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ハッピーエンドを求めて  作者: 蓮翔
第二章 真相編
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第2-15話 監視

桝田小春(あり得ない。どうやってあの檻を破った…?あの檻も拘束具も武召喚数値が施されていて、生身の力じゃ到底外すことはできない。)

今起きているこの事象に桝田の脳は理解にまでまだ及んでおらず、混乱状態にあった。それを気にも留めず、伊敷季と花城は二人だけの会話を始め出す。

伊敷季毎伽「如音、時間がない。俺の数値を3つだけ与えておく。とりあえずはそれでどうにかしてくれ。」

花城如音「あぁ、感謝する。」

伊敷季は花城に3つの武召喚数値を与え、そのときにようやく桝田も動きを見せる。

桝田小春(とりあえず、理解は後回しだ。起きたものは起きたんだ。悪魔を呼べばいい。)

桝田小春「後悔しても知らないですよ。」

そう自慢げに啖呵を切り、悪魔の召喚を始めた。それとほぼ同時のことだ。

花城如音「多分こっちのセリフだな。」

桝田小春「…え?」

いつの間にか、桝田小春の真横に花城如音が立っていた。またも桝田は事象に対する理解に苦しみ、一秒だけ膠着していた。その一秒が経過したのち、桝田小春の意識は途切れた。バタン!!という人が地面に衝突する弟だけが響き、そこからは花城の足音と話し声しか聞こえなかった。

花城如音「こいつはもう悪魔を召喚したと思うか?」

伊敷季毎伽「とりあえず、こいつの弟に会いに行くか。そいつの近くに悪魔がいればそういうことだろう。」

花城如音「俺は何をすればいい?俺の今の身分じゃ一人で極楽へ向かうことはできないぞ。」

伊敷季毎伽「あぁ、わかってる。だからお前には監視者のところへ行って探ってもらいたい。」

花城如音「了解した。」

伊敷季毎伽「二日後、また会いに来よう。それまでにある程度掴んでおけ。」

その言葉を最後にしようとし、伊敷季は走り出した。

花城如音「伊敷季!」

花城の叫びに伊敷季の足は止まる。

花城如音「消えるなよ。」

伊敷季毎伽「…お前もな。」

こうして二人は別れた。悪魔の進行を止めるため、未知の脅威を暴き排除するために。極楽のために行動する伊敷季と全ての人のために行動する花城の利害が一致したための賭けとなる共闘である。


花城如音は地下牢から地獄に続く道を発見する。極楽から地獄へ行くことは容易だが、その逆は至難の業。というのも、地獄から極楽へ戻るには管理者の生体認証が必須なのである。管理者から迫害された花城如音には1度地獄へ向かってしまえば、もう戻ることはできない。しかし、彼に迷いはなかった。

花城如音「…暴いてやるよ。あいつらのためにも。」

そして彼は地獄へ舞い戻った。



一方極楽の地下牢にて

才原清一「おい、桝田!何だこの化け物どもは!」

桝田結城「知るかよ!俺だってわかんねえよ。こんな気持ち悪いやつら!」

桝田結城と才原清一、この二名は現在、花城如音と伊敷季毎伽に会おうとしたところ、謎の凶暴な二体の生命体に出くわし必死に逃げている最中だった。車椅子にのっている才原を仕方なく桝田がハンドルを握り、共に逃げている。逃げているのは本能的に理解しているからだ。この化け物にまともに戦っても勝てない。ただ蹂躙されるだけだと。

才原清一「花城如音に会わせてくれるっていうからここまで来たんだぞ!」

桝田結城「お前、別に自分の力で来たわけじゃねえだろうが。」

いがみ合う余裕などミリもないなか、必死に口論と逃走を繰り広げているその状況には化け物の咆哮が響いていた。

「ラユ、、メ、レ」

「モトユ!!モトユ!!」

咆哮の中に、二人には理解のできない言葉が発せられたのを聞き取れることはできず、ただ死の距離が縮まっていくばかりであった。

桝田結城(くっそ、どうする?伊敷季さんのところとは反対方向に逃げたから、応援を呼べないし、何より姉ちゃんが巻き添えになる。俺だけでも戦うべきか…?)

そう考えていると、もうすぐ近くに化け物は存在していた。

桝田結城「ちっ、、セカンド!!」

車椅子から手を離し、覚悟を決め戦闘の意思を示す。桝田の両手にはそれぞれ斧が投影される。

桝田結城「才原!てめぇを守る余裕は多分ない。自分の身は自分で守れ。」

そうして、桝田は二体の化け物との戦闘を開始した。化け物はナイフや剣を握っており、それぞれ独自の戦い方をしている。剣を持った化け物は桝田のもとへ接近しながら、剣を素早く振り続ける。ナイフを持った化け物は相手の隙をうかがうように積極的な攻撃はせず、基本的に回避を行う。しかし、一度でも隙を作ってしまえばそこにナイフを突き刺そうと企み、その機会を常にうかがっている。桝田はその二人の戦い方についていけず、苦戦していた。二つの斧をそれぞれ手で操ること自体あまりなれておらず、その上積極的に剣を振るう化け物の相手のをしながら、ナイフの化け物の様子まで気を配る必要があるこの状況に反撃はおろか、まだ1度も攻撃できていない状態だった。

才原清一「おい、ナイフ持ち!!」

それを見かねた才原は後方で援護しているナイフの化け物にむかって叫びをあげる。

才原清一「お前の相手は俺だ。来い。」

【車椅子の状態で相手ができるのか?】とでも言ったかのような声をあげ、首をかしげている。

才原清一「お前ごとき立つ必要すらない。さっさと来い。」

その挑発に乗り、ナイフの化け物は才原に走り寄ってくる。才原もまた自身の車椅子を動かし、化け物から距離を取り始める。

ナイフの化け物は才原に向かってナイフの投擲を行い、飛ばされたナイフは才原の後頭部へ急接近する。しかし、才原はそれをすんでのところで伏せることで回避する。回避されたや否や、化け物の両手にはまたナイフが投影される。それにきづき、才原はさらに距離を取ろうとする。一本、一本飛来してくるナイフを避けながら距離をとる。

才原清一(桝田と少しは離せたか。)

少しだけ安堵した瞬間、化け物は一本のナイフをまたも投影しそれを投げるが、今度は才原の後頭部にではなく、下にむかって。正確には車椅子のタイヤ目掛けて投げたのだ。

才原清一「ちっ!!」

才原もこれには反応も回避もできず、タイヤはパンクし進むことはできなくなった。

ナイフの化け物「コロ、、ス」

才原清一(ちっ、武召喚すればこの右足も一時的とはいえ、生えるのか…?)

幸奪戦争が終わってもなお、修復されなかったその右足の存在を惜しみ、可能なはずがないその現象の起動に期待が浮かんでしまう。


桝田結城「うっ、、くぅ、、」

一方の桝田も担うものが減ったとはいえ、かなりの苦戦を強いられていた。相手の攻撃速度に処理が追い付かず、依然として桝田の状態・状況は変わらぬまま。

桝田結城「これ、、人の力じゃねぇよ。」

愚痴代わりに明らかな異常にたいしての感想だけ述べ、険しい表情はさらに深みを増す。剣の化け物に武器を弾かれ、完全な丸腰となり、桝田の首に剣の刃先がわずかに触れる。このときに桝田は消滅を確信した。

桝田結城(俺はこんな化け物一匹にすら勝てねぇのかよ。)

自身の無力さ、劣等感をこの戦いにて突如フラッシュバックされる。自身の弱さが何を招いたのか、その痛い過去さえも。後悔と自身に対する怒りを最後に消滅を迎えようとしていたそのときだった。

伊敷季毎伽「驚いた。本当に人の形をしていないんだな。」

自身の首に剣を当てているこの剣の化け物。その化け物の後ろにて、自身の上司が化け物の頭を掴みながら不思議そうにその化け物の顔を覗かせる。化け物も困惑した様子を示している。ただ化け物に困惑する時間が与えられたのはほんの一瞬のことだった。一瞬後、化け物の姿はどこにもなかった。床に黒い液体が散らばり、そこには特に何の匂いもない。その液体はやがて粒子となりやがて完全に消え失せた。

伊敷季毎伽「この程度で潰されるのか。身体能力に武召喚は施してなさそうだな。」

化け物の頭を素手で握りつぶし、消滅させた男が冷静に分析しているその姿に助かったという安堵や感謝より恐怖が勝ってしまった。

思わず腰が抜け、尻餅をつく。

伊敷季毎伽「お、おい、大丈夫か。桝田。どこか怪我してるか?」

桝田結城「い、いえ。それともう一つお願いが。」

伊敷季桝伽「ん?」

桝田の指が差された方向に才原清一の姿とナイフを持った悪魔の存在を認識する。

伊敷季毎伽「了解した。ファースト。」

伊敷季の右手に剣が投影される。

伊敷季毎伽「はっ!!」

その掛け声とともに剣を投げ、剣の刃先はナイフの悪魔の後頭部に直接突き刺さる。その瞬間この悪魔も全身が粒子と化し、やがて消滅した。

才原清一「…は?」

才原もこの事象に理解が至っておらず、困惑の詠嘆をこぼした。

桝田結城「えっとー、伊敷季さん。今のやつらって?」

伊敷季毎伽「あぁ、そうだな。流石にそれくらいは知っとかないとな。」

こうして、二人は悪魔についての詳細や桝田小春という人物に対しての情報を伊敷季を通して伝えられた。


それから二時間後

地獄でのこと

榎宮愷「ん、んん、、」

頭がぼんやりとしていた。自分はなぜか眠っていてたった今起きたことだけは寝ぼけた頭で理解できた。

榎宮害「どこだ、、ここ…」

床に突っ伏して寝た状態から、なんとか立ち上がる。すると目の前に広がっている光景は自分が数時間前に見ていた光景とは全く別のものだった。二人の人間。無数の画面。履歴者のような紙。謎のリスト。明らかに初めて見るその光景に顔をしかめていると、一人の女性がこちらに気づいたようだ。

中嶋芽依「あ、起きたんですね。おはようございます。」

榎宮愷「えっとー、ここは?」

榎宮愷(自分が寝ている前は伍代翔地と戦っていて、、その、あとは……)

中嶋芽依「ここは基本、監視者入ることのできない参加者の監視ルームですよ。」

自身が監視者であると平然と白状したその女に対する警戒心が増幅する。

榎宮愷「…は?」

中嶋芽依「榎宮さんがここにつれてこられたのはあなたを保護するためなんです。」

榎宮愷「俺がその言葉を信用するとでも…?」

中嶋芽依「消すつもりだったら最初からそうしてますよ。それに、あなたを保護することは絶対にしないといけないことなので、大人しくしててください。」

榎宮愷「何で俺を保護することになってる?」

自身に記憶がないのは、この際ロストイーブンの種性であると仮定して一旦置いておこう。しかし、問題はなぜ自分を保護するということになったのか、それを聞かずにはいられなかった。

葛城康介「それについては私の方から説明しようか。」

奥の部屋から見知った男が登場してくる。

榎宮愷「お前は…」

葛城康介「直接会うのは数ヶ月ぶりだな。榎宮愷。」

榎宮愷「まさかここで会えるとはな。」

葛城康介「それで、お前が保護される理由だが、、」

榎宮愷「その前に!こっちの質問を先に答えてもらいたい。」

話を遮り、別の疑問に対する返答を優先させる。

葛城康介「…何だ?」


榎宮愷「俺の記憶を抜き取ったのはお前か?」


ゲーム開始から14時間

残り参加者4819人間


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