お嬢と国語と公園にて
《公園にて》
ようやくこの表記ができた。すごく疲れた。それはもう、種田山頭火の句を無理矢理五・七・五にしようと考えるぐらい。
結論として、俺は考えるだけ無駄だった。異端児のお陰である。٠٠٠不本意ながら。お嬢が解けなかったんだ、異端児の問題を。いやはや実に愉快だった!お嬢のあの顔!永久保存版だね。٠٠٠なにゆえ俺がそんなことを覚える必要がある?それは俺がしつじだからだ。なるほど納得した。
ま、とりあえず公園にも着いたことだし٠٠٠遊ぶぞ~!
「瞭ちゃん、国語は?」
٠٠٠現実はそう甘くはないみたいです。助けて、シュン!
「٠٠٠٠٠」
あ、見て見ぬふりをした。そりゃそうか。俺、結局助けなかったし。因果応報、この言葉大嫌い。
まあ、問題程度すぐに出してやるさ。
「教科書の~、28ページを開いて~、主人公の~、心情を表している文章を~、答えなさい~」
「亀ちゃんか!」
亀ちゃんは美術を担当しているおばあちゃん先生だ。俺はその口調を真似ただけだ。因みに元々は、
「資料集の~、38ページを開いて~、ワークシートに~、記入しましょう~」だったとおもう。
それに反応するとは٠٠٠
「嬢ちゃん、達者やのう」
「えへへ~やった!」
「ほめてねーよ」
「はいはい」
決してツンデレではないことを覚えていていただきたい。ところで、お嬢は問題を解く気があるのだろうか?教科書が開いていない。こういうときは٠٠٠
「で、なんページだったっけ?」
ほいきた。やっぱり忘れてたか。よし、ここはもう一度٠٠٠
「教科書の~」
「もういいそれは。で、なんページ?」
「ニジュウハチデス」
「え?」
「28ページ」
「わかった。ありがとう(ニコッ)」
お嬢の笑顔が眩しい。俺は、そんな純粋な心を20年も前に捨ててしまったと言うのに。
٠٠٠٠٠俺、20年前はまだ生まれていないけど。
だが待ってほしい。俺がここで引き下がると思うか?答えはノーである。
「お嬢」
「何、瞭ちゃん?」
「さっきはごめん」
「何が?」
「ふざけてたこと」
「いいよ全然」
「そういうわけにはいきません。この度の反省をいかして更に精進したいと思います」
「う、うん。頑張ってよ?」
しつじ奥義 其の二 『片膝立ち』 だ!
これを使うとお嬢が目線をそらすのだ。٠٠٠面白い。もっとからかってやろう。
「お嬢、どこか具合が悪いのですか?」
「そんなんじゃないけど٠٠٠瞭ちゃんは恥ずかしくないの?」
「俺は別に。第三者目線ではお嬢が俺にポーズを取らせているように見えるだろうね」
「ん~~~~」
お嬢から言葉にならない叫びが聞こえる。想像以上に効いたようだ。恐らく俺らを見るギャラリーにも気が付いたのだろう、黙って動きだしブランコに腰かけた。
٠٠٠٠٠
さっきから見て見ぬ不利をしていたが٠٠٠٠٠異端児とシュンは何を遊んでいる?
人が苦労しているときに٠٠٠٠٠٠٠٠٠٠まぁ、いいか。どうせシュンの相撲寸劇だろう。異端児も乗り気だし、獲物は逃がさねえよ?
ここでひとつ
「若葉の背 お嬢の足にも 満たねども
生涯負けぬ 寡黙の美かな」
これは来た!意味はお嬢が聞いてくるでしょ。
「どういう意味?」
(ほいきた)
「お嬢はそこに生えている若葉の何倍も背が高いけれど、若葉のしたたかさにはどれだけお嬢が意識しても敵うことはないだろう、と言うことさ」
「ん~~~」
お嬢、再び悶絶。
そして、お嬢がこの問題に答えることは二度となかった。
だって、論説文に主人公も何もないじゃないか!




