第4話:忍び寄る影と、鳴り響くチャイム
蓮さんがマンションを出てから、数時間が経った。
テレビからは情報番組の音が流れているけれど、私はソファーに座ったまま、時計の針ばかりを気にしていた。
「(……蓮さん、大丈夫かな)」
敵対組織の人間が動き始めたという話を聞いてから、心臓がずっとバクバクしている。私を守るために、彼は今も危険な場所で戦っているのに。
私はおとなしく部屋の片付けをしながら、彼の帰りを待つことにした。
その時だった。
――ピンポーン……
静かな室内に、鋭い電子音が響き渡った。
私はビクッと肩を跳ねさせた。
(えっ……蓮さん……? でも、蓮さんなら鍵を持っているはずじゃ……)
玄関のドアスコープを覗いてみようと、私はそっと廊下へ向かった。
けれど、モニターやスコープを見るまでもなく、異様な空気が外から伝わってくる。
「……涼風組の娘。いるんだろ?」
ド、ド、と低い音がドアを叩く。
聞き覚えのない、冷たくて薄気味悪い声。敵対組織の人間だ。
どうしてここがバレたの? 蓮さんが教えてくれた安全な場所のはずなのに。
「おい、開けろよ。若頭がいなくても、お前一人なら簡単だ」
ガタガタとドアノブが乱暴に回される。
心臓が口から飛び出しそうなほど怖い。部屋の中にあるはずのスマホは、リビングのテーブルの上に置き忘れてしまった。
「(どうしよう……! 誰か、助けて……!)」
私は咄嗟に玄関から離れ、キッチンの奥へと身を潜めた。
床に座り込み、両手で耳を塞ぐ。
蓮さんが言っていた言葉が脳裏をよぎる。
「お前は馬鹿みたいに無防備なんだよ」
「お嬢はただ、俺の傍で笑っていればいいんだ」
本当にその通りだ。私はここで、ただ怯えているしかできない。
ドアを破壊するような大きな音がして、いよいよ玄関の鍵が壊されそうになった、その時。
――バァンッ!!!
信じられないほどの爆音が響き、玄関のドアが勢いよく開いた。
そこに立っていたのは、黒いジャケットを血で汚し、息を荒げた蓮さんだった。
「……てめぇら、俺の女の家で何をしてやがる」
その目は、先ほどまでの穏やかな顔とは全く違う、獲物を狙う獣のような鋭い光を放っていた。
第4話・完
面白いと思ったら、ブックマーク登録と「★★★★★」の評価をお願いします!
皆様の応援が、ひなたと蓮の危険な恋を後押しします!




