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ハッピーエンドを求めて  作者: 蓮翔
第二章 真相編
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第2-23話 無傷

我殺狂助「質問に答えたら遊んでやる。お前は何者だ…?」

柳原敬太「えー、僕~?うーーん、」

地獄に少年がいるという事実、そして坂縞含めた4人の参加者をとらえられている事実が重なり、我殺たちにはこの少年が不気味に見えて仕方がない。幽霊や幻覚の類いであってほしいほどに。

柳原敬太「よくわかんないだよねー。気づいたらこの地獄にいたっていうか。」

桐生亜衣「どういうこと?」

柳原敬太「まぁ細かいことはいいじゃん!!遊ぼ遊ぼ!!」

言葉遣いや調子だけでいうなら彼は年相応の純粋無垢な少年だ。しかし、場所と状況の異質さによってその正しい言葉遣いや調子でさえ今は狂気に感じる。これ以上何かを聞き出せないと悟り、我殺は覚悟を決める。だが、我殺が遊びを了承する前に一人、割って入ってくる男がいた。

荘重飯嶌「ねぇねぇ、俺も遊んでいい?」

膝を手につけ、少ししゃがみ優しく尋ねる。

柳原敬太「いいよ!!じゃあ2vs1でお姉ちゃんはお兄ちゃんたちのあとね!!」

少年は快諾する。我殺は何を考えているんだと言いたげな顔、いやもう表情でそれをいっているが、荘重は我殺に一言耳打ちした。

荘重飯嶌「あの子、多分ここにいる人間じゃないです。」

我殺狂助「…は?」

柳原敬太「それじゃあ始めるね。ゲームスタート!!」

荘重の言葉に理解を得られず、柳原とのゲームが始まった。そして柳原がゲームスタートと叫んだ瞬間、彼はどこかへ姿を消した。

桐生亜衣「え?消えた…?」

我殺狂助「多分、あのガキの種性核がクリエーションとかで今のはただ単にどこかへワープしただけだろう。」

荘重飯嶌「とりあえず、地下にいかないと。」

そして駆け足で現在地からもっとも地下鉄へと続く地上の階段へと向かい始める。


伍代翔地「bの映像、ちょっとだけ見ますよ。」

aの映像を切断し、慌てて画面を切り替える。木崎や佐藤、花城がいる映像へ目を向け、一瞥したのち席から立ち上がる。

伍代翔地「中嶋さん、aの会場の位置だけ教えてください。」

カイリ「え!?」

理解できずに困惑しているカイリをよそに中嶋は微笑むようにきいた。

中嶋芽依「aの方に行くんですか?」

伍代翔地「あっちの会場は僕の想像以上に危険な状況にある。坂縞さんや我殺さんでさえ、無事では済まないかもしれない。」

伍代翔地「説明はあとでします。とりあえず、今は黙ってついてきてください。」

事情を聞こうとするカイリを事前に黙らせ、一刻を争うほどに動揺を示す。

カイリ(何だ?一体何がわかったんだ?)

中嶋芽依「この建物は10階建ての縦構想のビルです。あなたたちが最初にいたのは2階、ここは10階です。1階まで降りてそこから西に60キロ離れた先にaの会場があります。一度入ればゲームが終わるまで出ることはできません。」

伍代翔地「十分です。あとはなんとかします。」

中嶋からの簡略な説明を聞き終え、伍代は早歩きに近いスピードでカイリに近づき、彼の右手に触れる。

伍代翔地「ワープ」

その瞬間、伍代とカイリはこの監視ルームから完全に姿を消す。ただ一人残された中嶋は大量のモニターに映し出されている映像をみて少し口を歪ませる。

中嶋芽依「そろそろ終わりかなー。この仕事も。」


~一方bの会場の二階層にて~

米舞生異渚「さっすが、やっぱ速さをポジションとしているやつは並の速さじゃねえな。」

葛城康介と米舞生異渚が戦闘を繰り広げ、何十分か経過し、米舞生異はその時間での戦闘を通して自身を上回る葛城のスピードを素直に称賛していた。

葛城康介(なぜだ?なぜこいつに攻撃が通用しない?)

一方葛城は米舞生異の称賛には一切耳を貸しておらず、数十分の間に行った全ての攻撃が米舞生異に全く通用していないことに頭を悩ませていた。攻撃の衝撃自体は通用する。しかし、ダメージは全く入らない。要は傷つけることができないのだ。

葛城康介(一体どんなカラクリがある?どんな種性核でもそんなことできるわけがない。)


~さらにそのまた一方で佐藤要・木崎印・伊美鳥瞰との戦いでは~

佐藤要「ぐっ、ぅぅぅぅぅ!!」

伊美鳥瞰「すごい、、、すごい、です!!君、強い、強い!!」

佐藤要と伊美鳥瞰の力での押し合い、伊美は自身と対等に渡り合えるバカ力の持ち主に興奮を強めていた。

佐藤要「ぐっ!!」

埒があかないと判断した佐藤は互角での力比べを強制的に中止し、足での攻撃に移る。右足を伊美の腹部に蹴り当てようとするが、伊美はかわそうとも防ごうともせず、その攻撃を直に受ける。ドゴーーン!!という衝撃が鳴り響き、伊美を倒せたかのように思えたが、彼女はその場から一歩も動いておらず、平気そうに、不満を垂らすように一言呟いた。

伊美鳥瞰「足は、、イマイチ、ですね。」

残念そうに彼女はお返しの右足の蹴りを開始する。彼女の右足の行く先はもちろん佐藤の腹部だった。至近距離でそれを受けた佐藤は過去最高の勢いで吹き飛ばされ、木崎や伊美の視界から離れるほどに遠くへ行く。数秒後に木崎の耳にわずかな衝撃音が聞こえ、改めて彼女の警戒を強める。

木崎印(武召喚なしでこの威力、普通じゃない…)

伊美鳥瞰「あなたは別に、、好みじゃない。」

彼女は一度視界を木崎に向け、言い終えた後にまた木崎を見なくなった。そして木崎を襲おうとはせず、ため息をつきながらひとりでに歩き出す。

木崎印「おい、どこ行く気だ!!」

伊美鳥瞰「興味がないので、オーナーのもとに戻ります。」

木崎印「そのオーナーってやつがお前らの長か?」

伊美鳥瞰「そうですね。私は本来【あの人たちとは別の人間】ですけど、仲間に入れてもらえたので。」

木崎印「別?どういうことだ?」

伊美鳥瞰「それでは。」

木崎の質問には答えず、そのまま歩き出す。だが、木崎にとってこれは見逃せる状況ではかった。彼女と戦って数十分、彼は一度も触れることができていない。彼女の持つ情報を何一つ抜き取ることができないうえに、みすみすとオーナーのところへ返すわけにはいかない。

木崎印(オーナーと戦って勝機があるとは思えない。なら、見逃されているこの今しかない。)

そう考え、木崎は彼女に向かって走り出した。気づかれずに情報を抜き取るのは不可能。ならば、その気づいた頃とほぼ同時に情報を抜き取ればいい。

木崎印「ファースト!!」

自身の両足に武召喚を施し、跳躍力を強化させる。それを肌で感じ取った瞬間に両足で地面を蹴り、全身を浮かし、彼女に向かって飛びかかる。

伊美鳥瞰「めんどくさいなぁ、、」

木崎がジャンプしたと同時に彼女はそんな小言を垂れ流し、振り返る。

伊美鳥瞰「ファースト」

木崎の手が彼女の頭に触れたと同時に、彼女の右手には武召喚が施され、その右手は木崎のほほに当たる。その瞬間、木崎の顔は彼女の右手の軌道に沿って動かされ、やがて全身がその軌道に乗る。彼の全身が地面へと激突し、爆音を奏でたと同時にその地面は割れ、大きなへこみができた。

伊美鳥瞰「情報を抜き取っても、それを伝えられなかったら意味、ないですよね。」

もう聞こえていない木崎に語りかけ、彼女は歩き出す。彼女が振り向くことは二度となく、木崎の身体はじわりと周りに粒子が生成され始めた。彼の身体はもう終わりを迎え始めようとしていた。


佐藤要「ぐ、う、ぅぅ」

伊美鳥瞰に吹き飛ばされ壁に激突し、半ば壁にめり込むほどの衝撃を受けた佐藤は痛みに悶えながら辺りを見渡す。木崎や伊美の姿はどこにもなく、少し離れた先に二名ほど人影があった。

佐藤要「だれ、、だ?」

視界はまだ安定せず、ぼんやりとした目が正常の視界に戻るまで目を細めながら、状況を把握する。どうやらこの二人は戦っているようだ。高速での戦闘で、片方はあるとあらゆる攻撃を模索し、もう一方はその攻撃を避けることも防ぐこともなく受け続けている。

米舞生異渚「そろそろ諦めたら?何度やっても無理だよ。」

わずかにその言葉が聞こえる。その声が聞こえたとのちに佐藤の視界はもとに戻り始めた。そしてその光景に目を奪われる。

佐藤要「え?」

攻撃を続けているもの、そのものはかつて第七次の幸奪戦争にてともに戦った仲間だったもの。現界からの名を知らなくなった友人とともに3人で戦い、そのものの知識やリーダーシップのおかげで序盤の殺戮合戦を生き延びた。しかし、彼はある日突然姿を消した。何もいわず、突如として。そして今、佐藤の目の前にはそのものとの再会が果たされている。

佐藤要「葛城…?」

葛城康介「くっ、、」

葛城は佐藤の存在にまだ気づいておらず、必死に米舞生異にたいしての攻撃を続けている。

米舞生異渚「そろそろ飽きた。」

その瞬間、米舞生異は葛城の拳を手で受け止め制止させる。受け止めた手は握り手へと変わり葛城の拳の自由を奪う。

葛城康介(まずい!!)

米舞生異渚「ファースト」

葛城が焦りを汗で表現しているなか、米舞生異は槍を生成させその槍を葛城に突き刺そうとする。葛城の片手は動かず、それを避けることは物理的に叶わない。

米舞生異渚「死ね。」

米舞生異の槍が動く。葛城は目を瞑り、せめて急所には当たらぬよう槍の動くであろうところに先回りして自由な方の片手をつき出す。槍がその片手に刺さるであろうときだった。葛城の前になぞの衝撃音が流れる。いつまでたっても槍は当たらず、衝撃音が流れてからは何の音もしない。何かと思って目を開けた瞬間に目の前には米舞生異ではなく佐藤が立っていた。そして佐藤は葛城に向かって拳をつき出す。

葛城康介「ぐはっ!!」

佐藤の拳が当たり腹部に衝撃が伝わる。反射的に前傾姿勢になり視界は下へと向かれる。佐藤はそれを気にも留めず、今度は葛城の胸ぐらをつかみ一喝する。

佐藤要「どこで何をしていた!!」

葛城康介「……」

佐藤要「ちっ、、」

何も答えない葛城に舌打ちし、胸ぐらを掴むのをやめる。二人の視界は米舞生異の方へ向かれる。このときに葛城はようやく理解した。米舞生異が自身に槍を突き刺す前に佐藤が米舞生異を飛び蹴ることによって、それを防いだのだと。

米舞生異渚「痛くはないけど、、飛び蹴るのは酷くね?」

床に倒れていた米舞生異は起き上がりながら文句を垂れ流す。

葛城康介「佐藤、あいつは…」

佐藤要「なぜか傷つけることができない。そうだろ?」

蹴った際に感じた違和感から推察し、米舞生異の特性を理解したことに少し驚きながらも無言で肯定を示す。

佐藤要「話は後だ。今回は一緒に戦ってくれるよな?」

佐藤からの痛い質問に葛城は一言だけ返事をする。

葛城康介「あぁ。」


ゲーム開始から17時間

残り参加者4010人


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