブでの攻撃は上から下に振り下ろすかのような攻撃でスピードは米舞生異の攻撃速度とほぼ同じの域にまで達している。その攻撃をかわせば、また佐藤の攻撃が始まる。当然、それをかわしても葛城の攻撃が始まる。こうして佐藤と葛城はいつの間にか完璧な連携攻撃を構築するようになり、米舞生異に反撃の隙を与えず、ただ防ぐ、かわすのみの選択を強いられることとなった。米舞生異はそんな二人の攻撃をいなし続けながらなおも考える。
米舞生異渚(なるほど、この二人の連携で攻撃の隙を与えないのはいい作戦だ。だが、それが別に有効打となるわけではない。良好策ではあっても有効策ではない。この連携のあとに何かがある。)
そう考えるもその答えがつかめずに平静を装いながら頭を悩ませていた。この拮抗状態から数分後、ついに二人は動き出す。二人の攻撃の早さや強さが急激に変化し、米舞生異もその異変に気付きだす。
米舞生異渚(来るか!!)
獰猛に笑い、二人がどう戦うのかを楽しみに待つ。
米舞生異渚(考えた結果、こいつらがなにするかはわかんねぇ。だったら、、それを全力で受けてやる!!)
米舞生異渚「来い!!俺を消してみろ!」
高らかに、楽しそうに叫ぶ米舞生異の声に応じるかのように二人の考えた有効策が実行されようとする。米舞生異はそこから一歩も動かず、二人の攻撃を待ち構える。
葛城康介「シクスデバイド!」
最初に動きを見せたのは葛城康介。彼は6つの武召喚数値を消費し、身体強化に4つ、両手の武器の強化にそれぞれ1つずつ数値を割り当てる。葛城の動きは米舞生異のスピードにを越え、瞬時に米舞生異のもとまで接近する。その瞬間に、葛城のグローブが米舞生異の頬をかすめる。かすめられたほほには何の傷もなく、米舞生異は反撃の一手として至近距離にいる葛城を蹴り飛ばす。
米舞生異渚「もっと見せてみろ!!」
蹴り飛ばされ全身が床に叩きつけられた葛城を鼓舞するかのように叫び、葛城はまた立ち上がる。またも瞬時に至近距離にまで接近し、米舞生異にたいしての攻撃を試みる。その攻撃はかすることは幾度かあれど、まともに当たることは一度もなかった。それでも葛城の攻撃は止むことを知らない。そして、
葛城康介「フォースサモン!!」
4つの武召喚数値を身体強化にさらに重ねがけする。ここまで強化されると米舞生異の本来のスピードはゆうに上回ることとなり、米舞生異では葛城の攻撃を目をで追うことさえ難しくなるときが生まれる。ここまで強化された葛城の攻撃は防がれる、よけられることはほぼなくなり、かすりを含めれば全ての攻撃があたった。しかし、その全ての攻撃が有効打となり得ることはなかった。
米舞生異渚「力や早さの問題じゃねえんだよ。」
攻撃を続けていた葛城の腕を突如としてつかみ上げ、少しあきれた表情と声に変わった。
葛城康介「あぁ、それは十分理解した。なら、これならどうだ?」
調子を変えず、挑発気味に語る葛城は視線を上に向ける。米舞生異もつられて上を向くとそこには佐藤要がこちら側へ降りてくる真っ最中の状態だった。
~戦闘を始める前のこと~
葛城は佐藤の額に手を触れることでアナリストの種性核を利用したテレパシーを行っていたときにさかのぼる。
佐藤要(やっぱり、思った通りだ。)
葛城康介(どういうことだ?)
佐藤要(今こうしてお前が俺に触れているときお前は俺の情報を解析できているだろ。それと同じように俺もお前の情報を今解析できているんだよ。)
葛城康介(なら、お前も…)
佐藤要(あぁ俺もアナリストだ。)
佐藤は米舞生異を蹴飛ばした際にほんのわずか一瞬だけ異変を感じた。なぜか頭の中に米舞生異という名前が刻まれていたのだ。その異変からもしかしたらと推測し、佐藤は葛城に額に触れさせ、自身が葛城の情報を解析できているのかを確かめた。そしてその予想は見事に的中し、葛城についての情報が頭に流れる。佐藤が頭に流れてくるのは葛城が監視者であったときのこと。神楽士郎に命じられ七次の潜入に向かったこと。退避命令が出されたから俺たちのもとを離れたこと。さまざまな葛城の記憶が流れ佐藤はどうしてもひとつだけ質問したくなってしまった。
佐藤要(なぁ葛城、、あのとき俺たちを守ってくれたのは、命令だったからか?)
葛城康介(……違う。俺の意思だ。)
佐藤要(なら何で!!そのときみたいに俺たちのピンチを救ってくれなかったんだ!!)
佐藤の顔は下に向けられ、表情は葛城にも旗からみていた米舞生異にもわからない。佐藤もどんな顔をしているか自分でもわからなかったが、何かが零れるのをみられたくなかったため顔を下げた。葛城は返答に困り、テレパシーでも無言のままだった。
佐藤要(いや、いい。話を戻そう。)
葛城からの返答を諦めたら佐藤は話を戻し、米に対する対処法を考えることにした。
佐藤要(あいつがなぜ攻撃が通用しないのかはわかるか?)
葛城康介(いや、わからない。アナリストで調べれば少しは分かるはずだが…)
佐藤要(触れることが難しい…)
二人でどうすれば米舞生異に攻撃が通用するのかを考え、佐藤がひとつ思い出したかのように語る。
佐藤要(クラインドなら当たるんじゃないか?)
葛城康介(クラインド?)
佐藤要(種性核の攻撃だよ。俺があいつを蹴飛ばした際に情報が入ってきたってことはアナリストの種性核が作用したということ。なら、クラッシャーの種性核も通用するはず。)
葛城康介(…やってみるか。ただし、チャンスは一回限り。できるだけやつの注意を散漫にさせてから使え。)
そうして葛城は自身の武召喚数値を20と少し分け与えた。
~そして現在~
佐藤要(今までの攻撃はお前を油断させるためだけのブラフ。このクラインドを当てるためだけの!!)
米舞生異の真上めがけて降ってくる佐藤。米舞生異はちかくにいる葛城の存在によって逃げることはかなわない。
葛城康介「佐藤、やれ!!」
葛城の叫びとともに佐藤は自身のクラインドを繰り出す。かつて友人であったはずのものと同じ技を。
佐藤要「ワンイーター!!」
必中の技であるそのクラインドは佐藤が叫んだ瞬間に赤い一つの光線となって米舞生異のもとへ打ち出させれる。打ち出された瞬間、米舞生異の回りに衝撃波がうまれ、白い煙が辺りを包む。葛城は米舞生異のもとを離れ、佐藤は自由落下したその肉体を地におとし、煙を気にせず米舞生異のもとへ走り寄る。
佐藤要(あれで倒せていないにしてもダメージは受けたはず。怯んでいる間に額に触れて情報を抜き取れば…)
そう全ての企みを成就させるべく足音を立てながらスピードを早め煙の中を駆ける。そして米舞生異のもとまで近づいたときだった。
米舞生異渚「別に痛くはねぇよ?」
佐藤要「…え?」
種性核の攻撃を受けてもなぜか平然としているその姿をみて佐藤は理解ができず数秒立ち尽くした。その数秒をつかれ、米舞生異は佐藤に強烈なけりをお見舞いする。蹴飛ばされた佐藤は盛大に吹き飛びが、なんとか受け身をとることは成功し、幸い軽傷ですむ。しかし、それはいまの蹴りの話だけであった。
米舞生異渚「案外やんじゃん!!種性核の攻撃なら通用する。間違ってはいたけど、考え方自体はすっげぇ好きだぜ。」
少年のような口調で賞賛し、佐藤の首に槍を構えている。
米舞生異渚「あんがとな!!結構面白かった!!」
彼の槍が振りかざされその槍は佐藤の首を貫こうと進み始める。佐藤は時計の数値がほとんど残っていないことを確認し、心のなかで敗けを感じていた。
ブスッ!!!という音が鈍く響いた。佐藤はその音を聞こえなかった。目に映った光景に脳のすべてを理解に消費してしまい、聴覚に割く余裕がなかったからだ。
佐藤要「なんで、、なんでだよ…」
困惑しながら震えた声で脆く叫んだ。
佐藤要「葛城!!」
葛城の胸には槍が突き刺さり、大量の血が床を染めていた。
ゲーム開始から17時間
残り参加者3994人




