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ハッピーエンドを求めて  作者: 蓮翔
第一章 ただの殺し会い
63/73

第63話 何もできない

この作品は全三章で構成するつもりです。話の更新される日が不安定なことがあります。一応週一以上の頻度で更新するつもりですが、できなかった場合はどうかご容赦ください。

また、主人公を決めつけてこの作品を読み進めると、その主人公と決めつけたキャラに対して落胆の感情を抱く可能性があるので、この作品に主人公はいないと思いながら読むことをおすすめします。

桂唯賀(ついに原田さんも脱落した。問題はここからだ。)

原田九老は佐藤要に致命傷を負わさせた。そのつぎに、自身にソイーブルを行い、身体能力や武器を大幅に強化させる。その状態で自身の体を酷使させ、桂唯賀に攻撃の隙を与えさせない。この一連の行動を行った理由はただ一つ。【佐藤要に勝利を託すため】。

桂唯賀(私が原田さんに何も攻撃できなければ、原田さんの数値は全て佐藤要に渡る。その数値の暴力で何をするか、どんなクラインドを仕込んでくるのか、木崎という男がアナリストなら少ない数値の活かし方も知られているはず。ここからが本番だ。)

原田九老は消滅した。辺りを見渡す。木崎印はまだうずくまっている。その近くに佐藤要が立っている。もう、情報は知られていると考えた方がいいだろう。佐藤要とはまだ距離がある。動く様子もない。

桂唯賀「来ないんですか?もういなくなりましたけど。」

佐藤要「俺たちは争うつもりはないからな。そっちこそ来ないのか?倒しに来たんだろ?」

桂唯賀(なるほど、私が下手に動けないことを利用して、あわよくぱ見逃させるつもりか。)

桂唯賀「では、、失礼します。」

一歩一歩近づいて行く。佐藤要の姿が段々と詳細に認識される。次第に表情も読み取ることができた。

桂唯賀(焦り、恐怖の感情を隠している…近づいても問題ない。)

そう確信し、さらに近づいて行く。ついには、佐藤要の目の前まで行ってしまっていた。もうとっくに、触れてポイズンを言い渡せる距離である。

佐藤要「どうした?やれよ。」

桂唯賀(何が狙いだ??ここまで近づいても何も動きを見せない。私が佐藤要に触れることが狙いなのか?)

彼の狙いが掴めず、困惑と疑問が脳を包む。それでも表情だけは平静を保っている。数瞬ほど熟考した後、ある決断をした。

桂唯賀(武召喚をせず、一度殴る。私が佐藤の友人にやったような攻撃の威力のバウンドが狙いなら、武召喚をしなければいい。ポイズンをするのは殴ったときにできる隙をつけばいいだけだ。✨)

そして右手を拳のかたちに変形させ、それを佐藤要のみぞおちへと急速に近づけて行く。

彼の拳が佐藤要のみぞおちへと激突しようとする寸前、一人の男がある行動に出た。

木崎印「フィフス、、サモン!!!」

桂唯賀の背後から声が聞こえる。もがき苦しみ、宣言するのでさえ、苦痛であるながらも武召喚を行う。

桂唯賀「!?」

背後に木崎印が忍び寄っていたことに気づくときにはもう遅く、振り返ることもできないまま木崎印が投影し、5つ分の数値を込めた剣によって背中を切り裂かれる。血は噴水のように吹き出し、その痛みで桂唯賀は立つことを忘れ、膝から崩れ落ちる。

佐藤要「想定してなかっただろ。木崎が攻撃してくるなんて。」

桂唯賀「あり得ない、、ポイズンを脳から直接与えたんですよ。。正気を保つことすら難しいはず。」

佐藤要「実際、ここは賭けだった。」

桂唯賀「!?」

背後を振り向く。そのときには、もう木崎印は地へ伏している状態だった。武召喚ができたこと、自分の背中を切り裂いたこと、それらの行動ができたのは奇跡以上の何かだった。木崎印の身体はもう消滅へ近づいてゆくことしかできない状態だったのだ。

桂唯賀(彼が私を斬れなかったらなすすべもなくやられるつもりだとでもいうのか!?)

佐藤要「俺の脳はあんたを上回ることはできない。あんたはたった一人で、武召喚のうまい使い方もこの幸奪戦争の謎も調べあげた。一点集中した武召喚も相手のことをよく見分けなければ致命傷になりかねない。その危険をなきものにできる洞察力や観察力も優れている。だから、、狂気と執念で上回ることにした。」

桂唯賀「……は?」

佐藤要「一か八かの賭けを使った戦い方、それで勝つ作戦しか思いつかなかった。だから、木崎にテレパシーを通じてお願いした。できなかったら二人とも消えるともな。」

桂唯賀「彼はもう戦えないと確信するべきではなかったか…」

佐藤要「……ワンイーター」

一秒にも満たない時間、めを瞑り葛藤する。誰も手にかけるつもりはなかったが、友人を消された怒りを思いだし決断する。至近距離でクラインドを受けた桂唯賀は全身から血が流れ落ち、立つこともできないまま仰向けに寝転がっていた。桂唯賀の顔の横に佐藤要が立っている。

桂唯賀「ここまで、、ですか。」

佐藤要を見上げる形で愚痴をこぼすかのように言い放った。身体は徐々に黒い粒子となり始める。

佐藤要「俺のダチに会ったらまたサッカーでもしようって伝えてくれないか?」

桂唯賀「謝れ、、とは言わないんですね。」

佐藤要「言ってほしい気持ちはある。でも、それはお互い様だと思うんだ。」

桂唯賀「そうですか。」

その言葉とともに、最後に不適な笑みを浮かべた。彼は消滅しようとしているその右手を佐藤要の右足に近づけ掴む。

桂唯賀「ポイズン」

佐藤要「!?」

右足に明らかな異変を感じ、反射的に座るこむ。気づくときにはもう遅い。彼の足から全身にかけて毒が巡り回り、最終的に消滅へと向かうことが確定してしまった。

桂唯賀「あの戦い方で負けるのは納得いきませんでした。なので、、せめて引き分けにします。」

佐藤要「何でだ!?お前は一体何が目的だったんだ!!」

桂唯賀「それを教えるのは、また会うときでしょうかね。それでは。。」

そうして、最後まで場をかきみだし、彼は消滅していった。



脱落


佐藤要「くっ、、うぅ。」

振り返ると木崎印はまだこの場に残っている。しかし、もう喋られる状態ではなかった。

佐藤要(解毒方法はない。いや、あるのかもしれないが、多分桂にしか扱えないよう創造されているんだろう。)

立つことはできない。武召喚で身体能力を強化したとしてもただの時間稼ぎ。もう、この二人には何もできない。ただここで消滅を待つしかないのである。



それから数時間後

学校の屋上に一人佇み、頭を悩ませながら頬杖をついている女性がそこにはいた。

桐生亜衣(残る参加者は8人。愷くん、無事だといいけど。)

榎宮愷とは一度別れ、筋を通すべく我殺狂助のもとへ行かせたが、彼が無事であるかどうかを確認する術を今持ち合わせていない。ただここで祈りつつ、自分のこれから始まるであろうことについての心配もしていた。)

そんなときに、屋上の扉が開く。扉から二人の男が足を踏み入れ、ある一定の距離までこちらに近づいてくる。

才原清一「約束通り、1日経った。それで、榎宮愷はどこにいる。」

辺りを見渡しし、榎宮愷の姿を探す。いるわけがない。彼は今、我殺狂助という別の参加者のもとへ向かっているのだから。

桐生亜衣「いないよ。もう、ここにはいない。」

才原清一「俺をはめたのか…」

桐生亜衣「そうだよ。何か文句ある?」

才原清一「…」

数秒だけ彼女を睨み付ける。睨み付けた後に、彼の表情は真顔へと戻り、足は彼女と真逆の方向へ転向する。

才原清一「山田、そいつは頼んだ。」

山田雅人「わかりました。どんなことをしてもいいんですよね?」

才原清一「好きにしろ。」

山田雅人「はい、好きにします。」

その言葉を聞いたと同時にまた屋上の扉が開き、また閉じる。

山田雅人「さてと、行っちゃいましたね。」

桐生亜衣「……」

山田雅人「何も反応がないですね。あれ?もしかして僕と二人きりになりたかったんですか?」

桐生亜衣「勘違いしないで。私は才原くんが行っちゃったことに対してはどうとも思ってない。」

山田雅人「強がりはよせよ。大人しく僕を楽しませろ。」

桐生亜衣「私は才原くんを足止めするためにここにいる。あんたなんかに構っている暇はないの。」

山田雅人「ん?…あぁ、そういうことですか。」

その言葉が何を指しているのかをようやく理解し、納得のサインかのように右手の手のひらを額に打ち付ける。

山田雅人「酷いですねぇー。僕こどきどうにでもできると思われていたとは。」

桐生亜衣「理解する脳はあったんだね。意外だよ。」

淡々と、音読するかのように言葉を並べる。彼女のめに光はない。その無関心さに少しずつ山田雅人の怒りのゲージは上昇し続ける。

桐生亜衣「私、君みたいな人、生理的に受け付けないから。」

ビリっっ!!と。何かが破れる音が山田の中に響いた。我慢と理性、それら両方が切れたかのように。

山田雅人「てめぇが俺の何を知ってんだよ?あぁ!!会って1日しか経ってないくせに、偉そうに人を選別すんな。クソアマ!!」

桐生亜衣「ほら、本性現したじゃん。」

山田雅人「つーか、まず俺とあの榎宮って男との扱いの差がおかしいだろ。あんないつ暴走するかもわからない、情緒不安定男の何がいいんだよ!!」

桐生亜衣「君みたいた怒鳴らない。君みたいに誰かと比較して自分の方が上だと虚勢を張らない。」

ずっと淡々と、無関心の目を向け、顔を殺し、人と会話しているという状態とは思えないほどのこの歪さに嫌悪感が増幅される。

山田雅人「あぁ、そうですか。あーぁ!そうですか!!いろんな女を見てきましたけど、ここまで無礼な女がいたとは。」

桐生亜衣「て、、で、、ど。」

山田雅人「いいですよ。たっぷり痛みつけて分からせてあげますよ。死ぬ以上の苦痛を味あわせてやる!!」

桐生亜衣「もういいよ。うるさい。」

山田雅人「は?」

桐生亜衣に全ての意識を向ける。彼女の右手になぜか大きな槍が握られていた。

山田雅人(あれ?あの槍いつから持ってた?最初のときは持っていなかったはず。)

そう疑問に思った矢先、自身の腹部に違和感を感じる。そこを確認すると、彼女の槍が自身の腹部を貫いていた。

山田雅人「は?え、え、???」

桐生亜衣「まだ分からないの?君がキレ散らかしている間にこっそり武召喚したの。【テンスデバイド】って聞こえなかった?」

山田雅人(嘘だろ?武召喚に気づかなかった?俺がキレている間に?10の武召喚数値を槍と右手に振り込み、槍を投げる速度と威力を極限まで強化させた。槍を投影したことに気づけばすぐに対策できたことだ!!こんなことで…)

桐生亜衣「こんな小細工が通じるとは、私も拍子抜けしたよ。本当に大したことないんだね。君。」

山田雅人「!?」

膝から崩れ落ち、絶望の表情を見せる。だが、その表情を見ても尚、彼女は顔色一つ買えない。ただ歩きだし、こちらを横切り屋上の扉へ向かって行く。俺を残して。

山田雅人「おい、待てよ!!」

待ってくれない。振り返ってもくれない。返事もくれない。

山田雅人「何でだよ、、その顔はなんだよ!!」

桐生亜衣「私は最初、誰も手にかけたくなかった。これ以上罪を増やしたくなかったから。でも、、君はダメかな。私の愛する人をバカにしたやつは許さない。早く消えなよ。」

そうして、屋上の扉が開く。その開いた扉はすぐにしまる。

山田雅人「くそ、、が。」

山田の全身は黒くなり、それが粒子となり消滅へ近づく。最終的に叫び声を発することも できなかった。


脱落



ゲーム開始から六日と十一時間

残り参加者7人






最後まで読んで頂き誠にありがとうございます。初の投稿作品ですので、まだ粗削りで不出来なところもあるでしょうが温かい目でこれからこの作品を見守って頂ければ幸いです。作品を読む際に【ハッピーエンドとはどういうものなのか】このことを念頭に置きながら読んで頂ければ、より一層深くまでこの作品を楽しめると思います。これからもこの作品を皆さまに楽しんでいただけるよう、精進して参ります。

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