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ハッピーエンドを求めて  作者: 蓮翔
第二章 真相編
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第2-7話 頼み事

誰なんだ?一体お前は誰なんだよ。

榎宮愷(何で?おかしいだろ…!)

才原祐一。もう存在しているのかさえ分からないその人物に対する困惑と恐怖が生まれ始める。冷静さをまたも欠き始める。

木崎印(おかしい…才原祐一がお前に何かを頼むのなら、その内容はお前の記憶の中に入っているはずなんだ。でないと、才原の頼み事を遂行できない。なぜだ?なぜ、そこが抜け落ちている…?)

木崎もまた、榎宮愷という人物の記憶の欠陥に頭を悩ませる。幸奪戦争が始まる直前に呼び出した。偶然とは思えない。

榎宮愷(木崎、あの男(パート)のことを全て調べてくれ。)

パート(おいてめぇ!何の真似だ!!)

大人しくしていたパートもさすがに声を上げ、抗議する。

榎宮愷(才原祐一の頼みの内容、それが抜け落ちている理由はお前が奪ったからじゃないのか?)

パート(いや、意味わかんねぇよ!!まず、俺が奪うメリットがどこにあるんだよ!!)

榎宮愷(お前が奪える記憶は自分で選択できない。不運なことに、その願いの内容は俺が初めて力を使った地下鉄のときに、抜き取られた。)

木崎印(いいやそうじゃない。調べても出てこないんだよ。こいつのどこにも、その記憶はないんだ。)

榎宮愷(ならどこにあるっていうんだ?あの少年は俺が現界にいたときの記憶の象徴だ。幸奪戦争やここで知り合ったやつらとは関係ない。当然俺も覚えていない。)

伍代翔地(ごちゃごちゃと長ったらしく何してるのかと思ったら、ただの茶番じゃないですか。)

アナリストとその触れている対象だけの脳内の会話に伍代が乱入してきたことに、驚愕する。

パート(お前何で入ってこれるんだよ。)

伍代翔地(第五次からの古株ですよ?アナリストは二年目のときから所持しています。)

榎宮愷(種性核4つ持ち…)

伍代翔地(木崎さんを通して調べましたが、記憶が抜け落ちている理由は単純明快。誰かが抜き取った。これにつきるでしょう。)

榎宮愷(誰かが抜き取ったって。誰だよ。)

伍代翔地(わかりませんか?アナリストかスレイブリーですよ。)

榎宮愷(え?まさか…?)

伍代翔地(スレイブリーは奴隷を作る条件を満たせばいかようにもできる。アナリストは相手の脳内に直接入り込む種性核。数値の消費は激しいでしょうが、脳の記憶を一部奪い去ることは事実上可能です。あなたは七次の幸奪戦争の際に、どちらかの種性核に出くわし記憶を抜かれた。それだけです。)

榎宮愷に一人心当たりのある人物が浮かび始める。才原祐一に対して敵対心を燃やしていたある男を。

伍代翔地(本人はピンときたみたいですね。まぁ、どうでもいいことてすが。)


そうして、伍代は木崎とともに榎宮の脳内から現実世界へと帰還する。パートもまた、現実世界へ意識を向けられる。

伍代翔地「それじゃ、消えてもらいましょうか。」

榎宮の首もとに短剣を近づけ突き刺そうとするその直前だった。

榎宮愷「葛城…」

伍代翔地「!?」

パートの人格から榎宮愷の人格へと戻り、ボソッと一言だけある人物の名を呟いた。その言葉を聞いた伍代は短剣の動きを止める。

伍代翔地(葛城…あの人とともに七次に参加していた監視者…)

伍代翔地「…葛城が何ですか?」

榎宮愷「あいつが才原祐一に関することを知りたがっていた。七次の際にも俺に接触してきた。」

伍代の思考が加速する。才原祐一という未知の存在、あの人が危険視していた葛城康介という男の関係性、この二つを頭の中で徹底的に推理していた。そんな中、榎宮も少し考えれば気づいたことをようやく思い出す。

榎宮愷(そういえば、葛城という名前は覚えている。勝利者の名前にも、この召集の場にもきていないのに。まさかあいつは…)


伍代翔地(才原祐一と葛城康介は敵対していると仮定しよう。才原祐一と最後に接触した榎宮の記憶をアナリストである葛城が抜き取って、才原の目論みを防ごうとした。記憶を抜けば榎宮に危険はなくなるため、そのまま放置。なら才原祐一はどこにいる?少なくとも、あの人からそんな名前は出てこなかった。)

「、だい、ご、い、」

伍代翔地(どこにいる?八次の参加者の中にいるのか?はたまた…)

木崎印「伍代!!」

伍代翔地「!?」

思考に意識を集中しすぎたせいで、ずっと呼ばれていたことに今気づく。あわてて正気に戻り、一度思考を止めた。

伍代翔地「すいません、どうしましたか?」

木崎印「どうしましたじゃない。いいから向こう見ろ。」

そういわれ、木崎が指差す方へ視界を移動させる。その視界の先には、二人の男と一人の女性がいた。片方の男と女性は純白でまっさらな白衣のようなものを着用している。反対に残りの男は、獄人が着ているような服だった。というより、獄人の服だった。

葛西水引「初めてきましたよ、地獄なんか。汚れたら弁償してください。」

白衣の男が、獄人に向かって文句を言っているが、彼は全くきにする素振りを見せない。

佐藤要「よぉ、あんたらが失格者ってやつか?」

榎宮愷にだけ、うっすらとその面影を思い出させる。坂縞と拐われた際に、葛城とともにいたクラッシャーの男。突如として現れたその三人にそれぞれ疑問が浮かぶ。


木崎印(真ん中の男だけ、俺たちと同じ服装…もう八次の失格者がここへ来たのか?)

伍代翔地(あの白衣…まさか、あの人が言っていた管理者か!?でも何でここに?)

榎宮愷(確か、要といったはず。でもなぜだ? 彼の名前は勝利者のリストに載せられていた。だから極楽にいるはず。なぜ今ここにいるんだ?)

佐藤要「それで、えっとー、牟婁星(むろぼし)だっけ?何でここに連れてきたんだ?地獄だぞ。」

牟婁星藍「それは私ではなく、葛西さんに聞いてください。私はあくまであなたの監視役として同行しているだけです。」

そう淡々と話す白衣を身に纏った彼女の声にはどこか若々しさがあった。そして全員の目線がその葛西という男に向けられる。

葛西水引「皆さんにお願いがあります。この地獄の中にある、【悪魔】を見つけてほしいんです。」

彼の頼みはあまりに唐突で、この場にいる葛西を除いた全員がその言葉に困惑した。




第八次幸奪戦争から五時間が経過した。

参加者はなぜか計5000人。こんな大規模な人数で行うのは史上初だ。桐生亜衣、坂縞樹、我殺狂助の三名は監視者に案内されるがまま車に乗せられ眠らされた。それぞれ適当なところへ放り投げられ、桐生亜衣はたった今目覚めた。辺りにはいくつもの商品棚、上には白く光る蛍光灯、やけに広々とした空間に食品が大量に置かれている。そしてここがスーパーの中であると理解できた。

桐生亜衣(もう始まったのかな…?)

参加者の右腕につけられた時計を確認する。そこにはゲーム開始から五時間、残り参加者

4840人とかかれていた。

桐生亜衣(何でこんな参加者が多いの?とりあえず、一旦外に…)

そうして、立ち上がり、商品棚の間を通り抜けながら、スーパーのレジ付近へ進んだとき、一人の男と出会った。

桐生亜衣「!?」

互いに目が合い、赤茶色のパーマをかけた髪をした男は桐生の姿を見た途端に笑みを浮かべ、すぐさま行動に出た。

荘重飯嶌「ファースト!!」

荘重の右手に剣が投影される。右手に剣を持った瞬間、すぐさま桐生へ近づいてくる。

荘重飯嶌「悪く思うなよ!!」

そう言って右手の剣を桐生へ近づけた。だが、桐生はその近づけられた剣を軽くかわし、カウンターがてら荘重の尻に蹴りを入れる。

荘重飯嶌「うぉっ!!」

蹴られた荘重は身体のバランスを崩し、商品棚へダイブする。ガシャン!!という音が響き、荘重の周りにお菓子の袋が散らばる。

桐生亜衣「ちょっとー、そのお菓子もったいないじゃん。」

荘重飯嶌「…は!?」

剣で刺されかけた女が言うセリフじゃないだろという渾身のツッコミ叫びをなんとなく心の中にしまいこんで、もう一度たち上がる。

荘重飯嶌(大丈夫だ。こいつは丸腰で戦うしかないはず。武召喚ができる俺の方が圧倒的に有利だ。)

そんな自信を持ちながらまたも、桐生へと剣の狙いを定める。今度は一歩一歩慎重に。

荘重飯嶌「どうした?怖いか?」

一歩一歩近づく度に恐怖を刷り込ませようとする。

桐生亜衣「うーーん。」

荘重飯嶌「どうした?やせ我慢か?」

桐生亜衣「なんか、、慣れって怖いね。」

荘重飯嶌「…は?」

桐生亜衣「ファースト」

その瞬間、桐生の右手に巨大な槍が投影される。その槍を見て、荘重は思わず絶句し、少しだけ腰を抜かした。

荘重飯嶌(え?は?え、ちょ、、嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ。何で武召喚使えるんだよ!?始まって五時間。武召喚や種性核を知っているのは…)

桐生亜衣「君、アンティワームでしょ?」

荘重飯嶌「…え?」

荘重の恐怖が何十倍にも膨れ上がる。あの余裕、種性核や武召喚などのアンティワームしか知らないはずの情報を既知しているという事実。そんな恐怖に包まれる中、一つある推測が湧いた。

荘重飯嶌「お前も、まさか、アンティワームか?」

桐生亜衣「いや、違うけど。」

荘重の恐怖が何百倍にも膨れ上がる。今起きているこの事象をどう説明するのだと心から叫びたくなっている。

荘重飯嶌(なんだ?本当に何だ、この女?)

桐生亜衣「それで、やるの?やらないの?」

荘重が出した結論は簡単。

荘重飯嶌「やりません。誠に申し訳ありませんてした。」

彼は短剣を捨て、正座した。


それから10分ほと経過し、桐生亜衣の正体は前回の幸奪戦争の参加者であり、武召喚や種性核の情報はその経験によって得たものだと荘重は理解した。

荘重飯嶌「前回の参加者、先輩だ…」

襲おうとしていたときの態度とはうってかわり、ゴマをするような態度へ変貌した。

桐生亜衣「君、アンティワームなんだよね。」

荘重飯嶌「はい!!節操はアンティワームという種性核の一員にあります!!」

変な日本語を使った荘重の言葉遣いは置いておき、桐生はもう少し踏み込んだことを聞いてみる。

桐生亜衣「アンティワームってどんな情報を貰えるの?」

荘重飯嶌「さっきの武召喚や8つの種性核の存在。その8つの種性核にある特徴。とにかく、戦え!と言わんばかりの知識を詰め込まれました。」

桐生亜衣(そのせいで、無意味な亡在者が出ているんだよね。)

桐生亜衣「もう一つ質問。そのアンティワームは他に何人くらいいる?」

桐生はこの質問に淡い期待と不安を抱いていた。それを知りもせず、遠くを見ながら思い出そうとする。

荘重飯嶌「えーと、、確か50人だったと思います。」

桐生は静かに舌打ちをした。



ゲーム開始から五時間

残り参加者4840人

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