シュンと相撲と勉強会
「よおシュン」
俺は、自分の誇れる友人シュンに『会話に入ってこい』と合図を送っていた。このままでは論点から大幅に歪むことが安易に予想できたからだ。期待通り会話に入ってきてくれた。ありがたやーありがたやー。
「テストの話してたんだよ」
「お前らが?」
「うん、俺らが」
予想外だったみたいだ。そりゃあいつもの俺ら見てるからな、無理はない。俺だってとっても驚いているよ。
···だからこそシュンを呼んだのだけれど。
「シュンはテスト前どうしてる?」
お嬢、それは爆弾発言だ。なぜなら、、、
「五月場所を見てる」
「ごがつばしょ?」
「相撲だよ、相撲」
シュンの返答に困惑するお嬢に対してすかさず説明を添える。
やべえ。めっちゃ性格の悪いしつじしてる。楽しい。
そんなことはともかくシュンに相撲の話は厳禁だ。貴重な休み時間が溶ける。早く軌道修正しなきゃ。
「そ、それで、勉強会しようって話になっててさ」
「へえ、いいんじゃない?」
「だよね!シュンもやっぱそう思うよね!(チラッ」
こらそこのお嬢便乗するでないわ。この勉強会俺らに何のメリットもないんだけれど。けれど、けれど、
「俺らにとっては無駄な時間、だがそれがいい」
「さっすが異端児分かってるね」
「当然だ」
俺らは元より暇人の種族なのだ。そりゃあ目先のものに興味を示すでしょうよ。そこにつけこむとか中々やるな、お嬢。まあそんなこと考えてるはず無いんだけどね。お嬢バカだから。
「じゃあ勉強会してくれるってことでいいの?」
お嬢が聞く。
「異論はない···と思う」
「相撲は見るぞ」
異端児とシュンも一先ずOK.
そして俺は、
「これから教えて頂くしつじにこの様な頼み方で良いのでしょうか?」
反抗した。
構って欲しかったとかそんなどこぞのバカみたいな理由じゃない。お嬢が悔しがる姿を見たかったからだ。
え?もっとしょうもないって?またまたご冗談を。そんなことあるわけ無いじゃないか。あるわけ無い、あるわけ無いよ、ね?
ともかく、『瞭、学問を教えて頂きたく存じます』みたいなのを期待してたのに。お嬢の返答は俺の予想を上回っていた。
「私のために勉強を教えろ!」
まさかの命令形だった。悔しいが今回は俺の負けだ。次は負けない。
「畏まりましたお嬢」
洗練された動きでそう答える。この動きを覚えるのに二日もかけたのはいい思い出だ。ここしか使い道無いけれど。
「う、うん。よろしく」
ほら見たことか。お嬢が引いているぞ!俺の勝ちだ。
「で、いつするの?」
「何時でも」
「週末駄目」
「部活無い日に限る」
「私も」
皆自由だなあ。それがいいんだけど。とか俺も思っていました。
そこからが地獄だった。休み時間三つがチャイムに溶けた。そして出た結末。それは、
「テストの一日前」




