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若頭は溺愛を隠せない 〜極道×箱入り娘の危険な契約〜  作者: 春夜夢


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第2話:無防備な寝顔と、ブラックコーヒー

「……おい、いつまでぼーっとしてるんだ」


黒龍組の高級マンションの一室。

広々としたリビングには、無機質でどこか生活感のない空気が漂っていた。

この場所が、今日から私の暮らす新しい家――そして、蓮さんの監視下にある場所だ。


「す、すみません。なんだか落ち着かなくて……」


私はソファーの端に小さく座りながら、部屋を見渡した。

白い壁に、黒を基調としたモダンな家具。極道の若頭の部屋というから、もっと怖い部屋を想像していたけれど、とても綺麗に片付いている。


蓮さんはジャケットを脱ぎ、ワイシャツの袖をまくりながらキッチンへ向かった。

彼の広い背中には、極道の世界を背負ってきた重圧のようなものが感じられる。


「……コーヒー、飲むか?」


「え、はい。ありがとうございます」


しばらくして、蓮さんがマグカップを二つ持ってリビングへ戻ってきた。

私の前に置かれたマグカップからは、ほろ苦い香りが立ち上る。ブラックコーヒーだ。

私は少しだけ顔をしかめながら、そっと口をつけた。


「……にがっ」


「砂糖はそこにある。自分で入れろ」


彼はそう言うと、私の隣にどさりと腰を下ろした。

至近距離から伝わってくる体温や、タバコと香水の混ざった香りに、心臓の音がうるさいくらいに高鳴る。


「(……私、本当にこの人と同居してるんだ)」


ふと、蓮さんの手元に目をやると、手の甲に薄い傷跡があることに気づいた。

彼が組をまとめるために、どれほど危険な道を歩んできたのかを物語る生々しい跡。私が触れてはいけない領域。


「じろじろ見るな」


「あ、ごめんなさい……」


私が慌てて視線を逸らすと、蓮さんは小さくため息をつき、私のカップにそっとミルクと角砂糖を二つ落とした。スプーンでかき混ぜてくれる彼の指先は、銃を握る手とは思えないほど丁寧だった。


「……甘ったるいのは嫌いだが、お嬢にはこれくらいが丁度いい」


「ありがとうございます……蓮さんって、本当に不器用ですね」


私が思わずそう呟くと、彼の動きがピタリと止まった。

射抜くような鋭い眼光でこちらを睨まれる。


「……なんだと?」


「い、いえ! なんでもありません!」


「……ちっ。甘やかしてるつもりはねぇよ。ただ、お前が変なところで無理をするからだ」


蓮さんはそう言うと、私の頭を乱暴に撫でた。

乱された前髪越しに見える彼の瞳は、少しだけ照れているように見えた。


「いいか、お嬢。ここは俺の領域だ。敵対組織の奴らも、おいそれとは手を出せねぇ。安心しろ」


「はい」


「……寝室は別だ。文句は受け付けねぇぞ。おやすみ」


蓮さんはそう言うと、立ち上がって寝室へと続くドアを閉めた。

その背中を見つめながら、私は先ほどのコーヒーの甘さと、彼の不器用な優しさが胸に染み込んでいくのを感じていた。

第2話・完

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